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15話 女将

何も積まれていない荷台にポツンと腰を下ろす。

かなり大きな荷台で、こんな大きなのがあるのかと関心していたが伐り出した木材を載せると考えればこのサイズも当たり前なのかもしれない。


そして、荷台を曳くのが馬ではなく牛なのもそこが理由だろう。しかも、1頭ではなく2頭曳きなのが荷を積んだ帰りの重さを物語っている。


昨日と今朝の雰囲気からもあまり喋るのが好きではない様子なので黙って荷台で揺られている。


馬よりも速度が遅いのもあってか揺れが少ない。

そして、朝叩き起こされて寝足りなかったのも手伝って気付いた時には荷台で眠りに落ちていた。


「おい」

「!?」

「ん」

「あ、着きました?」

「ん」

「ありがとうござました。えっと、どっちに行けば良いですかね?」

「ん」

「あ、あっちですか」

「ん」

「え?なんですか?これ」


何か包みを手渡してきた。

受け取って包みを開けるとパンとデカい肉の塊と水筒が入っていた。


「良いんですか?」

「ん」


礼を言い別れたが、見えなくなるまで手を振ってくれていた。

めちゃくちゃデカくて全然喋らないから怖かったけど実はめちゃくちゃ良い人だったのかもしれない。

人は見かけによらない・・・。


言われた方向へしばらく歩くと遠くに村が見えてきた。

途中、休憩がてら巨人から貰ったパンと肉塊を朝兼昼飯にしたが顔くらいの大きさのパンが2つに顔よりも大きな肉塊。食い切れるか!とツッコミそうになったが別に1食分とは言われてなかった。


辿り着いた村ではしばらく滞在する事になった。

マルコから聞かされていた通り。この村から国境を渡る定期馬車が出ていた。

ただ、その馬車が出るまで半月程あるとの事でしばらくは宿暮らしする事になった。


「払えんのかい?」

「払えますよ」

「逃げられちゃこっちも困るんでね」

「前払いで良いですよ」

「そうかいっ?」


宿に入るなり上から下まで舐める様に値踏みする視線が鬱陶しかったが接客は更にウザかった。


「飯は朝と夜の2回。どっちも7時から8時まで。それ逃したら別料金だからね」

「はいはい」


比較的割高に感じたが半月分の宿代を払い指定された部屋へと向かった。

夜にはお湯を桶1杯と蝋燭が1本支給されるらしいが・・・それを含めても高く感じた。


定期馬車が来るまでの半月は本当にする事が無くて暇だった。

宿で朝食を食べ、昼間はプラプラと散歩がてら向かう先の情報収集・・・は3日で済んだので森に入って狩りをしたりして時間を潰し、宿で夕飯を食べた後に部屋でひとり酒をして寝る。

そんなルーティーンで過ごした。


晩酌用の酒は貴族からかっぱらった良い酒を飲んでいる。

なので宿では酒を頼む事も無く態度の悪い女将からは金にならない客だと聞こえる様に陰口を叩かれている。


ちなみに、部屋の物は全てアイテムボックスに収納してある。

ダニだらけの汚いベッドなんて使いたくないので一旦全てを収納して自前のベッドやソファを使っている。

自前というか、これもかっぱらってきたやつだけど。


そして、定期馬車が来る前日に事件は起こった。


狩りから戻ると部屋が荒らされてたのだ。

ソファやサイドテーブルの姿は無く。ベッドはシーツや枕が無くなっていたがベッド自体は残っている。

恐らく、ベッドは大きすぎて運び出せなかったのだろう。


「部屋が荒らされてるんだけど」

「知らないよ。自己責任だね」

「ベッドとかも荒らされてるんだけど?」

「だーかーらー、自・己・責・任!」

「ふーん」


完全にグルだ。グルというか主犯なのかもしれないが・・・。


俺の居ない時に部屋を見たんだと思う。そうしたら高級そうな家具に入れ替わってるもんだから盗む事を計画したに違いない。


正直、盗品だから惜しくはない。

でも・・・そこから足が付く可能性も無くはない。


選択肢は2つ。

盗まれた物を取り返し、関わった奴らを全員ボコす。

もしくは、気にせず放っておく。


前者はスカっとする。後者は手間が掛からない。


盗品だから無くなっても惜しくないし、盗んだ奴らをボコった所で得られる物は無い。

貴族だったら金目の物とか良い酒なんかも隠し持ってそうなんだけど・・・。


ただやっぱり、やられっぱなしというのは性に合わない。


定期馬車が村に到着して乗る旨を伝えてから宿に戻り性悪女将にチェックアウトする事を伝えると下卑た笑いを含んだままそれを隠そうともせずに「またのご利用を」等と宣っていた。


なので報復決定だ。



何をしたかと言うと。

宿に人が居ないのを探知スキルで確認してから建物ごとアイテムボックスに収納してやった。

宿があった場所は完全に更地になった。

そして、その足で定期馬車に乗り込み次の目的地へと旅立った。


ただ、惜しむらくは女将の崩れ落ちる様を指さして笑ってやれなかった事だ。


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