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永遠に巡る愛の果てへ 〜XANA、理想郷を求めて〜  作者: とと
第2部:リクとエリナ 〜新たな世界での出会い〜
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幕間?【PENPENZ】24:偶然百発百中!PENPENZの奇跡

 太郎は棍棒を肩に担ぎ、兄弟に呼びかけた。


 「間合いを保って、丁寧に攻撃するぞ! これはバタケが復活するまでの時間稼ぎだ! 命だいじにー!」


 「「「「おーっ!」」」」


 声を揃えて応じるPENPENZ。

 その姿は五忍衆と戦った時からかわらず勇敢な精鋭忍者軍団――……外から見れば、の話だ。


 (右から振り下ろすぞ!)


 棍棒を高々と振り上げ、力強く踏み込みながら叫ぶ。


 「おりゃああああ!」


 こった姫はその気迫に反応し、素早く身を翻す。

 右の棍棒が来る――そう確信した次の瞬間。


 「ごふっ!?」


 太郎の額が肩口に突き刺さっていた。

 本人は思いきり棍棒を振り下ろすつもりだったのに、勢い余って頭突きに切り替わってしまったのだ。

 外から見れば、捨て身の肉弾戦。


 こった姫の頭上には、困惑の「?」がいくつも浮かび上がる。


 (なんなのよ……狙いは読めるのに、動きがバラバラすぎる……!?)


 (手裏剣で切り裂いてやる!)


 次郎は風魔手裏剣を構え、鋭く振りかぶる。


 「くらえぇぇ!」


 その姿は勇敢そのもの。

 こった姫も思わず手裏剣の軌道を避けようと身を低くした。

 ところが――


 「がはっ!」


 蹴りが腹にめり込んでいた。

 次郎は風魔手裏剣を握ったまま、跳び蹴りを繰り出していたのだ。


 こった姫は「???」と混乱を深める。


 (……手裏剣を構えたのに、蹴り!? どういうことよ!?)


 (石を投げる!)


 花子が構えたのは――鋭いクナイだった。


 「えいっ!」


 飛んだ刃がこった姫の頬を正確に掠める。

 血がにじみ、彼女が思わず声を上げた。


 「きゃっ、石と間違えてクナイ投げちゃった!」


 花子は顔を真っ赤にして慌てる。

 しかし外から見れば、狙撃の名手が敵の急所を正確に狙った一撃そのもの。


 こった姫の頭上にはさらに「???」が増えていった。


 (石を投げると思ったら……クナイ!? この子、本気で混乱させにきてるの!?)


 (小太刀で斬りつける!)


 三郎は二本の小太刀に手をかけ、勇ましく叫ぶ。


 「いくぞぉぉぉ!」


 その突撃はまるで武者のごとし。

 だが次の瞬間――がつん!

 抜き損ねた小太刀を鞘ごと振り抜き、そのままこった姫に叩きつけていた。

 外から見れば、重撃の突進。


 目を剥いたこった姫の視界には、「????」と疑問符が乱舞していた。


 (ボウガンで援護!)


 良子が矢を番えようとするが、逆さに差し込んでしまう。


 「きゃっ、違う違う!」


 と慌てて入れ直すが、今度は弦に指を挟んで「いたっ!」と涙目に。

 必死に試行錯誤しているうちに――


 ぷすっ。


 偶然、正しく装填されて放たれた矢が真っ直ぐ飛び、こった姫の脇腹に突き刺さった。


 「やった、ちゃんと飛んでった!」


 良子は大喜びで両手を振る。

 外から見れば、隙を突いた正確無比の援護射撃。

 だがこった姫はとうとう耐えきれず、唇を震わせて叫んだ。


 「……おかしいわよ!? あんたたち、考えてることとやってることが違うじゃないの!」


 太郎は棍棒を構え直し、にっこり笑って胸を張った。


 「見ろーーー! 俺たちの攻撃は百発百中だ! やっぱり忍術の達人にしかできない技だな!」


 ――実際は偶然の産物。

 けれど太郎の頭の中では、完全に「狙って当てた」に書き換わっていた。


 「……うん、当たってる……?」


 次郎が首をかしげる。

 五忍衆よりはるかに強いはずの敵に、攻撃が次々当たっている。

 それは彼ら自身にとっても不思議なことだった。


 「バタケの攻撃が効いているんだ! これならバタケに頼らなくても俺たちで倒せるかも!」


 太郎は興奮してテンションを上げる。


 「にいちゃん、油断するんじゃないよ! いいからバタケが回復するまで頑張るんだよ!」


 花子は慌てて釘を刺したが、その顔には笑みが浮かんでいた。

 攻撃が当たる快感が、恐怖を忘れさせていたのだ。


 「おっしゃー、もっとやるぞ!」(三郎)

 「任せて、私が援護するから!」(良子)


 PENPENZは背後にバタケの存在を感じているからこそ、気が大きくなっていた。


 外から見れば、仲間の絆で立ち向かう勇敢な忍者集団。

 五忍衆戦ではかっこよかった……確かにかっこよかった。

 だが実際フィルターを外すと……――心と行動のズレが生んだ、不可解で予測不能な連撃。

 ドジで情けない、いつまでもかわらないペンギン兄弟……PENPENZ。


 しかし、その予測不能さは 相手の思考を読むこった姫にとっては、まさに最悪の天敵 だった。


 こった姫は額に玉のような汗を浮かべ、呻く。


 「な、なんなのよ……考えは全部見えるのに、体が別の動きをするなんて……! 読めない……読めないじゃないのぉーーーっ!!」

「読んでくださって本当にありがとうございます。

ブックマークや評価、感想をいただけたら、今後の創作の励みになります。」

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