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ロイドアンドメイド  作者: 雪水湧多
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とってもかわいいハンドメイドのメイド服!

翌日まずはメイド服選びだと言われもみじさんに更衣室へ連れていかれました。

道中の非日常の風景に心が躍りながらもちょっぴり緊張していた台風一過の朝。

飾られている絵画や脇に置かれた花瓶よりも窓の空に見惚れてもみじさんに笑われたのは今でも恥ずかしいです。

更衣室は質素で最低限のものしか置かれていないイメージと違って、これまでの道中のように絵画や花も置かれて雰囲気作りに一役買っていましたがn芸能人の楽屋のように大きな鏡と椅子が何台も置かれしっかりとメイクできるようにもなっていました。

クマのぬいぐるみや折り紙などの私物も置かれていて緊張感は不思議と無くなっていました。

もみじさんは様々なロッカーからいくつかメイド服を取り出し机の上に並べていきました。

メイドらしくなく明るい配色と雰囲気でフリルがいっぱいついた可愛らしさにふり抜いたもの、逆に落ち着いた雰囲気でフリルも少なくイメージの中のメイド服をかっこよさに振ったものまで様々なものを取り出してももみじさんは首を傾げました。

私は何か失礼なことをしてしまったのかもしれないと謝ろうとした時もみじさんは唸りました。

「むぅ~」

その姿も可愛いのはここだけの話です。

「ごめんね、めぐちゃんに合うサイズじゃ、ないね・・・」

「そんな、みんな素敵です。私があまり誉められた容姿ではないと思います。この通り貧相な私が悪いと・・・」

微妙な空気が場を支配しました。

並べられたメイド服から選ぼうと足をすすめた時、またももみじさんは声を出しました。

「そうだ!新しいメイド服がそろそろできそうなの!そのメイド服を調整すれば・・・ちょっと待っててね」

「えっ、あっ、はい!」

私を残して更衣室から出ていくもみじさんを見送った。

「本当に母親の様な人。悪い人じゃないと思う。もしかして本当に母親だったり・・・はないかな」

改めてあたりを見渡して時間を潰しました。

メイドさんたちが残した私物があちこちに見え、メイク用品も置いてあったので興味が尽きることはありませんでした。

どれがもみじさんのハンドメイドの品だろうかと考えることが面白いかと血迷ったことを考えてしまったのが悲劇を生みだしました。

並べられたメイド服を比べながら観察してみると、一つ目を惹くメイド服がありました。

もみじさんとはオーソドックスなデザインという点では似ていてぱっと見同じ、でも細かな配色や装飾、スカートの長さが違う別のメイド服でした。

「これももみじさんが作ったのかな?スンスン・・・すごくいい匂いがする」

花の匂い。

これは清潔感のある匂いで抱き枕にして寝れらる。と確信。

しばらく裁縫に目をくれず抱きしめながら匂いを堪能。

甘く眠りを誘うような匂いの虜になっていました。

例えるならあのカラメルを焦がした洋菓子に相性の良いカモミールような優しい匂いが1番近いのかもしれません。

「め、めぐちゃん」

ハーブティを飲んだ後のようにリラックスしている私はノックがあったことに気づかず。振り向いた時にはもう遅かったのです。

「えっ・・・あ、これは、あの、えっと裁縫の、その、縫い目とか見たくて・・・ごめんなさい!!」

ただ頭が真っ白になって何も考えられませんでした。

言葉が出てきそうででてこない。

パンクした状態と表現すればいいのでしょう。

「えっと、そのごめんね、言い逃れはできないかな?」

「初日にクビですね・・・短い間ですがお世話になりました」

「短い間・・・とりあえず、その服は私のものだ。その返してはもらえないだろうか?」

慌てるもみじさんの隣に立っていた見知らぬ女性。

このお屋敷で知っている人は2人しか知らないので知らないほうが当たり前です。

持ち主だというのなら返すのが筋というもの。

「あ、あの、体が拒絶しています・・・きっとこのメイド服を抱いて寝ればいい夢が見れられると確信したみたいですぅぅー!」

「それはどういう!?・・・」

「め、めめめぐちゃん!?」

むしろぐっと力を込めて抱きかかえてしまい、メイド服にしわができようとお構いなしに抱き、嗅ぎ続け。

数分間お二人を困らせてしまいました。

特にメイド服の持ち主は顔を真っ赤にしていつ怒り出すかわからない状態。

むしろなぜ起こらないのかと疑問に思いました。

あとでこの時のことを聞いても何も答えてくれませんでした。

なぜでしょう?

「あ、あのっ、メイド服を渡してもらえると助かるかな、私だけでなく、そのメイド服の持ち主であるリア、あとめぐちゃんのためにも・・・ね?」

数分間の攻防戦はこの言葉によって閉幕。

もみじさんの言葉が胸に突き刺さり人生が終わった気がしてメイド服を渡すことができましたが、印象は最悪です。

ごめんなさいと謝りながら罪を犯し続けたのですから。

それでももみじさんは、慣れた手つきで受け取ったメイド服を洗濯に回しておくねと抱いていたメイド服を分けて机に置きました。

もみじさんの優しさには今でも頭が上がりません。


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