第6話 ライアンの過去(前編)
―――2年前―――
ーー小さい村ーー
「お母さんー! 外でアンと遊んでくるねー」
「はーい! 夜には帰ってくるのよー!」
俺は暇なので妹のアンと二人で森の中に遊びに行くことにした。
川の近くに来たので、今日はここで遊ぶことにした。
「はぁー、はぁー、早いよー! お兄ちゃん!」
「あぁ、ごめんな!」
妹は口を膨らませて怒ってるのだが、とても可愛くツイツイ笑ってしまう。
その笑顔を見て妹はさらに怒るのだが。
俺とアンは釣りをして魚を釣ることにした。
魚がたくさん釣れればお母さんが喜ぶしアンも楽しそうだからだ。
ーーーー
時間はすぐに過ぎて気が付いたら日が落ちていた。
魚もたくさん取れて、外も暗くなったので帰ることにした。
「よっ、帰るぞー、アン」
「うん………」
アンは寂しそう声を出して表情も悲しそうだ。
「また、ここで遊ぼう」
俺はアンの頭を撫でると表情がどんどん変わっていき笑顔になる。
「うん!」
嬉しそうにスキップして、俺の先頭を移動するアンが可愛くて可笑しいのもあって、また笑ってしまった。
家に帰ると美味しそうな匂いがする。
「ただいまー」
「ただいまー!!」
「おかえりなさいー、ちょうどご飯が出来たから手を洗いなさいー」
「ご飯!」
アンは手を洗いに行き、俺は魚が入ったバケツをお母さんに渡した。
「わぁー! ありがとう!」
頭を撫でられる。正直、恥ずかしいのだが、心が温かくなって嬉しい。
「あー! お兄ちゃんばっかりズルい!」
すると、手を洗い終えた妹が母にタックルする。少し呆れた様子でアンの頭を撫でる。
俺も手を洗いに行き、終わったので食卓に付くと家の扉が開いた。
「ただいまー!」
狩りを終えたお父さんが帰ってきた。
「おかえりー!」
アンはお父さんにもタックルして魚のことを自慢した。
お父さんは嬉しそうな様子でアンの頭を撫でまわすと俺に近いて来た。
「お前もよくやったぞー!」
頭を撫でまわされる。
「やっ、やめろよ!」
正直、お父さん相手には母親の倍は恥ずかしい。でも、褒められて嬉しいので少し悔しい。
「もう、早く手を洗ってきてください」
「おう!すまねぇ!」
お父さんも手を洗い終えて皆が食卓についた。
「「いただきます!」」
今日のご飯はお肉がたくさん入ったローストビーフですごく美味しい。
ーーー
食べ終わった後は風呂に入り眠りについた。
すると、自分の部屋が開く音が聞こえた。
「……お兄ちゃん」
妹が部屋に入ってきた、どうやら怖くてまだ一人では寝れない様子だ。
「いいよ、こっちにおいで」
「うん!」
布団の中に入ってきて、ぎゅぅと抱きついてきた。
「お兄ちゃん、温かい」
妹は嬉しそうに言う。
「んっ……そうか」
俺もぎゅっと抱き締めると、とっても暖かかった。
妹は寝てしまったので、俺も寝た。
ーーー
……キャァァァァァ!!
女性の悲鳴が聞こえて、俺は目が覚める。
窓を覗いてみる。