204話 変な家
エーリッヒをナエジに紹介したが・・・最初は警戒していたがエレノアの師匠だと言うと一気に態度は軟化していた。
「で、エーリッヒをナエジの所で仕官させるとかは無理かな?」
「ウチじゃちょっと難しいかも。執事とか従業員としてなら雇えるけど」
「それでも十分じゃないか?」
「効果は無いと思うけど?」
「そうか・・・」
「ミトさんのトコで良いんじゃない?」
「やっぱそれでも効果はある?」
「ウチで無いんだからミトさんのトコでも無いでしょ」
「あ、そっか・・・」
「手出ししてくるならミトさんがぶっ潰せば良いんじゃないかな」
「まぁ、そうしようとは思ってる」
「だったら、その作戦で行こうっ」
「なんでお前らはそんな物騒な思考なんだよっ!あ、いや、貴女様方は・・・」
静観していたエーリッヒが堪らず突っ込んだ。
「大丈夫。ミトさんが好き放題暴れても私がケツ持ちするから」
「その時は頼んだ」
ってか、ケツ持ちってヤクザかよ・・・。
「マジかよ・・・」
「その時は後始末を請け負う代わりに色々お願いする事になるけどね」
「何をだよ・・・?怖いな」
「ミトさんって独力で国くらいなら落とせるくらい強いんでしょ?」
「やりようにもよるけどな」
「ウチの領に手を出すと報復に来る暴れん坊が居て」
「あ、暴れん坊・・・」
「それを制御出来るのは私だけ。って、周知出来れば皆にメリットあるかなー?って」
「な、なるほど・・・」
「でも、エーリッヒさんの消息を掴めてないみたいでもう何もして来ないと思うけどね」
「マジか」
「多分、もう忘れてるんじゃない?」
「マジか・・・」
エーリッヒが1年以上駆けずり回って苦労した意味は何だったんだろうな・・・。
後ろを見るとエーリッヒは膝から崩れ落ちていたが、それも当然の反応だ。
「私としてはその貴族が手出ししてきてミトさんがボコって。その貴族の寄親も出てきて、それもミトさんが潰してくれたりするのが理想かな」
「どんだけ暴れさせるつもりだよ・・・」
「そのくらいが理想。それより大きくなると収集つかなくなるし」
さっきまでは暴れる気満々だったけど、ナエジに良い様に使われるとなると萎えてきた。
萎えジってか・・・いや、なんでもない・・・。
「まぁ、何も無いのが1番だ」
「でも、色々とこっちも動いたんだから。いざって時はミトさんの事アテにして良いよね?」
「いや、まぁ・・・多少なら・・・」
ナエジと約2年振りの再会を果たし、エーリッヒの置かれている立場も分かった。
なので屋敷に戻って一休みする事になった。
「いつも急ですいません」
「いえ、その為のメイドですので」
おっさんやジョーさんに手紙を出そうと思ったがシェリルさんが既に早馬を出してくれたらしくフーバスタンクに到着してまだ朝にも関わらずやる事が無くなってしまった。
「俺は寝る」
「俺も寝るか・・・」
ちなみにナエジに聞いた所、どうせまた厄介な事に巻き込まれてるだけだろうと思い。失踪してから5年は屋敷の名義はそのままにしておこうと思っていたらしい。
シェリルさんとリンさんは午前中は屋敷の清掃等をして午後からは別の仕事をしていたようだ。
「そう言えば・・・エレノアってどうしてます?」
「オーパスポーカスに戻られました」
「へー、まぁ、2年もあれば色々変わって当たり前か」
「ミト様のお宅を拠点にされてる様です」
「!?」
またかよ!
知らずに帰ったら、また家なき子になる所だった・・・。
「じゃあ・・・手紙書くんでそれも送って貰って良いですか?」
「畏まりました」
帰って来たから今直ぐに出ていけというのも酷なのでフーバスタンクでの滞在期間を延ばして猶予を設けよう。
「それじゃあ、これお願いします」
「畏まりました」
「あれ?エーリッヒは?」
「もうお休みになられました」
「早いな・・・えっと、勝手に出歩かない様に言っといて下さい」
「畏まりました」
起きるタイミング次第で行き違いになる可能性もある。
ナエジが言うにはもう大丈夫らしいが確証は無いので安全第一で行動するべきだ。
「それじゃあ、俺も寝ます」
「はい。おやすみなさいませ」
エレノアに与えた猶予は1週間。
急に1週間で出ていけと言われるとキツいかもしれないが家主の許可無く勝手に住み着いてるのも2回目だ。
今回もきっとジョーさん当たりの許可は出ているんだろうが家主は俺だ。
というか・・・折角、飛ばして帰って来たのに・・・まさかフーバスタンクで1週間の足留めを食うとは思ってもみなかった。
召喚されてからフーバスタンクに帰って来るまで1度もオーパスポーカス絡みの夢なんて見なかったが、ようやく帰って来た実感が湧いた所為かエレノアの所為で足留めを食った所為かは分からないがオーパスポーカスの夢を見た。
ただ、オーパスポーカスの家と日本の実家と社会人になってから住んだ1kの部屋とが混ざり合った妙な家で過ごす妙な夢だったが。




