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134話 逆に

個室のお高い飲み屋を追い出された後。店員さんに聞いた朝までやっている店に行き、朝まで時間を潰してから宿を取って爆睡した。


エーリッヒとその店の店員が顔見知りだったようなのでその店に放置させて貰ったのでその後エーリッヒがどうなったかは知らない。


昼過ぎにモソモソと起き出してポーションをキメても中々身体のダルさが抜けずベッドの上でダラダラと過ごし。動き出したのは夕方も近くなった頃だった。


「おう、おっさん」

「おう、帰ったか」


夕方になり何となく外に出て意識せずに歩いていたが自然と足が向いたのはやっぱりここだった。


「土産は?」

「昨日、ジョーさんに渡した」

「菓子なんて要らねぇよ」

「酒かよ」

「決まってんだろ」

「酒、買ってないんだよなぁ」

「いや」

「ん?」

「報酬で貰った酒があんだろ。聞いてるぞ?」

「あー・・・あれか」


あれは別に土産でも何でも無いだろ・・・。


「まぁ、1本なら良いぞ」

「おー」

「ほれ」

「うひょー」


と、酒を掲げて小躍りしながら去って行った。


「元気なおっさんだな・・・」


酒カスだけどアル中では無いみたいだし死なない程度に楽しんでくれ。


「あ、ミトさん!」

「マーシーさんただいまです」

「おかえりなさい!」


何か、マーシーさんも元気だ。


「あんなお菓子いっぱいありがとうございます」

「いえいえ、いつもお世話になってるんで」

「あれってやっぱりオーパスポーカスでは売ってないですよね?」

「どうなんだろ?今は無くてもその内こっちにも来るんじゃないですかね?

「そうですか・・・」

「あー、まだストックあるんで無くなったら言って下さい」

「良いんですかっ!?」

「はい。あ、それから」

「はい」


フーバスタンクからの帰りの道中で作った物がある。


キレイに洗ったミントの葉を刻んで瓶に入れ、そこに何度も蒸留したアルコールを入れる。

そして、密閉して数週間ミントの成分を抽出する。

アイテムボックス内で時間を加速させたので実質数時間で抽出は完了した。


ミント抽出液を濾してミントの葉を取り除く。そして、そのミント抽出液をバターに練り込みミントバターの完成。そのミントバターを使ってミントアイスを作った。

更に、そこにチョコレートを混ぜ込んでチョコミントアイスの完成。


「これ、チョコミントってアイスです」

「!?」

「新作ですかっ!?」

「好き嫌い分かれる味なんで感想聞かせて下さい」

「はいっ!」

「いやいやいや、ここで食べなくて良いですよ」

「え?そうですか?」

「持って帰ってゆっくり食べて下さい」

「はい!では、失礼しますね!」

「はーい」


マーシーさんはスキップしながら帰って行った。


「そっちは義理のはずなのに似てるな」


おっさんの実の子供はジョーさんだけど似てると思った事は無い。

母親似なのかな?そして、奥さんが父親似?

遺伝子的にそういう自分とは逆の存在を求めたりするんだろうか?


さて・・・。

当分、酒はいいし。今日は胃に優しい感じの夕食にしたい。

宿だと味の濃い夕食だろうからどこに食いに行こうかと悩みながら歩いていると。


「お・・・昨日は迷惑掛けたっぽいな」

「そこそこだな」


エーリッヒに出会した。


「どこ行くんだ?」

「エレノアの4人に話があってな」

「あー、昨日言ってたやつか」

「どこまで話した?」

「ほとんど聞いてねぇ」

「そうか、全然覚えてねぇ・・・」

「解決しそうとしか聞いてないな」

「まぁ、詳しくは済んでからで良いか?」

「任せる」

「それじゃ、な」

「今日はもう飲むなよ?」

「いや、もう酒なんて一生飲まん」


酒飲みがやらかした次の日には全員思う事だな。

もう一生飲まないから楽にしてくれ。でも、その次の日には飲んでたりするから救いようがない。



それから数日後ストーカー野郎に鉄槌が下った。


エーリッヒが飛び回っていたのはストーカー野郎の実家やら祖父母の素性を調べたり話を通しに行っていたかららしい。

父方の祖父が功績を上げて3代限りの条件付きで男爵位を叙爵した家系らしいが親の代は市民と変わらない生活をしていたのでストーカー野郎の代で功績を上げないと男爵位を剥奪されてしまうそうだ。


まぁ、そんな先の無い貴族だった訳だけど。

初代の爺さんに話をした所、そんな孫ならどうとでもしてくれと許可を貰ったそうだ。

殺さなければ何をしても良いとまで言われたとか・・・。


どのみち、ストーカー野郎には優秀な兄貴が居るらしくて3代目にはなれそうもなかったらしいが代替わりするまでは時期当主候補の1人だからと偉ぶっている厄介なやつで親や兄弟からも疎まれていたそうで・・・。

なんかもう・・・逆に不憫で同情してしまうが、やってる事に同情の余地は無かったので盛大にボコったそうだ。


どうなったかだけ言うと。

片玉を潰されて恐ろしい爺さんの元に送られたそうだ。


幽閉、良くて軟禁。向こう10年はそれで過ごさせるらしい。


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