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214話 ぷあ

ナエジの兄弟用のショートソードを打っていく。

実力の無いバカが無茶な使い方をした所為ではあるが簡単に歪みが出てしまったのは俺の鍛冶が未熟な所為だろう。


顔も知らない誰かの為に打つのではなく、ナエジの兄か弟の為に打つのだから余計に気持ちが入る。

あ、いや、会った事は無いから顔は知らないか。

でも、知り合いの兄弟なんだから普段よりも力が入る。


ショートソードを打ち始めてしばらく経った頃。


ガチャ───。


「やっと再開しtっぷあっ」

「うおっ」


おっさんが勢いよくドアを開けて入って来た瞬間に鍛冶場の中を風がドアに向かって駆け抜けていった。

そして、それと共に床に散らばった灰等のゴミを巻き上げて・・・。


「ペッ、ペッ、ペッ・・・なんだこりゃ・・・」


巻き上がった灰と鍛冶場に籠もった熱を顔面で受け止めて悲惨な事になっている。


「だ、大丈夫か・・・?」

「な、何が起こった?」


俺が見た事をそのまま伝えると果てしなく長く深い溜息の後でしっかり怒られた。


「完全に失敗してんのは分かるな?」

「いや、ドアを開けなければ・・・」

「開けなかったから熱が籠もってたんだろうが」

「まぁ、そうかもしれない・・・」

「で、開けたら灰が舞う配置になってる」

「でも、今更窓の位置は変えられないだろ」

「追加で工事して貰や良いだろ」

「出来んの?」

「さぁ?とりあえずお前の思惑は外れたんだから聞くだけ聞いてみたらどうだ?」

「それしか無いか・・・」


ドアを閉めたままだと熱が籠もるし開けた時に風が抜けて灰が舞い上がる。

開けたままだと普通に灰が舞い上がる。


「ってか、試さなかったのか?」

「いや、色々試しはしたけど・・・」

「けど?」

「ここまでガッツリと炉に長時間火を入れたのは初めてだし、実際に鍛冶をやったのも初めてだから・・・」

「熱の籠もり方も風の導線も分かってなかったってか」

「そう」

「大工は何も言わなかったのか?」

「感心してた気がする」

「なら、何とかなるかもな」

「??」

「まぁ、俺が声掛けといてやる」

「え?うん」

「で、今、打ってんのはもう出来そうなのか?」

「もうちょいかな」

「そうか。なら俺はもう帰る」

「え?そうなの?」

「おう。流石に熱過ぎる」


そう言い残して帰っていった。

そして、ドアを開けると突風と共にまた灰が舞い上がった。


それからショートソードを打ち終わり、旧鍛冶場に持って行き研ぎ等の仕上げを行った。

そして、簡単な革の鞘も作った。


同世界召喚をされてからの帰り道で馬車の荷台をイジったりして木工関連のスキルが増えたり上がりまくったりしている内に革関連も地味に上がったりした。

少しでもショックを吸収出来る様にとタイヤに革を巻いたりしたくらいしか革をイジった記憶は無いがそれでも微妙にはスキルが上がった。

その恩恵もあってか鞘を作るのも思ってたより楽に出来た。


2年も遅れたがナエジの兄弟に送ってやろう。

そう思って、翌日に冒険者ギルドへ輸送依頼を出しに赴いた。


「はい、お願いします」


前回はセバスチャンさん宛に送ったが、今回はシェリルさん宛に送った。

剣と一緒にナエジの兄弟に渡して貰えるように頼む内容の手紙も添えた。


「え?はい、あのすみません」

「はい?」

「2年程前にも剣の輸送依頼を出せれてませんか?」

「あー、はい。出しましたね」

「その依頼ですが、未達成ですので依頼料の返金と依頼失敗の保証をさせて頂きます」

「保証?」

「依頼料の倍までが上限なんですが。輸送依頼の場合、紛失された物の金額を返金させて頂きます」

「へー、そんなシステムがあったんですね」


依頼を失敗した場合、冒険者は違約金を支払わなくてはならない。

それは知っていたが、クリア出来る見込みの無い依頼を無謀に受けない様にする為のルールだと思っていたが依頼人側への保証でもあったと今更ながらに知った。


「えっと・・・当ギルドの調査員が調べた所。その剣の査定額は依頼料の倍以上になるのでその金額になりますが宜しいでしょうか?」

「あー、はい。返って来るとも思ってなかったので。でも、どうやって査定したんですか?」

「調査報告書に依りますと・・・」


俺が打った剣なのがバレていたし、マリリンさんの所に卸していた事もバレていた。

そして、マリリンさんからの聴取で大凡(おおよそ)の値段が分かったそうだ。


一応、バレない様におっさんを挟んだりしていたがバレバレだったのは俺達の浅はかさか冒険者ギルドの調査員が優秀だからかは分からないが・・・出来れば調査員が優秀だった方がありがたい。



オーパスポーカスからフーバスタンクへの輸送依頼料、その金額自体が大した事無いので返って来た金額も端金だった。


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