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深夜
日が落ちて、完全な夜が来ていた。
空は重く、星も月もなく、冷たい風と濡れた地面だけが広がっていた。
僕は、もう何周したのかわからないほど、川を渡り続けていた。
夕方、雨が降っていた時間帯も、ずっと、泳ぎ、橋を渡り、番号を書いていた。
疲労は、とっくに限界だった。
肩と太ももは擦れて痛み、濡れた水着は水を含んで、重たく、皮膚に張り付いていた。
足も、腕も、思った通りに動かない。呼吸は浅く、視界は揺れていた。
それでも、まだ冷たい川を黙々と渡り続ける子たちがいた。
速く、静かに、まるで闇に溶けるような身のこなしで、彼らは記録を積み重ねていく。
──この深夜に備えて、彼らはちゃんと休んでいたんだ。
その差が、いま、はっきりと現れていた。
僕は違った。
ただ休むタイミングを見失い、夕方からずっと、止まらずに動き続けていただけだった。
もう、これ以上は無理だった。
川に背を向けるだけで、胸が痛んだ。
悔しくて、負けたようで、それでも、もう立っているだけで限界だった。
重たい足を、あたたかい光のほうへ向けた。
誰にも見られていないはずなのに、どうしようもなく、情けなさがこみ上げてきた。




