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ロイドアンドメイド  作者: 雪水湧多
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可愛い子は愛でよ!

もみじさんの隣に立つ女性は仕切りなおすように咳ばらいをしました。

「彼女が新人ですね。私はメイド長を任されているリアです。呼ぶときはメイド長はつけなくて構いませんよ」

「は、はひっ!!そ、そのごめんなさい!」

凛としたお顔、引き締まったボディにバランスよく整った胸。スタイル維持に努力を感じられるお体です。女性の理想の体型をしているのではないでしょうか。一応記述しておきますと、何がとは言いませんがもみじさんのほうが大きいです。柔らかさも段違い。

「えっとね、これが新作のなんだけど、渡してもいいのかな」

もみじさんは机にメイド服を置いた。

既に置かれているメイド服とは違った雰囲気のメイド服。もみじさんやリアさんのようなオーソドックスなメイド服の配色ではなく。

パステルカラーのような淡さを連想させる雰囲気に、膝丈まであるスカート。

動きやすくも見た目も重視したメイド服でした。

「ごめんなさい。って説得力ないですよね。ごめんなさい。あーもう、私は何度ごめんなさいと言えば許されるのでしょうか」

「ふふっ、冗談だよ。この子は私が時間をかけて自分の手で縫った子供のような服なの。だから大切にしてね」

「はい!大事にします・・・あの。どうやって着ればいいのでしょうか!?」

「あはは・・・」

「今度も面白い子が入ってきましたね。これから楽しみです」


私は何書いているのでしょうか。

ただの痴態なので、冷静になると少し恥ずかしいですね。

でも私は消しません。そう決めたので。


消してもいいのでは?というツッコミをぐっと抑え、深呼吸を一つ。

「これは見てもいいものだったのか?でも当時のことを知れる重要な唯一の手がかりだ」

めぐ、もみじ、リア、マスター。

登場人物を見る限りロイドアンドメイド事件は事故だったとしか言えない。

「・・・リオディ」

もし仮にリオディがこの日記を僕に読ませることが目的なら・・・

「もしかして、この日記には事件の真相が・・・!」

パラパラと流し読みしたところ別のメイドも登場するようだった。

また、読んだところ、ロイド邸ではメイドたちに給仕をさせるカフェも営んでいたようだった。

「少しでも手がかりを見つけないと、この日記に出てくる人たちに申し訳ないな」


「どうして・・・なんですかね?」

水曜日の午前の給仕。休みを控えた金曜日やその休みを消化して迎える月曜日ではないのでカフェ内は散漫としていた。カウンターで伏せているめぐと双子だけど身長が離れているメイドが座り話をしていた。カフェとは真反対な人の愚痴である。

「カリーナはいつもそうよ、忙しいからって妹たちの随伴を断るの。まったくラジオのパーソナリティになったからって調子に乗りすぎだわ!ねぇネフィル姉様」

カウンターを叩きマスターににらまれているのは双子の妹のネフィラ。姉より身長が高く、高慢な態度でよくリアに絞られている。姉大好き。四六時中一緒にいる。できればトイレも一緒にしたいと本人談。

「こら、ネフィラ。私たちにとってもお姉さんなのよ。きっと断っている理由もあるはずよ」

優雅に見える姉の方。妹に比べ背は小さいが頭は回るが優雅に見えるだけであまり仕事はできず失敗が多い。特に記憶力が残念とマスターが話している、しかし彼女は「だからなにか?」と割り切っているのでか改善の兆しなし。

「あるんでしょうか?理由なんて・・・ネフィラさんも断られたときに理由って言われませんでした?」

「言われなかったの。ネフィル姉様と一緒に頼み込んだのに作り笑顔で断ったのよ!せっかくネフィル姉様が頼んでいるに断るなんて・・・ぐぬぬぬぬ~」

めぐはリアとの仕事から帰ってきた翌日から、この国のラジオのパーソナリティを任されているカリーナに随伴させてもらえるよう猛烈にアタックしていた。しかし、結果は実らず何度もきっぱりと断られている。しかしカリーナは断った理由をめぐに説明しておらず、他の娘たちも同じように断られている。そのためカフェのピークが来る前にめぐと双子のネフィル、ネフィラの三人で愚痴りあうことが多かった。

「理由がわかるまで私、あきらめません!」

「あら、めぐってば負けず嫌いなのかしら?うふふ、ネフィラとおんなじね」

「でもよ、確かめぐの前の・・・」

そこに給仕を終えた小さいメイドがカウンターを通った。まるで精巧に作られた人形のような容姿に目を奪われ、思考が真っ白になり自分のすべてをもって観察を始めた。

あどけなさを残しているからこその可愛さ、しかし幼すぎない雰囲気を醸し出していることによりしっかりとバランスが取れている。そんな花のようなメイド。

「あ、リジアちゃん。お疲れ様。これから休憩かな?」

「うん、そう。今日は朝からずっと働いてたから。ネフィルさんも休憩中?」

「あわ、あわわわ」

めぐが観察を終え結果を心のノートに書き込みしている最中に、口という出力装置を見つけ暴走を始めた。めぐはここ最近仕事に慣れてきているが慣れてきている、が余裕が生まれ変な方向に暴走することも多かった。基本的に真面目な方向には向かず不健全な方にまっしぐら。そう、今回も・・・

「えっと、めぐさんでしたか?どうかされ・・・」

「なにこのメイドさん!もしかして私の前に来たっていう噂のロリっ娘メイドさんですか!?全体的にスラっとした華奢なのに、見るものを惑わすような曲線がところどころ見れて非常に眼福です!!特に足と首ですね!!足は・・・」

めぐの勢いとロリという単語に押され、双子は思わず「ロリ」と口に出す。当の本人はむしろ「だからなんだ、私の方がお姉さんだ」と言わんばかりの不服そうな顔で目の前の変態をにらんでいる。「妹にしたい」「着せ替え人形にしたい」「持ち帰って部屋でグヘへなことをしたい」と一通り犯罪的な言葉の数々を口に出したところでめぐの後頭部に強い衝撃が走る。

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