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風のファンタジア

作者: あまなす

アジサイは

時期よりはやく

いなくなってしまった


その死に際が

あまりにも

醜いものだったから

向き合うことに

たえられなくなり

最後マナモは

視線を向けるのを

ためらった


この暑さで

昨日まで

元気なその身を見せていた

かわいい草たちが

さよならも言わず

突如として

その姿を消してしまうのは

アジサイに対して

自分がしたことの

報いだろうか


そのことの正否は

わからないことだけれど

いずれにしろ

いなくなってしまうのは

どうにも悲しいこと


夏が終わるまで

がまんしてね


残っている草花に

マナモは

そうつぶやくことしか

できない


ふし目がちに

お庭に水をやる


マナモが

空をゆく雲のはやさに

気がつかないでいると

さああと風が

いつもそうしているみたいに

お庭のとおり道にそよいで

気落ちしたマナモを

元気づけてやる


すばやくゆき去る自転車の音


話をしながら道を歩いていく若者たち


日陰で行われている年配女性たちの会話


空をゆく飛行機の音と

それを追いかける小鳥たちの声


止まっていたそれらが

息を吹き返したように

耳にさわがしく

けれど

いまのマナモには

それも

ここちよい


すこしは元気

でてきたようね


ふわり

ほほえんで

ふたたび

風がゆき去る







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