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みんな同じ

 そして、その瞬間、ふとした違和感が胸に引っかかった。

──あれ?

思わず、自分の体に目を落とした。

胸のあたり。まっすぐなまま。ふくらみがない。

あたりまえのように見えて、どこかおかしい。

そういえば。

──あれ?

思わず、自分の体に目を落とした。

胸のあたり。まっすぐなまま。ふくらみがない。

あたりまえのように見えて、どこかおかしい。

そういえば。

学校にいたときの女子たちは、もう明らかに胸があった。

泳ぐたびに、そのふくらみは水に浮かんでいたし、僕たち男子の目も自然とそこに向いていた。

僕は、中学一年になって、急に自分の身体が他人に見られていることを意識するようになって、前を隠すのが少し恥ずかしくて、無駄に姿勢を気にしたり、タオルでそっと隠したりしていた。別に大きいわけじゃないけど、だからこそ目立つような気がして、そわそわした。

でも──この水着は、それがなかった。

自分が“男の子”であることすら、感じなくなるように、できている。

誰かに見られて恥ずかしいとか、誇らしいとか、そういう感情が芽生える前に、

その根っこから、「何も感じないように」されていた。

それは、少しだけ──怖い、と思った。

この水着は、男子も、女子も、みんな似たような平坦な輪郭にする。

少なくとも、僕の目にはそうとしか映らなかった。

それが不自然なことに、いまになってようやく気づく。

最初は、ここで配られたワンピース型の水着を見て「女子用?」と思った。

けれど、皆が同じものを着ていた。男子も女子も。

そのときは「形が似てるだけ」だと思った。でも違った。

あれは“似ていた”んじゃない。

すでに誰もが、同じ型に作り変えられていたのだ。


 だからこそ、僕は、声がなければ気づけなかった。

 この横に座るのが、女の子だったということを。

 ――名前も、年齢も、学年も知らないのに、ただ「声」だけが、彼女の違いを知らせてくれた。


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