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永遠に巡る愛の果てへ 〜XANA、理想郷を求めて〜  作者: とと
第2部:リクとエリナ 〜新たな世界での出会い〜

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第16話:激闘!スタンピード!!

 フェルダンの街の門前に広がる光景は、まさに地獄そのものだった。押し寄せる魔物の群れは際限なく湧き出し、町を飲み込もうとする。遠くからでも炎と煙が立ち上り、悲鳴と怒号が混ざり合う。


 「リク、エリナ! 急げ!」


 ライアンが叫びながら、大剣を振り回し次々と魔物を叩き斬る。彼の周囲にはすでにいくつもの魔物の死体が転がっていた。


 (……おかしい)


 「くそっ……多すぎる!」


 リクは息を切らしながらも剣を握り締め、襲いかかる魔物を斬り伏せる。


 「リク、こっちにも来てる!」


 エリナが必死に声を張り上げる。


 エリナは魔法で防御を固め、リクをサポートし続けていた。だが、彼女も次第に消耗し始めている。魔物たちは次から次へと現れ、絶え間なく襲いかかってくる。


 「下がれ! 街を守れ! 一匹たりとも通すな!」


 兵士たちの怒声が響く。しかし、彼らもまた次々と倒れていく。鋼の鎧を貫かれ、剣を落とし、無数の魔物の牙と爪に引き裂かれる者が続出していた。


 「ひっ……助けてくれ!」

 「くそっ、もうだめだ! 退却しろ!」

 「いやだ……死にたくない! 死にたくない!」


 逃げ惑う兵士、冒険者、そして民間人たちの叫び声が四方八方から響き渡る。魔物の群れは無差別に人間を襲い、食い散らし、踏みつぶしていく。


 「こんなに……酷いなんて……!」


 エリナは震える声で呟いた。


 「エリナ、下がってろ! 俺が食い止める!」


 リクは剣を振りながら叫ぶ。しかし、剣を振る腕はすでに重くなっていた。


 「リク、傷が……! ポーションを使って!」


 エリナが取り出したポーションを差し出す。


 「あ、ありがとう……!」


 リクはポーションの小瓶を急いで開け、中の液体を一気に飲み干す。体中に広がる冷たい感触が痛みを和らげ、わずかながら体力が回復する。


 「だが、こんなのじゃ追いつかない……!」


 リクは目の前の魔物を斬り倒したが、次の瞬間にはまた新たな魔物が現れる。


 「くそっ……!」


 リクは急いでもう一本のポーションを取り出し、再び飲み干す。少しだけ意識がはっきりするが、それも長くは続かない。


 戦闘はすでに数時間にも及んでいた。辺りは徐々に闇に包まれ、夜の冷気が肌を刺す。


 「これがスタンピード……!?」


 リクは荒い息をつきながら絶望的な光景を目にした。


 「もう、だめだ……無理だ……」


 冒険者たちの多くが戦意を失い、武器を投げ捨て逃げ出していく。無謀にも魔物に挑みかかり、返り討ちに遭う者も少なくない。


 「誰か助けてぇ!」

 「母さん! 父さん!」

 「やめろ! そっちへ行くな!」


 子供の泣き叫ぶ声、大人の必死の叫び。全てが混ざり合い、恐怖と混乱の中で崩壊していく。


 「エリナ、ライアンさん、どうにかしないと……!」


 リクは全身を震わせながら言った。


 「リク、お前だって限界だろ! これ以上は無茶だ!」


 ライアンが叱責する。


 (こいつらヒヨッコだよな……?)


 「でも……このままじゃ街が……!」


 リクは剣を握り締めたまま、必死に立ち上がろうとする。


 「くっ……ポーションはもう、これで最後だ……」


 エリナが差し出したポーションを見て、リクは受け取る。


 「エリナ、ありがとう……!」


 リクはポーションを急いで飲み干す。痛みが多少和らぎ、意識が僅かに冴える。


 どれだけの時間が経っただろうか。リクは無意識のうちに剣を振り続けていた。


 「はぁ……はぁ……もう、無理だ……!」


 リクの足は限界を迎えていた。


 「リク、お願い、無理しないで!」


 エリナが必死に訴える。


 「でも、このままじゃ……!」


 ふと、リクは遠くの丘の上に異様な存在が立っているのを見つけた。それは他の魔物とは明らかに違う、威圧感を放つ魔物だった。


 「……あれだ。あいつが指揮してるに違いない!」


 リクは息を切らしながらも鋭く叫ぶ。


 「指揮官かもしれない……でも、どうやって倒すの?」


 エリナが不安げに尋ねる。


 「このまま戦い続けても、いくらやってもキリがない。一か八かであいつを倒すしかない!」


 「お前、無茶だぞ!」


 ライアンが叫ぶ。


 (……やっぱりおかしい。たくさんの魔物斬って覚醒した?こいつらの成長……いや、今は生き残ることを考えよう)


 「でも、今やるしかない! エリナ、ライアンさん、俺が行く! 援護してくれ!」


 「分かった! 私もできるだけ援護する!」


 エリナが頷いた。


 「なら、俺も付き合ってやるよ! お前一人じゃ無理だ!」


 ライアンも大剣を握り締め、リクに続く準備を整えた。


 (化け物じみたこいつらと一緒ならあるいは……)


 「よし……行くぞ!」


 リクたちは決死の覚悟で指揮官と思われる魔物に向かって突き進んだ。全てを賭けた戦いが、今始まろうとしていた。

「読んでくださって本当にありがとうございます。

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