114話 お土産
ガキンチョに叱られて以降はちゃんと大人しくしていた。
問題を起こさないように・・・。
それと、狩り場は変更した。
ランク適正がどこかは分からないがガキンチョ達に出会して気まずい思いをしたくなかったから。
「って事があって・・・」
「子供に怒られる大人・・・」
「あんま言うな・・・ガチでショックを受けてるんだから・・・」
と、暇を持て余しているナエジに面白話として披露したが話してて再びショックを受けたしナエジのドン引きしている表情にも更にショックを受けた。
「でも、いいなー」
「ダンジョンか?」
「ダンジョンもだけど外に出たーい」
「だろうな」
「お土産くらい買いに行きたいんだけどなぁ」
「ナイスだ」
「ん?」
「お土産買うの忘れてたわ」
「もしかして抜け駆けしてお土産買いに行くつもり?」
「頼まれてるからな」
「だったら私の分も買って来てよっ」
「いいけど?」
という訳で、ナエジから頼まれたお土産を買いに街に出た。
兄弟へのお土産とその母親達へのお土産を頼まれたがナエジの兄弟もやっぱり子供ばかりなのでリクエストされたお土産はお菓子が中心で適当に買ったが問題は無いと思う。
問題は母親達へのお土産だ。
良い酒や良いタバコと本人からのリクエストがあるのは良いが、お任せというのが1番困る。
いや・・・お任せ以上に困るのがリクエストにあって、それをどうするか悩んでいる。
王都で最先端のオシャレな服と下着。
うん、これは無理だ。
100歩譲って服は買えたとしても下着は流石に無理がある。
ナエジと一緒に買いに行けば服はセーフかもしれない。でも、下着はナエジが居たとしても逮捕だ。
なので服と下着は諦めて貰って木彫りの熊でもお土産にして貰おう。
「って事で、下着なんて買えないから。代わりに木彫りの熊買ってきた」
「なんでやねんっ」
「おぉー」
関西人のなんでやねん。
ネイティブじゃないと出来無いイントネーション。
「予想外過ぎてシンプルなんでやねんが出てもぉた」
シンプルなんでやねんって何だ・・・?
「ってか、北海道土産ちゃうねんから木彫りの熊ってなんやねん」
「いや、あったから・・・」
「なんなん?王都ちゃうくて北海道に来とんのか?」
「そんなん知りまへんがな」
「エセやめろ」
怖っ・・・いきなりトーンがガチになった。
関西人にエセ関西弁を使うのが地雷ってのは本当だったのか・・・。
「ナエジって普段標準語だよな?」
「そうだけど?」
「滋賀出身だから地なら関西弁なんだよな?」
「そうだけど?」
「なんで標準語?」
「転生してるんだよ?前世では関西弁だったけど今世で親も周りも皆標準語なのに私だけ関西弁喋ってたらヤバくない?」
「あー、なるほど確かに」
それで、標準語に矯正したのか。
「で?」
「で?」
「木彫りの熊なんて渡せる訳無いでしょ?」
「そ、そうかな・・・まぁ、そうか」
「渡せる訳無いのっ。で、代わりの物は?」
「えー・・・何が良い・・・?また今度買っとく」
「アクセサリーとか?」
「それこそ何買や良いんだよ・・・」
「ミトさんだったら何買う?」
「え?アクセサリーで?」
「うん」
「そうだな・・・ゆび・・・」
「指輪は絶対ダメ」
「くっ・・・何でだよ・・・」
「サイズ分かるの?」
「あ、そうか」
「ネックレス、ブローチ、髪留めとかで良いんじゃない?」
「あー、確かにそれだとサイズ関係無いか」
でも、色がどうとか。デザインがどうとか言われそうで怖い。
「どんなのが良いんだ?」
「さぁ?」
「なんでだよっ」
「だって好みなんて知らないもん」
「そんなん俺だって知らねぇよ」
「だから、ミトさんが良いって思うの買えば良いじゃん」
「だったら木彫りの熊で」
「しばかれたいんか?」
冗談はさておき。
翌日にアクセサリーを買いに行ったがかなり悩んだ。
あまり良いのを買いすぎると他との差が出来てきます。
かと言って安物では・・・結局、デザインとかはほぼ関係無く、他のお土産の値段と揃えて買った。
ただ、かなりお高いアクセサリーもいくつか購入した。
こっちは普段からお世話になっているマーシーさんへのお土産だ。
ジョーさんにも何か買わなければならないが何気にジョーさんの好みを知らない。
まぁ、男共はまとめて酒で良いか。
「でもさ?」
「うん?」
「王都だからって特別な物は全然無いんだよな」
「そうなの?」
「フーバスタンクでもオーパスポーカスでも売ってる物しか無い」
「へー」
「しかも、無駄に高いし」
「だったら帰りにどこかの村で買っても良いかもね」
「そっちの方が良いか」
「王都に来るまでに何か買ってないの?」
「気になった物はそこそこ買ってる」
「だったらそれで良いんじゃない?」
「そうするか。帰りならナエジも多少は自由になれるだろうしな」
「うん」
って事は・・・王都に着くまではナエジもお土産の事は忘れてたって事か。




