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11話 アイテムボックス

「いや、まだだ」

「え?」


荷馬車の乗り賃無料と飲み食い無料。そして、晩飯時には酒も1杯出る。

それで、しばらくこの行商の護衛を勤める契約が成立したはずだと思ったが・・・。


「お兄さんが本当に強いかまだ分からないからなー」

「たしかに」

「盗賊でも出てくれれば分かりやすくて良いんだけどなー」

「って、出て欲しいのか?」

「いやぁ・・・」

「盗賊に出くわすなり俺が逃げたらどうすんだよ」

「はっはっは」

「???」

「困るっ!」

「だ、だろうな・・・」

「あ、そうだ」

「うん?」

「盗賊出たらさー」

「おう」

「退治してくれんだよな?」

「まぁ、そりゃあなぁ」

「盗賊の持ち物も懸賞金もそっちので良い」

「良いのか?」

「その代わり晩飯の時の酒はナシで」

「おい、それはズルくねぇか?」

「なんでだよー」

「出たら俺の方が得して、出なかったらそっちのが得って事だろ?」

「そー」


護衛任務の時、討伐した盗賊に懸賞金が掛かっていた場合。それは護衛の収入になる事が多い。

でも、盗賊の持ち物の所有権は護衛を雇ったやつの物になる事が多い。


「って事はだ」

「うん?」

「この辺りは治安良くて盗賊とか出ないって事だろ?」

「バレたか」

「俺の予想だと」

「まだあるの?」

「もうちょい行ったら動物とか出るんじゃ?」

「おー、正解っ」

「なるほどなー」

「全部バレたか」

「俺に食える動物狩らせて。それを飯にすれば元手タダだもんな」

「そー。多少、手持ちの野菜とかパンは出すけどねー」

「肉と比べたらそっちのが安上がりってか?」

「だねー」

「更には労働力にもなって。暇潰しの相手にもなる」

「いやー、良い拾い物だったなー」

「商人相手に交渉なんてするもんじゃねぇな」

「金勘定で負ける気はしないねー」

「ちょい待ち」

「!?」

「盗賊の持ち物がこっちなら狩った肉も俺んだよな?」

「ちょ、ちょっとそこはもうちょっと交渉を・・・」

「ふふん。どうぞ?」

「解体のやり方は?下手にやると食えなくなるからねー」

「元冒険者だぞ?解体くらいお手の物に決まってんだろ?」

「くっ・・・皮とか牙とか金になる部位の判断は?」

「出来るな」

「ぐっ・・・でも、解体で時間取られて移動が出来なくなるのも困るんだよねー」

「ふむ」

「それから、それも荷台に載せるつもりでしょー?ふふん」

「ふむ」

「解体は2人でやれば早いし?荷台に載せたいなら金貰いたいトコだけどー」

「あ、ちょい待ち」

「え?」

「そのまま進んでてくれ」

「どした?」


さっきから気配探知のスキルをONにして範囲をそこそこ広げていた。

そして、その探知に小動物が引っかかった。


「よっと」


荷馬車から飛び降り獲物に対して風下から駆け寄る。

そして、アイテムボックスから取り出した弓矢で探知に引っかかったウサギを射る。


来た道を走って戻り、ウサギを手に荷馬車に飛び乗った。


「お待たせ」

「ションベンか?って・・・」

「狩ってきた。これはまぁ小物だけどな」

「お、おう・・・言うだけの事はあったな」

「それで、これを」

「うん?」


ウサギをアイテムボックスに収納する。


「き、消えっ・・・アイテムボックスか?」


そして、アイテムボックス内で血抜きも解体も済ませた。


「そう。そして、こう」


と、解体した肉を取り出した。


「え?」

「これ、さっきのウサギ」

「マジ」

「マジ」

「アイテムボックスってそんな便利なんかよー」

「んー、俺のはちょっと特別仕様だからな。他のはここまで出来ないと思う」

「ふーん・・・。でも、アイテムボックスは羨ましいっ」

「だろうな」

「重さ感じないんだろ?」

「感じないな」

「容量は?どんくらい入るんだ?」

「そんな事よりもだ」

「うん?」

「解体に掛かる時間が?」

「ん?」

「荷台に載せるなら金を?」

「あ・・・」

「さぁ、どうする?」

「オーケー。宿代も持つし晩飯の時には酒も1杯つける」

「よしっ」

「その代わり」

「肉か?」

「いや」

「素材?」

「いや」

「お兄さんが乗ってる間はそのアイテムボックス使わせてくれ」

「そっちか」

「容量かなりあるだろ?」

「どうかな?」

「いや、かなりあると踏んだ。それがあれば買い付けれる量がかなり増えるから宿代こっち持ちでもお釣りが来る・・・はず」

「取らぬ狸の皮算用にならなきゃいいな」

「トラとタヌキ?」

「あぁ、俺の地元の言い回しだな」

「ふーん」

「肉は俺等で食うとして素材はどうする?」

「まだ俺から毟るつもりか・・・?」

「要るなら売るし、要らないなら適当に他所で売るかな」

「見せてくれるか?」

「ほい」

「無駄な傷も無いし完璧じゃん」

「そういうスキルだと思ってくれ」

「マジかよー。羨ましすぎんだろー」

「買う買う。これなら全然買う」

「まいどありー」



俺も一応は元商人だから・・・これで面目躍如って所だろうか。


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