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季節もの

さわぐな仕事が増えるだろ

作者: ひいらぎ

ハロウィンなのでそれっぽいネタを考えてみたいと見たいと思ったけれど、どうなのやら。

とりあえず浮かんだのでつらつらと書いていったけれど、オチも何もない感じです。


 マジでなんなん?

 やめてくれへん?


 思わずそう叫びたくなる。

 目の前に広がる光景にほんとにえらい……。


 今日は世にいうハロウィンで。

 この日本という国では、人間がコスプレとかいうものをして、ドンチャン騒ぎをする日。

 元々は別の国の行事で、いわゆる死んでいる者がこの世にやってきて、いたずらをするとかしないとか。

 秋の収穫を祝うことと悪霊退散だったか?


 それはいい。

 お祝いは大切だ。

 この国だって新嘗祭だとか五穀豊穣祭だとかの農作物に関する祭があって。

 お彼岸だとか、お盆だとか、ご先祖様を供養する日もある。

 一時的にこちらに戻ってこられる日だ。

 だからそれはいい。

 いわゆる幽霊だとか、人魂だとか。

 そういうのが歩き回っているのはいい。

 日本にあるものが歩き回るのはいい。


 お前らはダメだろさすがに

『おー。わたすぃたちぃにほんごぉわかりませーん』

 エセ日本語やめろ。フツーにしゃべれ。こっちは翻訳可能だ

『あ。っそうですか』

 なんでいんの?

『いやー母国よりも日本の方が楽しいし、日本人のコスプレすごいよなー』

『そうなんよー。レベルも高いし、この日の騒ぎが俺たちは見て楽しいんだよ』

 いや楽しいのはいいよ。興味持ってくれるのもいい。

『なんだよー。いいだろー。悪さしてないんだからさー』

 そういうことじゃないんべ。いいとかわるいとかじゃのーて。単純に国超えてくんなってこと。いくら日本が八百万の神の国で、教会もお寺も神社も寛大に対応しとるからって、なんでもかんでもええーでっていうのはそれを受け入れられる心のひろーい尊き身の方だから。私らみたいな下っ端はそういうわけにはいかんのよ。こういうの管理するのが仕事やから。


 そう私たちはいわゆる人ではないもので。

 同じように人ではないものを正しく導くもの。

 なんていうとなんだかえらーい人みたいに感じるけれど、そんなことはなくって。

 国籍だとか、戸籍だとかそういうのがあるわけで。

それは人じゃないものにもあるわけで。

 その管理をしてるのが私たちで。

 ほら。人間にはパスポートがあるでしょう?

 そういうのが目の前でバカ騒ぎしている人じゃないものにもあるわけ。

 勝手に来られると不法入国というわけなんですよ。


『それはそっちの問題だろー』

『そうだそうだー。なんで生きてるときと同じでそういうの気にしないといけないんだよ―』

 気にしろ。いくら死んでるからって勝手なことされるのはだめなんぞ。誰がどこにいるかわかんなくなったら、あんたらが悪いことしたら担当管轄の問題にー。


 全く本当にそうなのである。

 それで一回もめたんだよなー。


 「はーい。みなさーん。こちらが日本という国の首都、東京です。人がたくさんいますねー。日本人だけでなく、いろんな国の方がいます。普段は車やバイクなども走っている道路ですが、今日だけ。この時間だけ。と時間を限って、歩行者天国という歩く人専用になってるんですねー。見えますかねー。いろんな服装の人がいると思いますが、皆さんと似た服装の方もいますねー。あー信号みてくださーい。普段は点灯してるんですけれど。今日のこの時間は特別普段と違う動きをしていますねー。あそうなんですよー。いわゆるコスプレですねー。いろんな恰好の方がいますけれど、普段からこんな格好をして歩いているわけではない方のほうが多いですかねー。あーもちろんメイドさんとか執事とかお店によってはそれが制服っていうところもありますけれどーあんなふうにおどろおどろしく赤く色をつけたりはしてないと思いますよー。あーいうカラーリングはこの日だけって感じですかねー。あーありがとうございます。カフェ知ってるって方いますねー。そうなんですよー。そういうコンセプトカフェとかありましてー。世界観とかを楽しむっていうのがあるのかもしれませんねー。そう思うと、このコスプレも、ハロウィンを楽しんでいるっていう証拠ですねー。あーお菓子ですか? ありますねー。お菓子をくれなきゃいたずらするぞーって。お化けの恰好をしてトリックオアトリートといってもらうんですねー。一大イベントですねー。そうなんですよー。子どもが楽しそうにしていたら嬉しくなりますよねー。これは万物共通なんですかねー。はーい。どんどんいきますねー。みなさーん止まらないでくださいねー」


 「さすがですね。観光課のエース」

 あー。あのこ18年目だからね。

 「まじですかぁ」

 そうだよ後輩ちゃん。今年で課長4人目って話だし。あの子を離したくないんだら。

 「いやいやだとしてもやばいっしょ。3、4年でたいてい異動じゃないですかー。18年とか長すぎません? 私だったら飽きますよー」

 後輩ちゃんはそうかもしれないけど。って。そこー! アメリカの方ですよねー。でしたらHの枠にはいってくださーい。ヨーロッパの方はAにお願いしまーす。

 「こちらでーす。はいえーと。イギリスですね。Aでお願いします。でそこの職員に名前名乗ってくださいね。お願いします」

 はいはい。どうされましたか?

『なんだか騒々しくいとおかしと思っての。ついてきたのだがどこにいけばいいのか』

 ……きれいな染物ですね。十二単ですね。重く……浮いてるから軽いのか? 髪もきれいな黒ですし長いですねー。……時代的には平安あたりですか? どちらから来られました?

『長岡京ですぅ』

  ……日本史ー!

 「どしたー」

 長岡京から来られた方 どこ?

 「ああー……。いろはにほへとのはですね。は。こちらです」

『ついていけば帰れるのですかぁ?』

 「はい。ちゃんと長岡京へお連れしますのでこちらでお待ちいただけますか?」



 よし。担当に任せて。


 まざってんだよなー。

 騒ぎを聞きつけて普段家から出てこないのに、こういうときだけふらーって出てきて、よーわからんまま。帰れずっていうのもあるけー困るんよねー。


 どうされました?

『我オスマン帝国よりまいった。我が主人はどこだ』

 ……世界史か……。おーい世界史担当!

 「なんだよ」

 オスマン帝国の方。

 「……だな。こちらになります。Aあたりにきてもらっていいですか?」

『ふむ。そこであれば、我が祖国になるんだな』

 「いったんそちらにいてくださーい」


 時代も最近じゃないのが出てくるし。

 ほんとなんなの。


 まじでなにこれ。

 「声にでてますよー」

 後輩ちゃんも顔にでてるよ。

 「いやーなかなかっすねー。何がどうなってこうなるのやらって感じで。なんか年々増えてまへん?

どっかの国の年末カウントダウンも人めっちゃいてすごいことなってますんけど、時代超えすぎじゃないって感じっすね」

 後輩ちゃんは日本史だったね。いろはにほへとちりぬるわって空で言えるでしょう? さっき平安貴族っぽいの任せたわ。

 「いましたねー。めっちゃ当時の人っぽかったですね。ちゃんと扇子で顔隠してましたし、お香も炊いてたみたいでしたし」

昔と変わってないってことだね。その人の自己実現ってやつかな。でもこれでも減ったんだよ。落ち着いてきたっていうか。

 「先輩って何年目ですか?」

7年目。

 「うわえぐ。こわ。ちょっと恐怖なんですけど。やめてもらえません?」

 おいこら。他人の経歴怖いとかいうなや。お前が聞いといてなんなん。

 「いやいや。だってこれ7回目とかやばないですか。まあ18年とか聞いたんでそれはもう恐怖通り越してるんですけど。それにそういう人がいると私も7年コースあるってことですね……」

 望まんでもそのコースはあり得るね。ここにそれおるから。まあやればやるほど慣れてくるからそういう意味では楽だけど。観光課エースのおかけで減ってきてるしねー。

 「うそ。これで減ってんですか」

減っとるよー。エース超話題だから。

 「あれって、ちゃんと申請対応旅行客なんですよね。そういうの向けのツアーって聞いたんですけど」

 そうそう。観光課があーやってアテンドして連れていく。ちゃんと手続きして申請してるとそれを受けることができて。一方でこっちだと、あーやって出身ごとに集めて固めて、監視のもと自由行動とかなしでバスでとりあえずみてもろうて、一定時間したら帰ってもらうように出口に誘導するんやけんど。

 「時間あんがい短いっすよねー」

 扱いもいっちゃあ悪いけど雑だったりするからね。それだったらあーやって楽しむのもありってなるし。エースの対応受けたいって言うのもあるから。あの子のおかげでちゃんと減ってるんだよねー。だからあの子いなくなるとこっちも困るから、たぶんダブルでロックかけてんだろうなって。

 「他課人事までロックかけられてるとかめちゃくちゃ。こわー。来年異動できるように届け出だそっと」

 まだ2年目が何言っとるん? お前はこっから3年はいんの。

 「むりっすー」

 ……どうしたの?

『ここ。どこ?』

 子どもが一人できたとは思えないので。誰かについてきたの?

『うん。大人の人が楽しそうに歩いてたからついてきた』

 ……そっか。お家はどこかな。

『海の上』

 ……島かな。

『パナマっていうの』

 パナマってどこだ……。地図ー。

 「はいはいはい。なんでしょうか」

 パナマから来たみたい。ついてきたっていうことだから同じところの大人がいると思うんだけれど。

 「あー。あのあたりかー。まってよでもいまんとこ見てないけれど」

 まじ?

 「観光組にいるかもしれないですね。ちょっと観光課捕まえてきます」

 ありがとー。

『おうち帰れる?』

 うん。帰れるよ。この黒い服を着て、黒いお顔の私たちについてきてくれたら、ちゃんとお家に帰れるように準備するからね。

『うん……』

 「どうしました先輩」

 エースじゃん。

 「はい。パナマの子だって聞いて。案内してるグループに同じ国の方いたんで。こっちで対応しときます」

 ありがとー。

 「貸一で」

 菓子一ね。

 「私についてきてくれるかな。同じところから来た人がいるから一緒に帰れるように、一緒に行動しようね」

『うん』

 「あんなちっさいこぉまでいるんですね」

 おるよー。年齢関係ないからね。死は。理不尽なまでに、不公平なまでに、平等に訪れるけー。でもあの子が帰るっていてくれてよかったわ。

 「なんかあったんすか」

 んー。前にね。部長が対応してくださったんだけれど、帰りたくないって泣き叫んだ子がいて。まじでやばかったわー。

 「何が起きたんですか」

 最大瞬間風速なんぼやってくらい突風が吹いて。あれは天気予報士のなかでめちゃくちゃ話題になって、今でも語りづがれてるっぽいんじゃけど。どうにかこうにか部長がそこの子の国の童謡とか手遊びとかして、慰めて、家まで送ったんよ。

 「なんすかそれ。それもえぐすぎません?」

 部長もあと2年で定年だし。ほんと困るんだけど。ワンチャンここで異動もあり得るし。いやー。置いていかれるのだけはまじ勘弁やわ。

 「それは私もですねー。可能なら先輩おいて私だけ異動したいっす」

 それは絶対にさせないようにするわ。そんなことあったら人事に走る。

 「わー。走る先輩見た―い。で。昔もめたってなにあったんすか?」

 無駄口たたかず対応してよー。

 「してますー。後学のために教えてくださいよー」

 ……ハイハイ。話すから、いろは組の人数聞いた?

 「聞きました。今んとこはこれで、アルファベット組はこんな感じっすね」

 やっぱ多いなー。ってかいろは組案外いるんだけどなして?

 「そうなんですよねー。やっぱ自分の時代になかったってんのが趣深いんすかね。いとおかしとかいわれてもーって」

 まじで何考えてんのかわからんすぎでむりだわ。

 「で」

 ……あーはい。えーとね。もめたのは、結構な数が合わなかったんよ。日本に残りたいっていうのが多すぎて、帰ったらすぐ転生する予定だって人が戻ってなくって。その儀式に間に合わなくって。その人の転生がさらにのびたって話。

 「えーそれってその人が悪くないっすかぁ?」

 そうなんだけれど。向こうは出ていったことに気づいてなくて。来たことも帰ってないことも把握してなくて。なんかそれがほら人の行動回数でいうと、向こうは出ていったで1。こっちは来た、帰ったで2。2回気づいてないってのでこっちが悪いってむちゃ言われて。

 「むちゃっすねーそれは」

 そこで争うのは不毛なんだけれど。ある意味お互いに非があって、お互いに非がないって感じじゃん。だからここでのもめはどうどうって上の人が話して折り合いつけようとしたんだけど。転生伸びたその人が騒いで。スコールがえぐくってさ。自然災害になるともっと問題になるから、そことも折り合いつけようとしてどうにかこうにかって感じ。

 「いやいやそれはその人が悪いっであって、逆切れじゃないですかー。えー」

 逆切れでも落ち度でもなんでもいいんだけどさ。いっちゃん大事な決まり事あるやん?

 「……人間たちに被害を与えてはならない。ですか?」

 そうそう。それは覚えてるっと。さすがに被害とか何かっていうのはなかったけれど、さすがにねーって。で。結構がっつりこうやって管理することになったわけ。

 「まじでしらんが? って感じですね。それでどうこう言われる筋合いないでしょ。なんすかそれまじで」

 まあまあ。お客様は神様とかいうことは今ないだろうけれど、そういうことを思う人もいるし、そう考えて行動する人だっているだろうし、いろんな人がいるんだわ。いろんな人じゃないものもいるってことで。そんなこんなで私たちのこの日はこの部署は誰も休まないのよ。人員足りてないから。

 「ほんとそれなんすよねー。ただでさえ通常業務で手一杯つーのに。こういう日もあって? 時間外つくんでいいですけど? まじ働き方とか言ってますけど、そんなのほんと採用してんのどこだよって感じですよ」

 まあどうにかこうにかするしかないんじゃない? 仕事だし。やんないと給料泥棒だし。

 「……ほんと先輩ってちゃんとしてますよねー。この仕事に興味もなんもないって言ってますけんどまじそんな風には見えないっすよ」

 興味も何もないのは本当だよ。心から知らんがなって思ってるし、好きにすればって思ってるし。ってか即送還してないだけいいだろって思うんだよね。ほら人間だったらこれって密入国なわけで。犯罪だからねー。いくら逮捕権とか持ってないにしてもさ、この残業代なかなかになるよー。観光課も出てるし、二課から出てるからね。ちょっと人事には頑張ってもろうてっと。はいどんどんさばくよー。

 「はーい」


 「はーいCDE バスでまーす」

 「ほへとのみなさーん、乗ってくださーい」

 それぞれ動いとんね。おっけー。

 「せんぱーい、終わんないっスー」

 バス何台かでとるやろ。観光課もてー空いとるの手伝ってくれとるし。

 「そういえば聞いたんですけどー。観光課とうちって人事異動でルートあるってほんとっすか?」

 ほんまやね。この日は連携プレー必須すぎて、いっそどっちも知っとるやつ増やすって考えで動いてる。

 「あーだからかー。いやー手際よって思って」

 だいぶ空いてきたみたいだしさばけるでしょ。

 「でもあの子はまだっと」

 エースはめっちゃ予定組まれてたよ。スケえぐかったわ。

 「はーい。こちらでーす。ここが日本の首都、東京でーす」

 噂をすれば聞こえてきたねー。

 「あれが人気なのってなんでです?」

 なんでって?

 「いやだってどうみたってやる気なーですやん。表情だってお面ですし、抑揚もなしですし」

 それが癖になったとか。そういうのらしーよ。ファンおるって聞いたべ。

 「鳥肌なんすけど」

 もちろん万人受けしとるわけじゃないから、全員じゃないけど。あの子のあーいうのが特別とかなくて気が楽っていうのもあるみたいよ。ハロウィンだから特別やのーて。楽しいみたいで。それもあいまって、よーけくるんよ。

 「不法入国は減っても客人は増えると」

 そだねー。

 「あーバス来たんでいきまーす」

 はいはい。いってら。

 んでと。


 あたりを見渡す。

 とりあえず落ち着いたかな。

 はぁー。

 時間はーって日付またいだうえに、集合場所には半数も帰ってきてないし。みんなまだしとんか。

 えーと記録の確認で。

 端末はー。あー。うん記録更新やん。


 「先輩」

 エース。おつー。

 「おつです。パナマの子帰りましたよ」

 ありがとー。これみて。

 「報告ですか」

 そ。ヨーロッパ圏だとこの人数がへっとって、アフリカ系はこっち。でここのいまんとこの集計がこれ。

 「なかなかの人数ですね。って割合的に日本ですねー」

 それだけ興味関心もってもろうてるってことじゃろけんど。

 「えらいです」

 おつやね。何個こなしたん? 

 「五組です。組まれたんですけどメンドーだったんでまとめましたけど」

 拡声器持ってんはそれか。

 「貸し一なんで」

 はい。菓子。

 「……そういうとこですよー」

 わかってる。今度ご飯でどう?

 「店こっちで決めていいですか?」

 どうぞどうぞ。

 「せんぱーい」

 後輩ちゃん。

 「あー18年目だー」

 「年数で呼ぶのはやめてください。どんな指導してるんですか」

 いやこれは別に指導とかないよ。これの問題。

 「あーこれとかいうー。そういうのパワハラとかモラハラとかセクハラとかそういうの最近うるさいんすよー」

 年数呼びも失礼であることにわからん。イチイチや。

 「観光課はほとんど戻ってきてます。あとはそちらだけですね」

 あーありがと。端末にみんな記録とって帰ってええーよー。観光課はそういう対応って聞いとる。

 「ありがとうございます」

 「お疲れさまでした」

 んで。こっちはあと四人か。

 「ですねー。んで。エースさんあんま、混じってないんすね」

 あの子は混ざらへんように心がけとるべ。自分を投げないようにしとんよ。

 「私も混ざってないでしょ?」

 ちょべっと混ざりょる。

 「どこがですかー」

 アクセントがまずガタガタ。あげく混ざると混じるで統一ないし。表記ぶれって言葉があるらしいけど、文字起こししたらお互いぐちゃでしょ。

 「わぁ気をつけまーす。先輩はあえてぐちゃってますよね。ちょいちょい方言はいりますし、イントネーション変えてますし」

 なんかひっぱられるんよ。こんだけ時代も国もぜーんぶぐちゃに1日であうと。でそれぬけんくて。

 「7年いたらそうなるってことで。私はぬけまーす」

 こらー捕まえるでー。



 ……。

 え? 何? どういうこと? 待って待って待って。

 無理無理無理無理無理え何意味わからん過ぎて何がわからんとか

 わからんけど。

 とりま何が起きている?

 ふと騒がしいなーって顔上げたら。

 なんか空にめっちゃ人いて。

 いや人かどうかもわからんけど。

 なんかたくさんいて。

 バスにも乗ってるし、集合の合図とかしてるし。

 観光客でよく見る旗とかあるし。

 まじなに?



 「あー。先輩?」

 あれでしょ。時々おんのよね。わかる人。

 「そういう人って霊感あり判定なんですかぁ?」

 なし。自分たちを見てほしいっていう承認欲求の権化みたいなのがいるからそういうの。

 「それの力ってこと? それもえぐいっすね」

 さて。今日という特別な日の特別なこと。

 「いってらっしゃーい」



 目が合った―!!!

 いや目というかなんというかなんかこっち来てるし、まじなに。

 いやいやいやいやまじで悪霊とかそういうの? え?

 コスプレ確かにしてっけど、メイドやぞ。真っ赤に色つけてるメイドぞ。

 見てない見てない見てない。こういうのは無視が一番。さっさと流れに沿って歩こう。


『Trick or Treat』



 「おかえりなさーい」

 うん。ただいま。

 「なにもらったんですか?」

 んー? かばんにあった飴一個。文化に沿ってやったことだし、ちゃんとお菓子もらったからいたずらしないし、これ課長に渡すし。誰かも確認とったから、ちゃんとホウレンソウだね。

 「んじゃかえりまっか」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「そうですか。無事おわって何よりです。ですがまだあります」

 はい。帰国したものは確認しました。あとは来られていたお客様方がちゃんと帰国確認されるだけですね。

 「あれから数日たってますけれど。まだ連絡ないんすね」

 「時差がありますから。あちらはあちら。こちらはこちらです。で。我々が見えたという方に対しての対応ですがありがとうございました。問題ありません。来年もまたよろしくお願いします」

 ……ってことは異動なしですか?

 「ふふふ。人事異動はわかりません。このタイミングでは特に連絡はうけていないので」


 はぐらかされたか。

 まあいい。

 評価が落ちたわけでも上がったわけでもないならいいや。

 ……あの人間。

 いっか。あれで一応血の気は引いてたみたいだし、あの後確認したけど、あの空気にあてられたって思ってるみたいだし。

 はあ。来年の事をいうとなんとやらだけれど。年末年始もどちゃ騒ぎすんだよなぁ。今回ほどの規模やないけど。

 って。

 あ……お店だけ連絡きたわ。

 こわ。

ご精読ありがとうございました。

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