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婚姻関係にある男女やその子供の同居を禁ず

作者: 十司新奈

SF的なアイテムを一個も入れてないので今回はただのショート・ショートです。

SNSとかやってると感じる「なんで自分で選んだはずの配偶者の悪口を言うんだ?」とか「相手のことを理解する前に結婚したのかな?」という思いを題材にしました。


「婚姻関係にある男女は同居を禁止し、夫婦は子供に出産時以外干渉しない」という法律が話題になったのは、まさに少子化、若者の恋愛離れが喫緊の課題となっていた、そして情報が洪水のごとく溢れ始めた、あの時代であった。


当時の政府のこの発表に、与党のみならない全ての政治家、知識人が示し合わせたように賛成を表明した。対照的に反対意見を示した高齢層や報道・出版関係者は、時代遅れの世迷言を叫ぶ狂人呼ばわりだった。


 「そもそも私たちは、婚姻について同居する必要があるという認識はしていません。婚姻している男女が同居していないのは不仲だからという認識もただの偏見、先入観であると考えております」

 「子供に関しても同様。親という害から離れ、国の教育機関の元で同級生とのびのび育つ。両親のせいで将来をあきらめるという事も無くなるのです」


夜の電灯にも引けを取らぬ程に頭が光る大臣は、群がる五月の蠅めいた報道陣を制していった。


 「そもそも今までの結婚の、一つの家庭に入るという捉え方がおかしいんですよね。一つの家庭に入るんだから相手の稼いだ金も自分のものになる、という自分勝手さが結婚相手の年収が高い低いっていう差別的なハードルや、家事育児の分担がどうっていう問題を生んだわけで~」

 「子供に関してもやはり親と暮らすことによる不幸はあります。トンビが鷹を生むことは出来てもトンビに鷹を育てることなど到底不可能ですからね」

 「親も不幸ですよ!あんな理屈の通じない猛獣と暮らさなくてはいけないなんて」


知識人扱いされている、気取った眼鏡をかけた整えた髭の男は、モニターから視聴者に語りかける。ネット上でもこの法律は話題となった。実際に周りを見てみれば、結婚して幸せそうな人などいない。ネットの海には、夫への愚痴や嫁への不満が毎日大量に垂れ流され、結婚相手への恐ろしく自分本位な要求に溺れる時代だ。

 


そもそも自分で選んだはずの人間に愚痴を言うとはどういう事だ、自分に人を見る目が無いことを晒して何になる、子供はなんで生活の保障を盾に親に従わねばならぬのだと兼ねてからネット上では配偶者の愚痴や今までの親子関係には不満の嵐だったため、この法律には肯定の嵐だった。


 「第一、男女平等を盾に相手にも労働や家事・育児を求めるのが間違っているんだ!」

 「社会的正義を自分の都合に利用して結婚相手をこき使う奴ばっかだ」

 「子供は親を自分で選べないのに親はなんで子供の将来を選べるんだ?」

 「一人暮らしをして自分で仕事も家事もすればいい。一人暮らしは皆そうしてる」

少子化、若者の恋愛離れ、親子関係による進路選択の不自由などの問題が深刻だった国の救世主的政策であるとして、この法律は受け入れられた。




それから十数年の後のこと、社会は親の害や夫婦の不仲、子育ての苦痛から解放され、人口も増加傾向、皆進学や就職をあきらめない。争いのない家の中で暮らしている。

 「この1年間でまたも国の幸福指数は上がり、我が国はなおも世界1位をキープし続けています」

ニュースキャスターは、ことあるごとにそう読み上げた。

まさに理想的な世界。誰も自分の家族を嫌ったりしない。



誰も自分の家族のことを分かってはいないのだから。

どうでもいいことですが、作中の世界は長続きしないと思います。新しく生まれた子供たちが好きな人と離れざるを得ない結婚をしたがらないはずですから。で、多分別居制度が無くなって本当にこの人と一緒にやっていけるだろうか?とか真面目に考えたうえで結婚するようになると思います。本当に相手を理解した上での結婚。「自分でこいつを選んだ」って責任を持てる結婚。それに、結婚に責任持てる人間は、自分たちが産むって決めた子供の将来に対しても責任持てると思います。


相手のことを理解せずに結婚しているのは別居制度が出来ても変わりませんでしたが、廃止後には結果的に幸せな社会へのきっかけになるという意味で、ある意味作中世界はユートピアなのかも。

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