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197話 ヰ世界

取る物も取った。いや、盗ったか。なのでバレる前にとっととずらかろう。


まずは城下町に向かい簡単に情報収集。


「なんにする?」

「エール」

「食い物は?」

「オススメでさっと出せるのは?」

「シチューはどうだ?」

「んじゃ、それで」


街も賑わっているし戦争どうこうといった雰囲気も無い。

酒も普通の値段だし食い物もちゃんと美味い。


宝物庫にあった金貨なんて使える訳が無いので宰相の執務室にあった財布もちょろまかしてきたので、お代はそこから支払った。


早ければそろそろバレている頃かもしれないので夜間ではあるが街を抜け出して逃亡を図る。


飯屋の主人から色々聞いたが隣国の情勢までは当たり前に知らない様だったので地図を開いて眺めてもどこを目指すのが正解かは全く分からない。


現状、最優先事項としては王都から離れる事。

それから、離れた先で冒険者ギルドにでも行き隣国の情報収集をして目的地を設定する。

馬を調達して徒歩から馬車旅に移行する。

そして、オーパスポーカスの様に落ち着ける居場所を探す・・・。


アイテムボックスに食料を筆頭に生活に必要な物は揃いに揃っているので野営をしている分には問題無いが街や村で宿を取るとなると現金が必要になってくる。

どこぞの宰相の財布は直ぐに空になってしまったので足が付く覚悟をして宝物庫からパクった金貨を崩すかアイテムボックスの中の物を売るか短期のバイトをするか・・・むしろ、前の世界の金貨を現金化した方が足が付かない可能性もあるな。


冒険者ギルドで登録をして低ランクの簡単な仕事を消化して日銭を稼いだりしつつ旅を続け、ようやくそこそこ大きな街に来たので金貨を現金化するべく商業ギルドにやってきた。


「いらっしゃいませ。ご要件は?」

「換金、もしくは買取をお願いしたいんですが」

「はい、お預かり致します」


とりあえずで前の世界の金貨を1枚、ギルド職員に手渡した。


「これはまた・・・」


不味かったか?


「珍しい金貨を」

「え?珍しいんですか?」

「かなり離れた国の金貨ですから。あ、いえ、もう亡くなった国ですが」

「へ?」


離れた・・・国?


金貨は換金ではなく商業ギルドに口座を作ってそこに預金する形になった。

というか、金なんて今はどうでも良くて。

職員さんに話を聞くとかなり離れてはいるが同じ大陸にある国だった様で・・・2度目の異世界召喚では無く今回は同世界召喚だった。

なんでこの世界のやつは簡単に召喚なんてものをするんだ・・・。


それから、またオーパスポーカスに帰るべくハイペースで旅を続けた。


「部屋空いてるか?」

「相部屋なら空いてる。素で銅貨3枚だ」

「んじゃ、相部屋で。それと、馬を預かって欲しい」

「馬は1日に銅貨2枚追加だ」


この所、雨が続いていて気が滅入る。

まぁ、気分の問題だけなら我慢すれば良いだけって話だが強行すると馬が保たない。

相部屋しか空いていないのも雨から避難してるやつがそれだけ多いって事だろう。


こんな所で足留めか・・・と、思ったが召喚されてからずっとハイペースで旅を続けてきたのだ。それこそ国をいくつか越える程に。

だから、ここらでゆっくりするのも悪くは無いだろう。どうせ追手もここまでは追って来ないだろうし。


フェイク用の荷物を部屋に置き、馬を預けてから受付に戻って来た。


「この辺りでオススメの飯屋は?」

「ウチだ」


こんな安宿で晩ご飯は遠慮したくて聞いたんだけどな・・・。


「宿泊客なら銅貨1枚で腹いっぱいになるぞ?」

「じゃあ・・・」


と、渋々、飲食スペースに向かい注文をしたが・・・思いの外混んでいる。もしかしたら味も期待出来るかも?と、空いている席を探したがほぼほぼ埋まっていて相席になりそうだ。


「ここ良いですか?」

「おう、空いてるぞ」


席に着き、一息吐いた。


「「え?」」


え?


「エーリッヒ?」「ミト?」


え?何で?


「「何でお前がここに?」」


それからお互いにこれまでの事を話し合った。

召喚云々の事は話すついでに召喚自体が2回目で。1回目の話や召喚前の話、日本での事も話す内に信じてくれた。信じてくれたんだよな?頭がおかしくなったとか思ってないよな?


そしてエーリッヒは宣言通りに旅を続けながら冒険者ギルドで依頼をこなし名声を高めている途中らしい。

まぁ、こんな安宿に居る時点で高まっていない事は明白だが・・・。


「で、このままオーパスポーカスに帰るのか?」

「そのつもりだ」

「そうか・・・」

「なんだ?俺の顔見てホームシックにでもなったか?」

「なっ・・・まぁ、そうなのかもな・・・」


エーリッヒがオーパスポーカスを離れて1年と少しくらい経っているだろうか。

突然、安定した生活と住む場所を奪われて放浪の旅に強制的に出なければいけなくなり。その上で慣れない環境で仕事が上手くいくとも思えないし、モチベーションがそんな長期間保つ訳も無く・・・丁度、心が折れてきたタイミングで俺と再開したらホームシックにもなるか。


あまりの驚きで、この安宿の食事が美味しかったのかは覚えていない。


「ふぅ・・・どっか落ち着いた所で飲むか?」

「そんな金無ぇよ」

「そんくらい奢るって言うか・・・」

「ん?」

「お前の宿どこだ?」

「ん?ここだ」

「個室だよな?そこで飲むか?」

「いや、相部屋だ」



偶然は続き、まさかのエーリッヒと相部屋だった。


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