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215話 伝説

あけましておめでとうございます。


依頼料の倍の金額が返ってきた。その事自体はありがたい。

でも、その所為で少しばかり面倒な事になっている。


「どうぞお掛け下さい」

「はい・・・」


返金された後、冒険者ギルドのサブマスターなる人物からの呼び出しを受けてサブマスター室に来るハメになった。


「いくつかお尋ねしたい事があるだけですので楽にして下さって結構ですよ」

「はい・・・」


と、言われても・・・尋問する気満々の空気を感じる。


「2年程前。貴方は輸送依頼を出されましたね?」

「出しましたね」

「そして、レジェンズがその依頼を受領しました」


レジェンズ?大層な名前だな・・・。


「その直後から貴方もレジェンズも行方不明になっています」

「はい」

「そして、貴方だけが返って来ました」

「はい」

「何かご存知なのではないですか?」


知ってるよ。

そいつらはそこそこ遠くて微妙に近い厄介な国居るはずだ。

まだ生きてるかは知らないが。


「俺は輸送依頼を出して、その物を紛失された。それだけですよ」

「依頼料の倍と言っても大した金額ではありませんからね」

「ん?そういう詐欺みたいな事もあるんですか?」

「依頼人が違約金目当てで妨害をする事もままあります」

「それに、そこまで金に困ってはないですからね」

「その様ですね」

「もしかして・・・調べました?」

「はい、失礼かとは思いましたが当ギルド所属のパーティーが失踪して。その原因の第一容疑者ですから」

「いやいや、俺は何もしてないですよっ!?」


俺は。

まぁ、俺も被害者だし。更に言えばあいつらの巻き添えを喰った1番の被害者が俺だ。


「その様ですね。レジェンズとの関わりも無く。金銭的な問題も無く」


無い無い尽くしで問題も無いはずだ。

実際、何もしてないし。


「ただ、同時に失踪した点。そこだけなのですが追及するには弱く感じます」

「ちょっと旅に出てたんですよ。それで、エーリッヒと一緒に帰って来ました」

「はい」

「問題無いのであればもう良いですか?」

「はい。お手数をお掛けしました」

「いえ」

「以前、冒険者ギルドオーパスポーカス支部を壊滅させ。エーリッヒが問題を起こした時も少なからず関与されてましたよね」

「そ、そうですね・・・」

「どんな問題児なのか1度会ってみたかっただけです」

「そ、そうですか・・・」

「問題を起こさないのであれば、これからも依頼を出して頂けたらと思います」

「はい・・・」


ようやく解放された。

呼び出された理由は単にもう問題を起こすなと釘を刺したかっただけだろう。


気付かなかったが素行調査をされていたという訳だ。

探られて痛む腹は無いが・・・痛くもない腹を探られて気分が良いはずもなく。

気分の悪さと居心地の悪さだけが残った。


まぁ、実際にやらかした犯人ではあるし、転移者ってのもあるから探られると痛くはあったな。


家へと逃げ帰り一息付く。


ゴンゴン───。


「おーい」

「ん?」


ドアを開けるとエーリッヒだった。


「どうした?」

「こっちのセリフだ」

「??」

「ギルドに居たよな?」

「あー、うん」

「んで、気付いたら外に出てたから声掛けたのにもの凄い勢いで歩いてくから走って追い掛けたがどんどん離されてってな・・・」

「あー・・・」

「何かあったのか?」

「いやぁ、冒険者ギルドに輸送依頼を出しにいったら・・・って、玄関で話す話でもないな」


と、エーリッヒを家に上げて、お茶と菓子を出した。


「で?」

「あぁ、輸送依頼を出しに行った訳だ」

「おう」

「そしたら、サブマスターに呼び出されて事情聴取を受けた」

「事情聴取?何のだよ」

「2年前に俺と一緒に魔法陣で召喚されたレジェンドってパーティーが居たんだけど」

「あぁ、言ってたな」

「そいつらが失踪した容疑者らしい」

「お前が?」

「らしい」

「ふむ・・・」

「まぁ、関係無いだろうって事でお咎め無しだ」

「そりゃそうだろうな」

「どっちかと言うと前科があるからもう問題起こすなって釘を刺された感じだな」

「なるほどな」

「って、お前の名前も出たから。お前も要注意人物って扱いだろうけどな」

「なんで俺が要注意人物なんだよ」

「貴族ボコる様なやつは要注意人物だろ」

「そうだった・・・」


忘れんなよ。

その所為で2年も慣れない場所で慣れない仕事をして金も無くなってボロボロになってたクセに。


「で、仕事はどうだ?復帰したんだろ?」

「ずっと現役だから復帰とかじゃないってんだろ」


頑なだな・・・。


「おう・・・で?どうなんだよ」

「順調にジリ貧だな」

「おいおい・・・大丈夫なのか?」

「まぁ、2-3ヶ月はなんとかなる」

「その後は?」

「厳しいかもな・・・」

「そういやさ?お前が出てく時にギルド倉庫の物預かっただろ?」

「お前にやったんだよ」

「あー、じゃあ、要らんからあれまるっとやるよ」

「は?」



嫌がろうが関係無い。プライドが邪魔して受け取りたくなかろうが、プライドで飯が食える訳じゃないんだから無理やりにでも返してやる。


今年もよろしくお願い致します。

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