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焼けた皮膚

 日焼けしたところだけ、シャワーが妙に痛かった。思わず肩をすくめる。優しく包まれていたはずの水が、唐突に刃のように感じられる。

 熱すぎるわけではない。ただ、焼けた皮膚がそこだけ別の生き物になったみたいに、触れるものすべてに過敏だった。

 それでも彼は、頭から順に、律儀に洗っていった。

 湯を頭からかぶり、髪を撫でて、身体の隅々を、水と泡がなぞっていく。そのひとつひとつの動きが、心を静かにしてくれた。目を閉じれば、個室の白い壁も、外にある沈黙も、すべてが遠のいていく。

 ――このままなら、いられる。そんな錯覚すら芽生えかける。

 けれど、現実は優しくはなかった。

 シャワーを止めると、音が消えた。壁の向こうの静けさが、すぐに戻ってきた。

 個室から手を伸ばせば、そこにタオルがある。壁に沿うように、小さな棚がついていて、乾いたタオルがひとつ折り畳まれて置かれていた。何も書かれてはいないけれど、それが「あなたのためのものですよ」とでも言うように、ぴったりとした距離感で待っていた。

 彼はタオルを手に取って、身体をぬぐっていった。

 柔らかく、厚みのある布地。肩に乗せれば、温かくて安心した。焼けた肌には少し刺激があるが、それでも水分を吸い取ってくれる心地よさには敵わなかった。

 だが、それも長くは続かない。ぬぐった身体を包むものは、もう一度、あの水着しかないのだから。


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