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イグニスの戯言  作者: 鮫島
第一章
9/30

戦争の始まり

数刻後…セイラは再び車に乗せられ、銃の仕組みをざっくりと教えられただけの状態でウェインと二人、

ポツンと廃屋の前に立たされていた。


「ええっとお…本当に、ここに天使、と、天国側の人がいるんですか??」


「正しくいえば”聖職者”だ」


「そういうことではなくてっ、本当に戦わないといけないんですか…」


不安げにまるでお守りのように胸元に銃を握り締め、今にも泣きそうな顔でウェインを見やると、ウェインはニヤリと唇を歪めセイラを見下ろしている


「お前にはそれが扱えるだけの技量はすでに備わっている。安心するといい。」


「何も安心できませんよお!!」


銃を振り回しながら抗議するセイラを鼻で笑いながらウェインは言葉を続けた。


「その銃は重さ10Kg、普通の人間なら片手で持つどころかそうやって振り回すことすら不可能だ。」


「えっ」


「それができるということは、悪魔と契約した人間としての証拠としてはちょうどいいんじゃないか?」


ニヤリと唇を曲げるウェインの言葉を聴きながらセイラは己が握りしめた銃をまじまじと見つめる

重さが10Kgあるとは思えないほど己の掌に馴染むその武器に困惑と内側から湧き上がる何かを抱えながらセイラはごくりと唾を飲んだ


「さて」


パン!!と手袋越しに手を叩くとズンズンと廃屋に入っていくウェインを慌てて追いかけながらセイラは口を開く


「えっと、今回戦う相手とかって、誰とかは…」


「そこまでの情報は掴めていないが、こんな僻地の廃屋にわざわざ強い相手は送らんだろう。手慣らしにはちょうどいい相手だと願っておくといい」


「え!?じゃあ強い人かもしれないんですか!?」


震え上がるセイラの背に手を添え、ズンズンと廃屋の奥に進むウェインは楽しげに口を開いた。


「まあ、そういった事態になれば流石にお前には任せん。」


そういうと爛々とした目のままウェインはコートの陰から巨大な銃剣を取り出した


「そうなれば、私が楽しむだけになるだろうな」


「はあ…頼もしい限りですよ」


本当は強い人が来るのを、期待しているのではないか??


怪しげにゆらゆらとコートをゆらめかせるウェインを盗み見ながらセイラはただ訝しみながらひどく不気味な廃屋を進むしかできなかった。





しばらく廃屋内を進んでいると、奥に何かの気配を感じることにセイラは気づいた


「ウェインさ「シーー…」」


口を開いたセイラの口を人差し指で抑えるとウェインは音もなく扉を少し開いた


そこには若い男女が言い合いをしている姿が見える


「なあ、確かにここに目撃情報があったんだろ?人っこ一人いないどころか生活感すらないじゃねえか!!」


「で、でも確かにここにいるってえ…」


片方は強気で屈強な刀を握った男

もう片方は弱気そうな仮面を被った羽の生えた女性だった


「(彼らですか…??)」


扉の隙間を覗きながら恐る恐るウェインに視線を向けるとウェインはつまらなさそうな顔で頷く


「(そのようだな…つまらん、まだあ駆け出しのひよっこどものようだ)」


そうため息をつくと同時にウェインは曲げていた背を伸ばし



扉を蹴り開け中にセイラを放り込んだ


少しの静寂


驚いた顔の男女を前にセイラはただ


「は、ハロー…」


引き攣った笑顔を浮かべることかできなかった

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