第4話 おじさん
「たっ、ただい―――!?」
「どこに行ってたんじゃ!!」
遅かった! おじさんが帰ってきてた。
早速、説教が始まった………、これはしばらく終わらないなぁと思ってると師匠が俺の隣に立つ。
「すまん、俺が連れまわしてた」
師匠がおじさんに謝る。
「なんじゃ! お前は!」
結局、師匠も怒られ、しばらくは怒られていたのだが、疲労がすごく眠くなってしまい、どんな言葉を言ったのかは覚えてない。
俺はそのまま寝落ちしてしまった。
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あの、バカ息子、説教しながら寝るとは! 朝から説教したるわい! しかし、その前に目の前のこい―――、椅子に座って勝手にお茶を飲んでおる!? なんだ!? こいつ!
「あっ、おじさんのお茶も入れたぞ! 俺の知り合いが作ってる茶葉なんだが、中々に美味しいぞ」
「誰が飲むか! この―――!」
「まぁ、まぁ、椅子に座って話そう」
「むぅ」
こいつの顔を見るとなんか、気が緩むわい。
わしは椅子に座り、お茶を飲むと中々に美味しく心が落ち着く。
「うむ、美味しいわい」
「だろ?」
「それで、お主は何者でわしの息子に何を仕込んでる?」
「俺は師匠で剣術を教えてるよ」
「剣術じゃと?」
確かに、この剣士は相当な手練れだわい。手のひらのマメを見れば分かる。
「……そうか、なら、もうライアンに関わらないでくれ」
魔法が強者のこの世界で、魔力を持たないライアンがどんなり努力しても、魔法使いには勝てない。未来が絶望になるだけだわい。
「やだ」
即答で断りを入れたわい! 怒ろうとしたが、こいつの眼は本気だったから、まずは理由を聞くことにするのじゃ。
「……それはなんでじゃ」
「ライアンは心の奥底から強くなりたがってたし、何よりも俺が強くしたいと思うから」
「……そうか、しかしライアンは強くなれるのか?」
魔力を持たない人間が強くなった話など一度も聞いたことがない。
「それは、ライアンの頑張りしだいだよ。でも、あいつは必ず強くなる」
こいつの眼に曇りはない、真っ直ぐな瞳だ。嘘はついてない。
「もし強くなれず、ライアンが傷ついたらどうする?」
「それはない」
本当に目がぶれない。確信してるのだ、ライアンが強くなることを。
「なぜ、そこまでライアンが強くなると思う」
「それはライアンと色々、話して思ったけど、すごく努力家なんだ」
「努力家じゃと?」
「うん、ハッキリ言うとライアンは剣術の才能もないよ」
「なんじゃと!?」
なら、なおのこと剣術を教える必要もない! 無駄な希望を持つこと酷なことはないぞ!
「落ち着いてくれ、確かに才能はないがライアンは心の奥から強くなりたいと思ってる、そして、その強くなりたい理由は誰かを守りたいって気持ちからきてるんだ」
「……気持ちだけじゃ、何も解決はせんぞ」
「するよ、どんなに才能があっても、魔力があっても頑張るって気持ちがなかったら強くなれない」
こいつはハッキリとわしの目を見て答える。
「なら、一つライアンの師匠であるための試練を与える」
「おう! どんとこい!」
「この森のウルフをライアンが倒すこと、もし、倒すことが出来たら師匠として認めてるのじゃ」
ウルフ、危険度は最低ランクのFで魔法学校に通ってる子供が最初に駆るモンスターじゃ。
しかし、動きが早く生身の人間が挑むのは危険じゃ。
「よし、分かった。ライアンが倒すと約束するよ」
「あぁ、しかし、仮にライアンが死ぬようなことがあれば、わしは貴様を殺すぞ」
わいはこいつを睨み付けるが、へらへらと笑っておる。
「大丈夫だ、ライアンが絶対に勝つから」