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永遠に巡る愛の果てへ 〜XANA、理想郷を求めて〜  作者: とと
第2部:リクとエリナ 〜新たな世界での出会い〜

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第26話:王都での準備

 謁見の間を後にしたリクたちは、ゼインに先導されながら王宮の長い回廊を歩いていた。

 磨き上げられた床には燭台の光が柔らかく反射し、窓の外には王都の街並みが遠くまで見渡せる。兵士たちが直立不動で並び、行き交う人々がゼインに一礼する様子からも、彼の立場と信頼が窺えた。


 「さて、ここからは私の役目だ」


 歩調を崩さず、ゼインは落ち着いた声で口を開いた。


 「宰相からの指示通り、君たちに必要な援助を提供しよう。遠慮はいらない」


 その言葉にリクは小さく頷き、隣のエリナと視線を交わす。ライアンも腕を組み、真剣な面持ちで耳を傾けていた。


 「まずは訓練場へ案内しよう。君たちが自由に使えるよう、すでに手配してある」


 やがて彼らは、王宮の奥に広がる広大な訓練場へと足を踏み入れた。

 そこでは屈強な兵士や冒険者たちが汗を飛ばしながら剣を振るい、弓を引き絞り、掛け声が空気を震わせている。打ち合う金属音や地面を踏みしめる足音が、戦いの熱気を一層高めていた。


 「ここが王都の訓練場か……すごいな」

 リクは思わず感嘆の声を漏らす。規模の大きさだけでなく、そこに漂う緊張感と熱意に胸が高鳴った。


 「フェルダンとは比べ物にならない規模だな」

 ライアンも、鍛錬に励む人々の動きを食い入るように見つめながら言う。


 「この訓練場は、王国中から選ばれた優れた冒険者や兵士が集い、技を磨く場所だ。君たちも自由に使って構わない」


 ゼインの説明に、リクは真剣な面持ちで頭を下げた。


 「ありがとうございます。ここでなら、もっと鍛えられそうです」


 「さらに――」


 ゼインは踵を返し、隣の建物へと歩みを進めた。


 「装備の支給も用意してある。ついてきてくれ」


 案内されたのは、堅牢な扉で守られた武具庫だった。

 中には剣や槍、弓から鎧、盾に至るまで多種多様な武具が整然と並び、どれもが輝きを放っている。装飾だけでなく実用性も兼ね備え、王国でも最上級と呼べる品ばかりだ。


 「ここにある装備は、すべて君たちに支給されるものだ。必要なものを自由に選べ」


 ゼインの言葉に、リクは思わず目を見開いた。


 「こんなに良い装備を……いいのか?」


 「陛下からの計らいだ。君たちの実力を信じ、支援を惜しまないと決められている」


 ゼインは淡々と、それでいて揺るぎない口調で答える。


 「……ありがたい。せっかくだから、しっかりと選ばせてもらうよ」


 リクは慎重に剣を手に取り、重さやバランスを確かめ始めた。


 「俺も負けてられねぇな」


 ライアンも大剣の刃を光にかざし、頬を緩める。


 「エリナ、お前も自分に合うものを探してみろよ」


 リクに促され、エリナもおずおずと棚に近づいた。指先で鎧の表面を撫で、その軽さと魔力の通りを確かめる。


 「これ……軽くて動きやすそうだし、魔力の流れもいい」


 彼女が手に取ったのは、薄手ながら耐久性の高い軽鎧だった。


 「君たちの戦い方に合わせた装備を選ぶといい。無理に重装備を選ぶ必要はない」


 ゼインの助言に、三人はそれぞれ頷き、装備を整えていく。


 やがて武具を選び終えると、ゼインは再び案内を続けた。


 「次に必要なものは資金だ。君たちが自由に使えるように、一定額を提供することになっている」


 王都の財務管理を担う部署へ向かい、手続きを経て袋に詰められた金貨がリクたちの手に渡る。

 その重みは、ただの通貨以上に、王国が寄せる信頼の証のように感じられた。


 「本当に至れり尽くせりだな……」


 ライアンが感心と照れの入り混じった声を漏らす。


 「君たちには確かな実力がある。それを信じて支援するのは当然のことだ」


 ゼインは表情を崩さずに言い切った。


 「分かりました。ありがとうございます」


 リクは深く頭を下げ、その言葉に誠意を込める。


 「さあ、これで支度は整った。今後はギルドを拠点に、訓練や情報収集を進めていくといい」


 「はい。まずは訓練から始めようと思います」


 リクの声には、静かな決意が宿っていた。


 「しばらくはこの王都での活動が中心になるな。訓練も依頼も、やることは山積みだ」


 ライアンが視線を前に向けたまま呟く。


 「私も……頑張ります!」


 エリナは小さな拳を握りしめ、力強く頷いた。


 ゼインはそんな三人を見てわずかに口元を緩めたが、すぐに真剣な表情に戻る。


 「私も引き続き君たちをサポートする。何かあれば、ためらわず知らせてくれ」


 「はい。ゼインさん、本当にありがとうございます」


 リクが改めて礼を述べると、ゼインは軽く頷いた。


 「では、私は一度王宮へ戻る。必要があればいつでも声をかけてくれ」


 そう告げ、ゼインは静かに去っていった。


 残されたリクたちは新たな装備を身につけ、訓練場へと向かう。

 これから始まるであろう厳しい鍛錬と未知の挑戦に備え、三人の胸にはそれぞれの覚悟が固く刻まれていた。

「読んでくださって本当にありがとうございます。

ブックマークや評価、感想をいただけたら、今後の創作の励みになります。」

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