第27話:鍛錬の日々とギルドでの依頼
リクたちは王都の訓練場を拠点に、日々鍛錬を重ねていた。
フェルダンでの激戦を通じて、リクもエリナも、そしてライアンも自身の実力不足を痛感していたからだ。
「もっと、もっと強くならなきゃ……」
リクは息を切らしながらも剣を振り続ける。
リクの動きは日ごとに鋭さを増し、攻撃の正確さも向上していった。
訓練場に集う冒険者たちの中でも、その成長は際立っていた。
「お前の動きもかなり良くなってきたな。だが、まだ隙がある」
ライアンが木剣を構えながら指摘する。
「分かってる。けど、どうすればいいか……」
リクは額の汗を拭いながら呟いた。
「力を入れすぎなんだよ。もっと肩の力を抜いて、流れるように攻撃を繋げるんだ」
ライアンは自分の技を見せながらアドバイスする。
「なるほど……よし、やってみる!」
リクは再び木剣を構え、動きを試行錯誤する。
エリナもまた、訓練に励んでいた。
彼女は魔力をコントロールする訓練を繰り返し、自身の魔法をより効率的に使えるようにしていた。
「魔力の流れを意識して……集中して……」
エリナは両手を広げ、微かな光を生み出す。
「エリナ、お前も随分と上達したみたいだな」
リクが笑顔で声をかける。
「ありがとう。でも、まだまだだよ。もっと強くならなきゃ……リクを支えられるくらいに」
エリナは真剣な眼差しで答えた。
「よし、俺たち全員、もっと鍛えようぜ!」
リクが意気込みを見せると、ライアンとエリナも頷いた。
ある日、リクたちは訓練を終えた後、冒険者ギルドへと足を運んだ。
王都に滞在する間、彼らは依頼をこなして資金を稼ぎつつ、さらなる実力を磨くことを目指していた。
「今日も何か依頼を受けようぜ。訓練だけじゃ身につかないこともあるしな」
ライアンが提案する。
「確かに。実戦を積むのも大事だよね」
エリナも同意した。
ギルドの掲示板には、さまざまな依頼が貼り出されていた。
「魔物討伐、護衛、素材収集……いつも色んな依頼があるな」
リクが掲示板を眺めながら呟く。
「王都周辺も危険な地域が多いみたいだな。最近は魔物の出現頻度も増えているし」
ライアンが指摘する。
「じゃあ、この素材収集の依頼にしようか?」
エリナが指差したのは、森で特定の植物を採取する依頼だった。
「悪くないな。魔物との戦闘もあるかもしれないし、練習にもなる」
リクが頷いた。
「よし、決まりだな。さっそく行くとするか」
ライアンが意気込んだ。
リクたちは王都の南に広がる森へと足を踏み入れた。
茂みを掻き分けながら、目的の植物を探していく。
「これで……あとはこの辺りのサンプルを採取すればいいみたい」
エリナが採取道具を使いながら言った。
「思ったよりもスムーズにいったな。けど……」
リクは周囲を警戒しながら言葉を続けた。
「確かに、まだ魔物に出くわしてないのが逆に不安だな」
ライアンも険しい表情を見せる。
しかし、その不安はすぐに的中することになる。
茂みの向こうから、不気味な唸り声が聞こえてきた。
「来たか……!」
リクが剣を構えた瞬間、数体の魔物が姿を現した。
「リク、ライアン! 私が援護する!」
エリナが魔力を集中させる。
リクとライアンは息を合わせ、次々と魔物を倒していく。
それぞれの実力は着実に向上していた。
「ふぅ……なんとか片付いたか?」
ライアンが息を整える。
「うん。みんな無事だね」
エリナがほっとしたように微笑む。
「よし、依頼も完了したし、一度ギルドに戻ろうか」
リクが提案する。
リクたちは無事に採取を終え、王都の冒険者ギルドへと戻った。
街に戻った時、夕暮れの光が王都を優しく包んでいた。
ギルドでの依頼をこなしながら、リクたちは少しずつ王都での生活に慣れていった。
訓練と実戦を繰り返すことで、彼らの力は確実に成長していく。
「明日もまた、依頼を受けようか」
リクがギルドのカウンターで笑顔を見せる。
「もちろんだ。俺たちの旅はまだ始まったばかりだぜ」
ライアンが笑い返す。
「私も、もっともっと強くなりたい」
エリナも決意を込めて頷いた。
リクたちの新たな日々は、まだ続いていく。
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