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戦い方

 外に出ると、もう日は沈んでいた。

 空には月もなく、周囲はまるで世界そのものが息を潜めたかのような、深い静寂に包まれていた。

 ──たぶん、深夜。正確な時間はわからない。でも、冷たい空気が、確かにそれを告げていた。


 休憩中に、乾いた水着・水泳帽は、もうすっかりと、冷たい川の水を含み、びしょ濡れになっていた。

 ──今、この静かな夜の闇の中で、少しでも多くを稼ぐんだ。

 冷たい川を渡る。

 軋む橋を渡る。

 濡れた記録用紙に、震える指で番号を書く。

 そして、また、あの冷たい流れへと、躊躇なく向かう。

 それを、まるで時を刻む古時計のように、ただ、単調に繰り返す。

 この、あまりにも滑らかすぎる、まるで獲物を待ち構える獣のように、何かが潜んでいるような気がしてならなかった。

 何かが、嵐の前の静けさのような、不吉な予感。


 二回。

 三回。

 四回。


 疲労の色は濃いけれど、ペースは、不思議と落ちなかった。

むしろ、重い身体が徐々に、まるで長年連れ添った相棒のように、動きに慣れていき、まるで身体から重い鎖が外れていくように、信じられないほどスムーズに、重さが抜けていくような感覚さえあった。

 ──これが、夜の、静かな戦い方なんだ。

 ──「もしかしたら、自分は、まだ戦えるかもしれない」という、頼りない希望の灯火が、まるで消えかけの蝋燭のように、小さく、しかし確かに灯った。


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