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129話 趣味

シェリルさんオススメのお店3店舗目。

醤油屋さん、お菓子屋さんに続いて・・・。


「いらっしゃいま~せ~」

「!?」


3店舗目は服屋さん。


俺のリクエストは食品や香辛料のお店で観光客目当ての店ではなく地元民が行くお店。その中でもちょっと変わったお店というリクエストだった。

まず食品じゃないというツッコミが引っ込んでしまうくらいにパンチのある店員が出迎えてくれた。


身長は2メートルくらいあるだろうか・・・。

そして、ムキムキのゴリマッチョ。


まぁ、そこまでなら冒険者ギルドに行けばそこそこ見かける。


この服屋の店員は性別不詳で女物の・・・地雷系な感じのフリフリな服を身にまとっている。


「間違えました」


入店から退店まで1秒未満。RTAならかなり良い記録だ。


「まぁ、そう言わず見てけや」


ガシッと肩を掴まれてしまった。


「は、はい・・・」


横にピッタリ張り付いてフェイスガードのマンマークでもされるのかと思ったら自由に店内を見て回れているので、ただ単に見て欲しかっただけかと思った。

思ったが・・・入口で仁王立ちしているので絶対に逃さないマンと化していた。


ゴリマッチョな地雷系オネェを気にしたくなくて服を物色するが・・・やっぱり集中は出来無い。

入口から俺の一挙手一投足をガン見されていているのに気にするなという方が無理がある。


ちなみに、品揃えは普通。

地雷系の服なんて物も無く、本当に普通の品揃えだ。


「あの・・・ピンと来るのが無かったので・・・」

「そう?また気が向いたらよろしくね~」

「は、はい・・・」


と、押し売りとかは無かった。


「帰るか・・・」


まだまだ陽は高いが心が折れた。いや疲弊したと言うべきか?

情報量の多さに疲れた・・・。


屋敷に戻り確認したがデレクの姿は無かったので、まだ戻ってないor追い返されたのどちらかだ。


「ただいま」

「お帰りなさいませ」

「デレクは?」

「お帰り頂きました」

「あ、やっぱり?」


何時間彷徨ってたんだよ。あのバカは。

まぁ、宿無しになったとしても職場が宿そのものなんだからどうとでもなるだろう。


「あ、そうだ・・・」

「はい」

「あの服屋は何?」

「変わった店をと聞かれましたので」

「いや、違うな。変わった物を取り扱ってる店を求めてる」

「扱いづらい変わった者がやっている店ですね」

「うん、全然違うね」


シェリルさんの予定では1日に全部回ると思っていたそうだ。

そして、道順的に3番目か4番目になると思い、箸休め的な・・・いや、あれで休めないだろ。とは思ったがネタを挟んだつもりだったようだ。


そして、あれはやっぱり男で女装だったらしい。

ただ、オネェではなく中身も外見も性的指向も普通の男だがフリフリの可愛い格好が好きとの事だった。


「ところで、最後のオススメってどんな店?」

「マッサージ屋です」

「あー・・・なるほど・・・」


色々と買い物をして、服屋のキャラが濃すぎる店員というネタを挟んでから最後に歩き疲れた足を癒やしてフィニッシュ。

そういう構成だったのか。

それがデレクの所為で時間制限があったりしたから中途半端になってしまったのか。


「いや、ちょっと待って」

「はい」

「それどんなマッサージ?」


最後って事でオチを用意している可能性もある。

普通に揉んでくれる気持ち良いマッサージの可能性もあれば、激痛足つぼマッサージの可能性もあれば、大人な夜のマッサージの可能性もある。


「ご期待に応えられず申し訳ございませんが普通のマッサージでございます」

「違うっ」


何かを勘違いされてるっ?


「え?違うよ?全然違うよ?違うからね?」

「配慮が足りておらず申し訳ございません」


あれ?これはどうなんだ?通じてる?勘違いされたままか?


「ですが、信用出来るお店をご利用頂ければとは思います」


うん、勘違いされてるね。


「違うよー?違うからねー?」


いや、普通にそういうお店にお世話になる事もあるけど。今、聞いたのは違うんだよねー。


「これから行かれるのですか?」

「いや、今日は行かないかな」

「申し訳ございません」

「ん?なんで謝るの?」

「いえ、次回までに調べておきますので」

「なにを?」

「安全で信用出来るお店をリストアップしておきます」

「いや、それはそれで知りたいけどっ。違うよ?そっちのお店だから行かない訳じゃないからね?」

「承知しております」

「うん、だったら良いんだけど・・・」



うん・・・。

絶対にそう思われてるよな。

まぁ、別に良いんだけど・・・。


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