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3話


再び受付に向かうと何故か先程の受付嬢の所だけ列がなく明らかに私を待ち構えていた。


「さっきはいきなりごめんなさい。登録をお願い出来ますか?」

「はい、文化祭狩人(フェスハンター)登録よろしいですね?」

「えっ?ギルド登録なんじゃ?」

「さっき委員長が正式名称に変更しました。だから会長は何も間違っていません。良かったですね!」

「……いいから手続きをお願い。」


気を使ってくれてるのか煽っているのか分からないが、恥辱を蒸し返されてイラつきながら説明を受ける。


「まずこれがギルド、いえ文化祭狩人(フェスハンター)ライセンスカードです。偽名でも構いませんがこちらにお名前と登録料200円をお願いします。」


私は名前の欄に考えるのも面倒なので、ほぼ本名のシーナと書き200円を渡した。


「ではシーナ様、改めてナーロッパ風喫茶ギルドにお越しくださいましてありがとうございます。それでは簡単に説明させて頂きます。あちらのクエストボードから依頼を受け、ここに報告すると報酬として銀貨、金貨という仮想通貨が貰えます。通貨に価値はありません。ただ集めるとランクが上がり高いランクの依頼が受けられます。最初は全員ブロンズです。ランクは下からブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ミスリル、オリハルコン、アダマンタイトの7等級あります。シルバーに上がるには銀貨1枚です。ゴールドは5枚という感じで依頼を受けて名をあげてください。プラチナ以上になると委員長(ギルドマスター)によって勝手に2つ名が付きますから覚えておいて下さい。」

「悪いけど、興味が無さすぎて全然頭に入ってこないわ。説明はこれで終わり?」

「はい、あと任意で超指醒オーバーフィガウェイクを受けられますがどうしますか?」

「はあ、ここまで来たらやるわ。」

「では総指量(フルフィガント)を測りますね。項目は指力(フィガレングス)指速度(フィガリティ)指知能(フィガリジェンス)の3種です。1項目につき100点でMAXが300点です。ちなみに現在の最高値は3年2組 ミスリルランクのマッチョ山賊のツヨシが出した242です。」


受付嬢が握力計を改造したものとスマホを取り出した。


「まず、指力(フィガレングス)からここ握って親指だけでこの部分を押し潰して下さい。…………はい、えーっと数値は88ッ! さ流石ですね生徒会長!!」

「はいはい、さっさと終わらせて。」

「次は指速度(フィガリティ)です。このカウンターアプリを連打して下さい。ではスタート!…………これは!!きゅ92ですって!!……あなた何者なの!?」

「生徒会長つってんだろ。」

「最後は指知能(フィガリジェンス)です。このマルチカウンターアプリで指定した色を流れる音声通りにタップしてください。ではスタート!」


『赤、青、黄色――』


私は言われるがまま無心でタップしていた。そうしていると現実を忘れられる気がしたからだ。


『薄紫、橙色、光の三原色、虹の外から2番目――』


途中から色というかクイズになっていたが頭を使う事は好きだったので少し楽しくなっていた。


『エストニア国旗の色、ツタンカーメンえんどう豆の色、太宰治著書「正義と微笑」において作中に出る1週間を表現した7色。……計測は以上です。ありがとうございました。』


「はい、これにて終了です。どれどれ…………そんな、有り得るの!!?ぎ委員長(ギルドマスター)ッ!!!」

「どうかしましたか?」

「こ、これを見てください!!」

「どれどれ、指力(フィガレングス)88!?、指速度(フィガリティ)92!!?、指知能(フィガリジェンス)……100だって!!!? 総指量(フルフィガント)280だと……あなたは人間か??」

「人間よ!失礼ねあなた。」


私たちが受付で騒いでいると周りに人が集まってきた。殆どの人が好意的に讃えてくれて悪い気はしなかったが、1人納得できないといった様子で前に出てきた男がいた。その男はムキムキで素肌に毛皮のベストを羽織ったわかり易い山賊風な服装だった。


「おいおい、嬢ちゃんイカサマはいけないぜぇ? こんな痩せっぽちが俺様より強いなんて有り得ねぇだろ」

「あれってミスリル文化祭狩人(フェスハンター)のマッチョ山賊ツヨシか?」

「ああ、アイツに目をつけられるなんて可哀想に……」


マッチョ山賊、確かにその通りの見た目だ。確か私が来るまで1位だった男。とても面倒くさい予感がする。そしてマッチョ山賊は私の前に例の机を持ってきてそれに肘を置いた。


「やろうぜぇ。俺が直々にテストしてやるよ。」

「いやよ。」

「ビビってんのかぁ? こりゃあとんだ買いかぶりだぜ」

「……。」

「腰抜けに文化祭狩人(フェスハンター)は務まらねぇんだよ!! とっとと消えろ!!」


それに同調する様に周りの野次馬からも怒号が飛ぶ。ここにいる奴らの顔は覚えたから後で生徒会で絞めることにする。そして諸悪の根源たるマッチョ山賊は直々に懲罰する事が私の中で決定した。


「ビビってないけど出来ないのよ。」

「はあ? 言い訳も見苦しいぜぇ??」

「……私、潔癖症だから汗臭い奴と手を触れたくないの。」

「えっ?……いや、そそうなんだ。」


マッチョ山賊が体臭をこっそり確認している。


「あとあなた指毛も濃いし、手汗をかいてて気持ち悪いの。心底不快だわ。それにこのご時世でしょ? あなた私に何かあったら責任取れるの??」

「……ごめんなさい。憧れのお約束シュチュエーションだったから調子に乗りました。あと指毛も剃ります。」

「そうした方がいいわ。手汗も手術で治るわよ。じゃあ私は喫茶コーナーを監査するから。」

「……はい、この度本当に申し訳ありませんでした。……うぅ俺文化祭狩人(フェスハンター)引退する。」


この騒動によって私はプラチナランクでもないのに「山賊殺しのシーナ」という2つ名を獲得した。


読んで頂いてありがとうございます!

もしご感想があれば是非聞かせて下さい!

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