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解説者と分析者のためのあとがき

 これは自分が(ほぼ)完成させた4番めの物語で、テーマは永遠(に近いもの)と愛について、です。

 性同一性障害というのは自分の心と体の性が一致しない障害で、不真面目に扱うようなものではないのですが(真面目に扱っている小説があります)、自分の場合はそういうの読んで、なんか自分のことを「おれ」って言ってる女子っていいな、という感じで物語を作りました。延々と恋愛問題について悩ませる話にしようかとも思ったけど、どうもそういう方向ではうまく作る技術が自分には欠けている、ということでお許しください。

 物語の中で隠そうと努力したことは3つあります。登場人物のひとりと、主人公の五感の曖昧な欠如と再発見(たとえば、色彩とか音楽)、そして「彼」「彼女」という語を使わないことです。テキスト形式の物語だからそういうことやってみたんだけど、映像にするとそこらへんどうなるかはわからない。最後の件に関しては、どうもこの話はその代名詞を使うとうまく書けないな、というだけの理由です。

 なお、今回の物語の主人公は『おれのふたごの妹はひとりだが6人いる』の妹であるなおとはパラレルな関係にあります。したがって、この物語には名前は出てきませんが、母親の名前はサブレ、きょうだいの名前はユキ(トシユキ)って言います。また、ハチバンは『物語部員の愛とその遍歴』にワンシーンだけ、男子として出てきます。セイとアカネさんも、別の話に出てきます。なんかこのふたりは使い勝手がいいキャラなんですね。機会がありましたら他の物語もお楽しみください。

 今回も、話のヒントは手塚治虫から頂いた部分が多いです。視覚的イメージがないとうまくテキストが読めない、という人は、手塚治虫の絵をイメージして読むといいんじゃないかな。

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