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143

 目を疑った。


 ひとりの小柄な影が、ふらふらと橋を渡っていた。

 その背中に貼り付いていたのは、「143」の番号。初日に見たあの崩れ落ちた参加者だった。


 黒い水着は、もはや原形を留めておらず、脇腹にかけて、大きく裂けていた。そこを無理やり、銀色のガムテープで押さえ込むように補修している。

 それでも、彼は進んでいた。泥だらけで、肩を震わせながら、歯を食いしばって。自らの身体を、まるで壊れかけた機械のように無理やり動かしながら。


 ここまで来たんだ。たとえ水着が破れても、身体が限界でも、誰もがそれぞれの方法で、最後まで、諦めずに。


 あの時、一緒に初めての川を渡った、あの「268」の彼女は。まだ、どこかで、同じように。

 そう思うだけで、僕の足は、再び、前に出ようとしていた。

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