プロローグ
初投稿作品です。あたたかい目で見守って下さい。
ーー647番はなかった。
隅々まで探した。大学側に電話までした。ーー嘘だと言って欲しい。
俺は何しに来たのだろう。明日、どんな顔して北海道に帰ればいいのだろうか。
勉強は得意な方だった。クラスではダントツのトップ。定期テストや模試の後、サイン会の如く俺の周りは人だかりが出来ていた。そんなこんなで、俺は俺自身に自信があったんだ。
それがなんだ、これ。人気アイドルが文春砲を浴びた気分にさらされている。お察しの通り、俺は大学に全落ちした。あーー、終わった。誰でもいい、誰か俺を大砲でも機関銃でもなんでもいい、撃ち殺してくれ。
季節は過ぎ、俺は地元を離れ札幌にいた。
なぜだろう。本当なら今俺は東京の南青山で待望の都会っ子ライフを満喫していたはずだ。なぜ札幌にいるのだ?
センター試験後期利用制度という、残された札を利用し俺は札幌の私立大学『道愛学園大学』通称、『道学』にいる。もちろん、この大学が悪いわけではない。悪いのは俺自身。分かってはいるが。
俺のいた高校は地方の進学校で、毎年国公立大学や有名私立大学へ多数合格者を出している。無論、俺のような例外も毎年ちらほらいる。
大学生活なんてクソくらえ。
ーーそうは思っていたものの、俺が唯一楽しみにしていたことがある。『一人暮らし』だ。
一部の大学生が許される、親の束縛を解く最大打点、とでも表現してみよう。俺は北海道のある田舎出身で、一人暮らしをせざるを得ない状況だった。地方民、サイコー。
最悪の大学生活に、若干の光が射したような気になった。
ーーこの、俺の受験失敗が、大学が、これから出会う友人たちが。
のちに俺の人生を良い意味でも悪い意味でも、狂わせた。