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無能者〰️俺と仲間達の人生ロード!  作者: 無名
一章 子供編
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第7話 ライアンの過去(後半)


外は村が焼かれ、兵士に殺され、犯されている。そんな地獄みたいな光景だった。


「なんだよ………これ」


「お兄ちゃん、どうしたの?」


「アン! 絶対にここを動くな!」


「えっ? うっ、うん!」


俺はお母さんとお父さんを起こすため部屋を飛び出ると食卓の方から音が聞こえる。


急いで食卓に向かうとそこは地獄だった。


母親が複数人の男性に服を剥がれ弄ばれている。


そして、その隣には首を斬られて大量の血を流して倒れている父親が居た。


一人の男性がこちらに気が付いた。


「そこを動くな!」


近付いてくるが怖くて動けない。


「ライアン! アンと一緒に逃げてぇ!」


母親が必死に叫ぶ。その声でアンを守らなくてはいけない! そう思い走って逃げることにした。


そして、その叫び声にイラついた兵士が母親に暴力を始めた。


クソ! クソ! もっと力があれば二人を救えるのに!


「お兄―――!?」


「逃げるぞ!」


俺はアンを毛布で包み、窓をタックルして割り、森の中に逃げることにした。


しかし、兵士の一人がこちらに気が付かれ、襲ってくる。


俺は兵士に捕まった。


「お兄ちゃん!」


「逃げろぉ!!」


近付いてきようとした妹を怒鳴り、無理矢理に走らせた。泣かせてしまった………。


そして、もう会えない。何となくそんな気がする。


俺は兵士に顔面を殴られ、気を失った。


意識が戻り、目を開けると日が上がっていた。俺は牢屋の中に入っており首輪が付けられている。


周りを見渡すと全員、裸で俺と同じ子供だ。


鎖と足に重りが付いてるのを見て俺は確信した。奴隷として売られると。


牢屋から見える微かな光景を見ると、村の人の死骸と焼け焦げた家だけだ。


兵士の会話が聞こえた。村の大人は全員、殺害して焼いた。


まだ、父親と母親が死んだことに実感が持てず、脱力感だけが残る。


でも、妹だけは逃がした。それだけが救いだった。


「おい、お前」


俺を捕まえた兵士に声をかけられた。


「……何だよ」


正直、今すぐにでも殺したい。話をかけないでもらいたい。


「睨み付けんなよ」


男はヘラヘラした様子で俺に言った。


「お前の妹、死んだってよ」


「………は?」


どういうことだ。妹が死――――!!?


俺は折から手を伸ばし兵士の胸ぐらを掴んだ。


「どういうことだよ!! おい!」


「森の中を探索してる兵士が巨大なモンスターに少女が食われる瞬間を見たんだってよ」


「それだげじゃ、妹とは限らないだろ!!」


「残念、あの時、森の中に入ったのはお前の妹だけだ」


「は………?」


男は俺の顔を見ながらさらに笑う。


「残念だったなぁ、あんだけ頑張ったのに無駄になって」


兵士は俺の顔をぶん殴る。


「はは! これからの、奴隷人生を楽しめよ」


兵士は去っていった。


「っ―――あぁぁぁぁ!!」


いろんな気持ちが湧く、殺意、悲しみ、後悔、そして、なによりも逃げる選択肢を選ぶことしか出来なかった自分自身に怒りが込み上げた。

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