『命の選別』
ある病院の一室で老婆の死亡か確認された。
「・・・・ばあちゃん。」
死亡を確認したのは、ここの医師で孫の安田 真だ。
カラカラ・・・病室の扉が開いた。
訪れたのは真の父で衆議院議員の安田太郎であった。
「・・・・。」
「お袋、どうして?」
「緊急搬送されてきたよ。肺炎だよ。ずっと我慢していたんだろうね。救急隊員が言っていたよ。ここの病院だけは連れていかないでくれって。どこの病院も高齢者の発熱、肺炎じゃコロナを疑うよな。ばあちゃんの容体が悪化して、やっと、この病院に連絡がきたよ。上の空で呟いていたらしいよ。「孫に迷惑をかけられない。」って。」
「なんで、そんなことに、一本連絡くれれば、部屋ぐらい用意したのに。」
「あんた、ふざけんなよ!普段 居ないくせに!ばあちゃん1人にしといて!」
「なんだ。親を『あんた』呼ばわりするのか?」
「あんたを父親なんて思ったことなんてない!母さんが白血病で死んだときだって、あんたは、会合でこなかった。しまいには、葬式を選挙の道具にしやがって!同情票だぁ?ふざけるな!ばあちゃんが、どれだけ苦労したのかも知らないだろう?ばあちゃんをたらい回しにしやがって、あんたは何やってるんだよ。こうならないようにするのが政治家じゃないのか?今日、こっちにいるのだって、国会が閉じ、オリンピックが終わり、選挙が近いからだろう!」
「仕方ないだろう。それが政治家だ。家族を犠牲にしてでも国民の為に働かなくてはならない。」
「家族を犠牲にして人の役にたてるのかよ!」
「おまえだって、そうだろ。若くして地元医師会の会長になれたのは、家族を犠牲にしてきたからだろう。ん?」
「あんたと一緒にするな。俺が会長になれたのは家族の協力があったからだ。」
「ははは、そう思っているのは、おまえだけだよ。わたしの力がなければ、おまえみたいな若造が会長になれるはずない。」
「う、うそだ!」
「いいや、嘘じゃない。政治家は嘘は言わん。」
「・・・・信じられない。」
「真、時期をみて出馬させてやる。そうすれば、おまえが望むような たらい回しなどなく、命の選別を迫られない時代がくるかもしれんぞ。そう、思うのであればこれからは、私の言うことをききなさい。わかったな。」
病院に父親 安田太郎 の言葉が響くが、誰も聞こえないふりをしていた。
そして、亡くなったはずの祖母の目から涙がこぼれた。
読んで頂き誠にありがとうございます。
今日のTwitterトレンド『命の選別』がありました。
悲しいですね。コロナ禍じゃなくても、たらい回しのニュースなどありましたね。
コロナ禍を精一杯生きている人たち、日本は11月にはワクチン接種がほぼ終わるとのことです。
政治家嘘つかない。でも、記憶無くすの得意。
それでは、またお会いいたしましょう。(._.)ペッコ