第2話 修行1
「ん……」
周りを見渡すと自分の部屋だと気が付いた、どうやら俺は眠ってしまったらしい。
昨日の出来事も夢だったと残念だったが、普通の人間が魔法を斬れるわけがない。
「いっ!?」
立ち上がろうすると、腕に鋭い痛みを感じた。
腕を見てみると包帯が巻いてあった。それどころか、他の箇所にも包帯が巻いてる。
昨日、殴られたのは本当でそのまま気を失ったのか? なら、ここまで運んでくれたのは誰だ?
おじさんは少なくとも後2日は帰ってこない。
もしかして、昨日の出来事は本ーーー!?
ドアが凄い勢いで開くと一人の男性が笑いながら立っている。
「修行に行くぞ!!」
「藤原さん!?」
「師匠と呼べ!!」
そこに立っていたのは師匠だ!! 昨日の出来事は夢じゃなかったんだ。
「怪我してるんですが……」
「そんなのは関係ない!」
すると、俺をお米を持つように肩に担がされる。
「うわぁっ!?」
「行くぞ!」
師匠は走り出すと凄い速度で森の中に入って行き、俺は情けない悲鳴を上げまくってしまった。
少し時間が経過すると家が見え、師匠の足はそこで止まる。
師匠は俺を下ろした。
「今日から、ここで修行しろ」
近くに川があり、師匠の家がある。そして、武器と巻き藁が置いてる。
「はっ……はい! ありがとうございます」
「それじゃ、これ」
師匠は一枚の紙を俺に渡してきた。
「……?」
紙を受け取り中身を見てみる。
『腕立て50』
『素振り100』
『ここから家まで往復30』
その他にも書いてたのだが、これは流石に冗談に決まってると思い、師匠の顔を見るとにっこり笑ってる。
「……」
冗談じゃなかった、今日が俺の死ぬ日かも知れない。
ー数時間後ー
「おっ……終わった」
なんとか、トレーニングが終わった……、これを毎日やるのか、体は持つのだろうか……。
俺は今日のメニューが終わったことを師匠に報告をしようとすると、刀を握っており、目をつぶっている。
ものすごい集中力でとても話しかけられなかった。
次の瞬間、目に見えない速度で剣を抜き巻き藁を縦に三回斬る。
藁はストンと静かな音を立てて数ミリもズレないで斬った巻き藁は上に乗ったまま落ちた。
今の俺には師匠がどれだけすごいことをやっているのかは分からない。
ただ、背中がとてもカッコ良く、俺もこうなりたい、強い剣士になりたいと更に強く思ってしまう。
「ん? 終わったのか?」
「……さらに、もう一セットやってきます!!」
1日でも早く追い付きたい。そう思ったら体が勝手に動いてしまった。
まぁ、結局、この後は体が持たず、途中で倒れてしまったのだが……。
「おいおい、無理はするなよ」
「はっ……はひ」
師匠に聞きたいことは山のようにあったが、この日は疲労のあまり気を失ってしまった。