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永遠に巡る愛の果てへ 〜XANA、理想郷を求めて〜  作者: とと
第2部:リクとエリナ 〜新たな世界での出会い〜

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第23話:王都の冒険者ギルド

 「ここで一度別れるとしよう」


 ゼインがリクたちを振り返って告げた。


 「えっ? もうですか?」


 エリナが驚いたように尋ねる。


 「ああ。私は女王陛下に今回の一件を報告しなければならない。そして、今後の対策についても協議する必要がある」


 ゼインの口調は変わらず冷静だった。


 「分かりました。ゼインさんも色々と忙しいでしょうし……」


 リクが頷いた。


 「ただし、君たちも決して気を抜くな。王都の状況は決して楽観視できるものではない。いつ魔物の襲撃が起こるか分からないからな」


 「はい。ギルドで王都の状況を調べてみます」


 リクは強い意志を感じさせる眼差しで答えた。


 「そうか。君たちの力は必要だ。準備が整ったら、ギルドで再び会おう」


 ゼインは軽く顎を引いて挨拶し、そのまま街中へと消えていった。


* * *


 リクたちはゼインと別れ、冒険者ギルドへと足を運んだ。

 王都にあるギルドはフェルダンのそれとは規模が違った。

 豪華な石造りの建物に、広々としたホール。冒険者たちの活気に満ちていた。


 「すごいな……こんなに大きいとは思わなかった」


 リクは感嘆の声を漏らした。


 「まさに王都って感じだな。これだけの規模なら、依頼も相当な数があるだろう」


 ライアンも周囲を見回しながら頷いた。


 エリナも緊張した面持ちで辺りを見渡していた。


 「ここが……王都のギルドなんですね。なんだか圧倒されちゃいます」


 「でも、まずは王都の状況を知ることだ。ギルドなら情報も集まるし、切迫した状況があるのかも確認できるはずだ」


 「それに依頼を受けながら情報を集められれば一石二鳥だな」


 ライアンが笑みを浮かべる。


 冒険者たちが集まる掲示板の近くで、リクはふと目を引かれるものを見つけた。


 「お、素材収集ランキングだ」

 「……おかしい。圧倒的だったいちご泥棒の名前がない?」


 リクが眉をひそめる。


 「ああ、それか」


 ライアンが横から口を挟んだ。


 「前はぶっちぎりの一位だったのにな。今は……名前すら載っていないとはな」


 「でも、どうして?」


 エリナが不思議そうに首を傾げる。


 「まあ、俺も確かなことは分からないんだが……原因は『らふくま』なんだろうな」


 ライアンが腕を組みながら答えた。


 「……らふくま、あの時にエリナをかばって死んだ……」


 リクが思い出すように言う。


 「そうだ。俺たちが見たあの時が最後だったんだろう。しかもな……後からギルドで聞いた話だと、どうやら『らふくま』っていう魔物は世界に一匹しか確認されていないらしい」


 「世界に一匹……?」


 エリナは驚いた様子で目を見開いた。


 「確証はない。ただ、ギルドには素材の品質を調べる魔道具があって、同一個体から採取したらわかるんだ。だが、買い取った素材の中に、別個体を示すデータは一度も確認されたことがないらしい。いちご泥棒が収集していた『らふくまの毛』も、もう手に入らないって話だ」


 ライアンは肩をすくめた。


 「あ、でも……今でも少しずつポイントを稼いでいるみたいだ」


 リクはランキングの下位に目をやる。


 「お!確かに。完全に引退したわけじゃないんだな。微々たるポイントだが、他の素材を集めているのかもしれない」


 ライアンが頷く。


 「『らふくま』が世界に一匹しかいなかったなんて……信じられない……やっぱり意思をもって私を助けてくれたんだ……」


 エリナは呆然と呟いた。


* * *


 ギルドのホールでテーブルに座りながら、リクたちは話を始めた。


 「ところで、王都のギルドって規模が大きいだけあって、いろんな素材が集まってるんだな」


 リクがテーブルに並べられた素材を見つめながら言う。


 「でもさ、売れないアイテムも多いみたいだな」


 ライアンが不満そうに素材を眺めていた。


 「そうですね。せっかく持ち帰っても価値が低いものや需要のないものは買い取ってもらえないことが多いみたいです」


 エリナも頷いた。


 「だったら……どうするか考えないといけないな。無駄になってしまうのはもったいない」


 リクが悩んでいると、突然背後から声がかかった。


 「面白い話をしてるね。少し詳しく聞かせてもらえないかな?」


 振り返ると、そこには男性とも女性とも判断のつかない中性的な人物が立っていた。


 「……別に大した話じゃないさ。売れない素材の扱いに困ってるだけだよ」


 ライアンが淡々と答える。


* * *


 「そうか。貴重な話をありがとう。参考にさせてもらうよ」


 不満を一通り伝えるとその人物は一言だけそう言い残し、すぐに立ち去っていった。


 「……なんだったんだ?」


 リクは首をかしげた。


 「まあ、別に悪いことはされてないし、気にすることもないだろう」


ライアンが軽く肩をすくめる。

「読んでくださって本当にありがとうございます。

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