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桜子さんのショートショート

聖夜のデコレーションケーキはただのお菓子

作者: 秋の桜子

 卵を3個、湯煎にかけ共立て。砂糖、100gを分けて入れつつ、しっかり泡立てる。


 小麦粉90gをふるって入れる。バターの代わりにサラダオイル20g。仕上げにヴァニラエッセンス。


 型にサラッとオイルを塗りクッキングペーパーを敷く。190℃に設定、予熱を開始オーブンレンジ。


 流し入れる。この時、生地が太いリボン状に流れ落ちると、イイ感じ。


 ピッ。予熱完了、ゴムベラで表面を均し、トン。軽く型を落とし空気を抜く。設定温度を170℃。25分設定


 ピ!グゥン。焼き上げ開始。


 イブに間に合う様、先日から仕込むスポンジケーキ。冷蔵庫で苺も銀色アラザンも。


 出番を待っている。


 二人で食べる甘い夢を見ていた。






 パシュ。ビール缶を開けグビリ。



 パカン。みかんの缶詰を開けてザルに移す。黄桃の缶詰も、この時、黄桃シロップがボウルに溜まるようにする。


 ダン!タッタン


 黄桃は厚めのスライスとサイコロ状、苺は幾つかスライス、有ったキウイは剝いて半月。


 ヴィーン!カシャカシャ


 ハンドミキサーが猛スピードで、砂糖とリキュールを入れた、純正生クリームをホイップするイブ。


「なにが」


 ヴィーン! カシャカシャ


「ゴメン」


 ヴィーン。カタン


「だよ」


 絞り袋に幾らか詰め込んだ後、スポンジを2枚にスライス、1枚の切り口にシロップを染み渡らせクリームを塗る。


「バカじゃん」


 スライスした苺を並べ、サイコロカットの黄桃をまんべんなく散らし、クリームをゴムベラで多めにひとすくい。


 ポテン。ソロリと塗り拡げる。


 パサン。スポンジを重ねる。


 外側にもシロップ、ペタペタ。クリーム、ペタペタ。合間にビール。


「もう少し」


 奴は後輩とイチャラブ。ケーキを焼くと嬉しげに宣言していた私に言い出しにくかった、ヘタレ。


「23日の夜中に、ごめん、別れようメールを送ってくる?」


 ハンッ。


「先輩、ブッシュド・ノエル教えて下さいって、後輩。男、盗る?」


 今の世の中、ケーキなんてコンビニで買える。イブだけ特別感有り過ぎ。


 腸が煮えくり返るほど悔しい。


「ハッ ただのお菓子」


 だけど気合いを入れる。美しく仕上げる。アラザンをパラリ。


 写メを撮ろうとして止めた。


「完成」


 挑むは憧れのホール食い。それでも、包丁を押し入れ大振りにカット、フォークで食べる。


 甘い、美味しいと感じるなら大丈夫、きっと。


「明日は普通におはよって言える」


 今日はボロボロ。

 多分、きっともう大丈夫。

 頬張る。自分へのメリクリ。


 聖夜のデコレーションケーキ。

作中のレシピは、我が家のスポンジケーキのレシピです。

子どもが小さい頃は焼いていましたね。ケーキ屋さんもパン屋さんも車で山越えなのですよ( ;∀;)

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― 新着の感想 ―
[一言] 失恋したあとのケーキ作りは気合が入りますね。 何かに集中して力を注ぐと、ストレスが軽減されると聞きました。 しかし……ケーキ屋さんもお菓子屋さんも山を越えたところにあるとは……。
[良い点] 向こうは楽しくやってるんだろうなと思うとやり切れないですね……
[良い点]  悲しすぎる。  後輩に寝取られたことも、そんな男と付き合ってたことも。 [一言]  ケーキホール食いはねぇ…。  夢だったんだけど、ケーキバイキング1回行ったら、無理だと悟りました。  …
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