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202話 転売屋

トウモロコシ尽くしの街を出て、再びオーパスポーカスへの旅路を急いだ。


「稼いでそうだな」

「まぁ、そこそこだな」

「オーパスポーカスに帰る前に借金は返してくれんのか?」

「ちょ、待て。それは、もうちょい・・・」

「だよな。お前、豪遊しすぎだろ」


立ち寄った村々で高く売れる物を少しずつ売り捌き。懐が潤ったと思ったら夜な夜な外出していたから貯蓄は一切考えていないのだろう。


「一応、借金だって事は忘れんなよ?」

「お、おう」

「それからな?」

「ん?」

「売った金でまた仕入れたりしないのか?」

「え?・・・あ、そうか・・・商人ってそうやって儲けてんのか」

「そうだな。入った金で遊んでたら仕事にならないだろうからな」

「セ、セーブする・・・」

「じゃないと、帰ってからも借金生活だからな」

「おう・・・」


買って売るサイクルが頭に無かっただけでエーリッヒの目利きは確かなので行商人としてもやっていけそうな気はする。

塩や胡椒なんてそこまで重くもなく嵩張らないから行商人が必要分は売りに来てるだろうと思ったが。丁度、行商人が来る時期の少し前との事でエーリッヒは悪徳商人と化して倍近い値段で売っていた。

そして、タバコなんかは倍以上で売っていた様だ。

逆に俺が勧めた生鮮食品はあまり儲けにはなっていなかった。


それからはエーリッヒも転売ヤーとしての面白さに目覚めたのか。俺からの貸付を追加して更に多くの買付を行い売買のペースを上げていった。


「うーん・・・」

「どうした?」

「よし」

「うん?」

「借りた金返す」

「いや、それは返せよ」

「ん?今返す」

「え?もう返せるのか?」

「おう」


金を返して貰ったが、アイテムボックスにはまだまだ買い付けた商品が入っている。


「いや、な?」

「うん?」

「もうちょいでフーバスタンクだろ?」

「だなぁ」


進路的に一旦フーバスタンクを経由してからオーパスポーカスに帰る事になっている。


「まぁ、帰るまでにキレイな身体になってたくてな。気分的に」

「あぁ・・・借金を清算してか」

「おう」

「アイテムボックスに入ってる商品はどうするんだ?」

「フーバスタンクで全部売り捌く」

「売れんのか?あんな大きい街で」

「買い叩きまくって底値で買ったから赤字にはならん」

「悪徳だなぁ」

「向こうも余らしてて現金に替えたかったんだからお互いに利益がある」


短期間で完全に商人の思考になったな。


「何か、もう商人としてやってけそうだな」

「それは無理だな」

「そうか?いけそうな気するけどな」

「お前のアイテムボックスありきだからな。自力じゃ無理だ」

「ふむ」


自分の能力を客観視出来てる辺り商人としての才能ありそうな気がする。

というか、何をやらせても大きな失敗はしなさそうだ。


「じゃあ、帰ったら冒険者に復帰か?」

「復帰って何だ?ずっと俺は冒険者だけどな」

「ここ数ヶ月は依頼受けてないのにか?」

「そりゃ、ずっと旅してるんだから仕方無いだろ」

「まぁ、確かに?」


とはいえ、若い内は良いとして・・・って、もう若くは無いが・・・身体の動く内は冒険者でもやっていけるだろうが。年を取って身体が動かなくなったり怪我で思うように動けなくなったりしたら冒険者なんて続けられないんだから商人という選択肢も悪くは無いと思う。


「あ、そうだ。フーバスタンクに着いたら一旦はフーバスタンクに滞在しようと思う」

「そうなのか?」

「おっさん宛に手紙は出そうと思うけどな」

「そりゃ、な」

「エーリッヒに報復しようとしてる貴族がどうなってるか分からないけど」

「おう・・・」

「フーバスタンクの領主に助けを求めるつもりだ」

「お前に手紙書いて貰って挨拶はしに行ったが無理だって言われたぞ?」

「セバスチャンさんにだろ?」

「おう」

「派閥が全然違うって聞いた」

「らしいな」

「一旦、お前にはナエジ・・・領主に仕官させて貰って領主の庇護下に置いて貰おうと思ってる」

「そんな事出来無いだろ」

「まぁ、ダメ元で頼んではみる」

「ふむ」

「ダメなら俺に仕官する形でも良い。俺も一応はなんちゃって貴族だからな」

「そういやそうだったな」

「それでもまだ突っ掛かって来る様なら・・・」

「うん?」

「こっちも手段は選ばない」

「何する気だよ」

「ん?普通に殺す」

「物騒過ぎんだろ。相手は貴族だぞ?」

「バカに時間も手間も割くのは非効率だろ?」

「って言ってもなぁ・・・」

「因果応報ってやつだ。喧嘩売る相手間違えたって諦めて死ね」

「・・・・・・」


場合によってはその貴族の一族郎党根切りにしても構わない。


「って事だから、しばらくはフーバスタンクの屋敷で大人しくしといてくれ」

「分かった」



そうして、ようやくフーバスタンクまで帰って来る事が出来た。


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