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200話 咀嚼む

投稿順を間違えました。


エーリッヒが部屋に戻ったのは深夜になってからだった。

依頼を熟す為の情報収集をしていたのか、なけなしの所持金を(はた)いて発散してきたのかは不明だ。


この宿は朝ご飯が付いているがエーリッヒが起きてくる様子は無い。

昼食や夕食は別料金ではあるが宿泊客は割引が適応されて半額程で食べられる。


朝食を食べた感じ、そこそこ美味しいのでエーリッヒにも勧めておこう。

というか、俺が金を出してるんだから朝飯を食え。

それで、腹減ったとか言われても金を出さないからな。


そして、宿の主人に聞いた酒屋や酒蔵に向かうべく宿を出た。


「らっしゃい」

「オススメの酒が欲しいんですけど」

「ならバーボンだな」

「種類とかありますか?」

「酒蔵によって味は全然違う。それから熟成の年数で値段が全然違うな」

「試飲とかって・・・」

「ウチで買ってってくれんのか?」

「買います、買います」

「なら、ちょっとだけだぞ?」

「ありがとうございますっ」

「ダメに決まってんだろっ!」

「え?」

「あ・・・」


と、店の奥から奥さんらしき人が出てきた。


「アンタはまたそうやって!」

「す、すまん」

「もう下がって裏で事務でもやってな」

「お、おう・・・」

「ごめんなさいね?」

「い、いえ・・・」

「あの呑んだくれはね?試飲にかこつけて封を開けるでしょ?」

「は、はい」

「開けたのはもう売り物にならないから自分で飲む気なのよ」

「なるほど・・・客をダシに自分で飲む酒を確保してたんですね」

「そう!」


と、そこから旦那さんへの愚痴がしばらく続いたが・・・。


「あ、あの・・・」

「うん?」

「試飲が無理なら説明を・・・」

「あらやだ。あたしったら嫌だよ」


と、そこからはちゃんと説明をしてくれた。

瓶詰めされているので熟成は進まない。バーボン特有の香りは樽由来。熟成をさせないバーボンもあるが味的にはオススメしない。コスパ的には3-5年熟成くらいが良い。等など、先程までの愚痴っている姿とは別人に思える程しっかりとしていた。と、いうと失礼かもしれないが実際にそうだった。


「じゃあ、熟成させてないのと3年物と10年物を。酒蔵別で1本ずつ下さい」

「ホントに試したかったんだね。ごめんねぇ」

「いえいえ」


買う気も無いのに試飲をしたがる客も居るらしく基本的に試飲させてくれる店は無いそうだ。


そのまま酒蔵に行こうかとも思ったが試しに買ったのを試してからでも遅くないので一旦宿に戻って1人で酒盛りをする事になった。

エーリッヒも戻っていれば巻き込んだんだが小遣い稼ぎに精を出している様だった。


さっき行った酒屋で取り扱っているバーボンの酒蔵は5軒で0年と3年と10年を各酒蔵分買ったので15本も買ってしまった。

15本も買ったからか買う気も無く試飲しようとしたと疑ったからかは分からないが酒屋の奥さんから干し肉とビスケットを貰った。どちらもバーボンのツマミとして良いそうだ。


まずは0年。熟成をさせていないバーボンを5本並べる。

グラスも5つ用意してそれぞれに少量だけ注いでいく。


「お?」


バーボンなのに無色透明だ。匂いを嗅ぐとアルコール臭がかなり強い。

一気に呷り口の中で転がす。


「ふむ・・・」


ウォッカやジンと比べると甘みが多少ある気はするが昨日バーで飲んだバーボンの様な甘さは無く、バニラやキャラメルの様な甘い香りも感じなかった。


2杯目、3杯目と試していくが多少の差異はあれども、どれも安酒といった味でわざわざ選んで飲みたい味では無かった。


気分転換と口直しを兼ねて酒屋の奥さんから貰った干し肉をしがむ。

塩気とパンチのある胡椒が効いていて結構美味しい。


そして、4杯目、5杯目と飲み干したが熟成させていないバーボンはどれもイマイチだった。


続いて3年熟成のバーボンも同じ手順で飲んでいく。

こちらは一気に穀物特有の甘みが出て香りもスモーキーでバニラやキャラメルの様な深い香りが鼻腔をくすぐった。


「全然、違うな」


味や香りもそうだが、まず見た目が違う。

熟成無しは無色透明だが3年熟成の物は酒蔵によって多少差はあるがどれも琥珀色だ。


続いて10年物。

酒は本当に値段が味に直結していて、10年物はどれも嫌なアルコール臭を感じないし喉を通る時の刺激もかなり少ない。


確かに、これはある程度お値段がするのも頷ける。


ドンドン───。


「居るかー?」


と、雑なノックの音とエーリッヒの声が廊下から響いた。


「開いてるぞ」


ガチャ───。


「なんだ?・・・ん?朝っぱらから飲んでんのかよ」

「まぁな」


宿の主人にエーリッヒが戻ったら俺の部屋に来る様に言伝を頼んでいたのだ。


「エーリッヒも飲むか?」

「飲まねぇよ」



じゃあ何しに来たんだよ?と、思ったが俺が呼んだんだった。


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