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笑止恒例化社会

作者: 葛城早希

寒空の下、東京某所。選挙カーが街を行く。私は野中空。芸術大学に通う女大生だ。生まれてから年々悪化していく社会情勢を憂いていた。

「私只野誠は若者のための政治を実現します!まずはこの東京3区の皆様がたにお力添えをお願いしたい!」

街頭演説が喧しく大衆へ訴えかけている。どうせ人口構造が変わらない限り政治は変わらない。後期高齢者を大量虐殺でもするというのか?世の中耳当たりの良い嘘で溢れている。…然し美術作品・芸術は嘘を付かない。だから私は芸術家の道を選んだのだ。空は俯きながら高架下を通り過ぎてゆく。すると耳を疑うような言葉が飛び込んできた。

「まずは累進課税方式の年金制度の撤廃!年金は支払ってきた金額分のみ受け取れる積立方式へ移行します!そして次に人道的なジェノサイド!70歳以上の高齢者で自力で生活できない者についてはコロニーへ集めて全員安楽死させます!ー・」

只野はその後も過激なマニフェストを述べていく。周りで聞いていた高齢者は怒号を浴びせている。

「ふざけるな!おれたちが今の社会を創り上げてきたんだぞ!

年寄りを敵に回して票が取れると思うなよ!!」

「あなた方は最早有権者ではありません!社会のお荷物なのです!いい加減目を覚まして下さい!あなた方が若者に与えたものは明るい未来などではない!問題の山!負の遺産です!我々が政治家になった暁には若者を応援する政治家で連立政権を組み60歳以上無職でかつ貯蓄で生活できない方からは選挙権を剥奪します!」

私は目の前で行われている演説に耳を疑った。然し只野が言っていることは過激だが間違っているだろうか。国内消費は冷え込み、出生率は年々低下、国内人口は30万人単位で減少している。高齢者人口のピークは2040年と言われているが、なんでも年寄りが若者から搾取する構造は変わらない。若者の〇〇離れ?金の若者離れの間違いだろう。…少子高齢化社会…いや笑止恒例化社会なのだ。ー・私は後日、迷わず只野に票を投じたが、只野は惨敗した。

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