表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
193/230

193話 飛ぶ鳥

鍛冶場の見学をするという目的は早々に達成されたが直ぐに帰るというのも(しゃく)なので、お土産を買うという名目で爆買いツアーを数日に渡って行っている。


「んじゃ、行ってくるわ」

「今日も帰らないのか?」

「だな」


おっさんはフーバスタンクに来てから1度もこの屋敷に泊まっていない。

昔馴染みの家を転々と泊まり歩いているらしい。


息子のジョイさんの家にも泊まったそうだ。

既に結婚していて子供も居るそうで、ジャコ君も可愛いが孫娘というのは格別に可愛いと言っていた。

もしかしたら、これを機にフーバスタンクに足繁く通う事になるのかもしれない。


「あ、おっさん」

「んー?」

「明日の朝出発しようと思う」

「いきなりだな」

「いきなりも何も2日目にはやる事全部やり終えたからな・・・」

「それもそうか。んじゃ、暗いウチに帰る」

「遅れたら置いてくからな」

「分かった分かった」


おっさんを見送り、俺は俺で出立の準備をしなければならない。

まず、セバスチャンさんとの面会の申請を出してからウェインさんに挨拶に向かった。

鍛冶場の見学なんて技術の情報漏洩にもなる事を快く引き受けてくれた訳だから。


ウェインさんに感謝と別れを告げて、セバスチャンさんにもオーパスポーカスに帰る旨を伝え。メイドさん達にも帰る事を報告し、引き続きエレノア達の世話をお願いした。


陽も傾き始めた頃、ようやく挨拶回りも終わり。このまま屋敷に戻っても良いがふとある事に気が付いた。

鍛冶場は見せて貰ったが武器屋は見ていない。


という訳で、屋敷に戻る前に1軒か2軒武器屋を見てから帰る事にした。


「ふむ」

「冒険者には見えないがそんな剣なんて見てどうする気だ?」

「あー、いや・・・剣って格好良いですよね」


元冒険者だし、それどころか異世界から召喚されて魔王を討ち倒した勇者パーティーの1人なんだけどな。

いや、最終的に1人で倒したんだから俺が勇者と言っても差し支えなくはある。


でも、冒険者に見えないか・・・。


「あぁ、観賞用か。それならこっちのがオススメだ」


店主の指差す方にある剣は棚に飾られた華美というか・・・ゴテゴテとした装飾の付いた見た瞬間に実用性皆無なのが分かる剣だった。


「ちょいと値は張るが映えるだろ?」

「で、ですね・・・」

「安いのが良いなら、そこの樽に入ってるのが安いのだ」

「はい」


一応、無造作に樽に突っ込まれた剣も見ていくが棚に飾られている剣と比べても大差無い。50歩100歩だ。値段は倍以上も違うのに。

これなら俺が打った剣の方が遥かに出来が良い。


おっさんが俺をフーバスタンクに連れて来た理由はやっぱり俺の鍛冶のレベルを知らせる為。

マーシーさんのパンケーキ地獄から逃れる為でもあるだろうけど・・・。


そして、もう1軒武器屋を冷やかしてから屋敷へと帰った。


「いってらっしゃいませ」

「はい。じゃあ、屋敷の事よろしくお願いします」


御者台に乗り込み、馬車を走らせる。


「寝てないんだろ?後ろで寝てても良いんだぞ?」

「辛くなったらそうさせて貰う」


いや・・・朝っぱらから横に酒臭いやつが居るから後ろに行って欲しかったんだけど・・・。


「お前も話し相手が居ないと暇だろ?」

「まぁ、そうかな・・・」


酒臭いのと暇なのを我慢するのを天秤に掛けると・・・7:3で臭い方が辛い。


「そういや・・・昨日、武器屋を何軒か回ったんだけど」

「どうだった?」

「微妙だった」

「だろうな」

「フーバスタンクの方がオーパスポーカスよりレベルは高いんだよな?」

「そうだな。ちょい上のはずだ」

「これで自分の鍛冶師としてのレベルがどんなもんか分かっただろ?」

「そうだな、たぶん」

「しかも、それで始めたばっかなんだからな。これからまだまだ伸びてくって考えたら末恐ろしい」

「あー、それでな?」

「おう」

「武器屋のマリリンさん紹介して貰ったけどさ」

「おう」

「俺の身元を隠そうと考えたらマリリンさんの所じゃ微妙な気がして」

「かもしれんな」

「フーバスタンクの領主補佐の人に頼んで流通させて貰おうかと話したんだけど」

「おー、良いじゃねぇか」

「事後承諾になってすまん」

「んー?別に紹介しただけだ。後は契約上問題無ければ構わん」

「俺、契約書ちゃんと読んでないんだけど・・・」

「まぁ、問題無い。ただ、取引を辞める3ヶ月前には通達するのが慣例ではある」

「なら、帰ってから報告して3ヶ月後にって感じか」

「そうなるな」


たしか週に1本ペースで納品する契約だから13-15本納品すれば良いのか。


「適当に15本くらい打っておっさんに預けたら、それで契約完了って事で良いのか?」

「あー、んー、それでも問題無いな・・・」

「ん?微妙に歯切れ悪いな。適当っても雑に打つつもりは無いぞ?」

「いや、依頼受けてから打つ契約なの忘れてるだろ」

「あー・・・そうか・・・」

「っても、お前の打つ剣なら依頼無視しても文句は言われんだろうがな」



そんなにか。

でも、契約を打ち切る訳だから・・・そんな微妙な契約違反をして禍根が残っても微妙だからちゃんとやるしか無いか。

立つ鳥跡を濁さずって言うからな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ