第3話 師匠との約束
1ヶ月が経過した。あれから毎日、師匠とトレーニングの日々だ。
ようやく慣れてきたと思ったら、追加ですべてのトレーニングメニューが倍になり体が毎日、悲鳴を上げている。
結局、余裕がなく師匠のことを聞けなかったので今日こそは聞こうと思う。
なので、早起きして、トレーニングが始まる前に師匠のところに来たら素振りをしていた。
相変わらず、綺麗なフォームで見惚れてしまう。すると師匠がこちらに気が付いた。
「おっ、今日は早いな!」
「はい! おはようございます!」
師匠は素振りを辞めて、椅子に座ったので隣の椅子に俺も座る。
「あの、師匠って変わった名前をしてますよね」
「あぁ、まぁ、俺は別の世界からここに来たからな」
「えっ!?」
噂程度だが、聞いたことがある。別の世界から来た人間で稀に強すぎる力や魔力を持っている者も居ると聞いた。
しかし、それは噂で本当に居るとは思わなかった。
「なら剣術は前の世界の人に教わったんですか?」
「あぁ、すごく強い人で俺なんか毎日ボコボコにされてたよ」
「すごい……会ってみたかったです」
師匠が手も足も出なかったと聞く師匠の師匠、会ってみたかったと残念だったが仕方のないことだ。
「まぁ、そんなに残念がるな、今日から剣術を教えてやるよ」
「えっ!? 本当ですか!?」
この1ヶ月の間、ずっと筋トレと素振りで大変だったので、かなり嬉しい。
すると師匠が突然、真剣な顔になる。
「一つ事な約束がある」
「はっ……はい! なんでしょうか?」
「俺の剣術は人を守るために使ってくれ」
もちろん、人を殺すために剣を振る気などない。だが、師匠の目はいつも以上に真剣でこちらにも伝わってくる。
それに、ハッキリと答えなくては駄目だ。
「はい、必ず、人を守るために使います」
俺は師匠の目を見ながら答える。
気持ちが師匠にも伝わったのか、にっこりと笑い剣を握るとこちらにも剣を投げてくる。
「それじゃぁ、お前に剣術を伝授してやる。この型の名は『夜ノ型』」
「……夜の型」
「この剣術は防御の型で極めれば相手のどんな攻撃も受け流し、カウンターを決めることが出来る」
「は、はい!」
「まぁ、口で言っても分からないと思うから体に教え込むわ」
「は、は―――えっ!?」
いきなりのことでビックリするが、師匠が突然、突っ込んできた。
ー数時間後ー
「……」
俺、生きてるよな? 体が全く動かないんだが……。
「今日はここまでだな」
「は………はい、ありがとうございます、やっぱり師匠の剣術は凄いです」
「あぁ、そうだろ?」
空はもう、真っ暗だ。何か、重要なことを忘れてる気がする。なんだ、何を忘れ―――!?
「あっ!!」
思い出した! 今日、おじさんが家に帰ってくるんだった!!
「どうした? いきなり大きい声をあげて」
「あの! すいません!緊急じたいですぐに自分の家に帰ります!」
「そうか、分かった!」
すると、師匠は俺を担いだ。
「走るぞ!」
「えぇ!?」