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第8話 クソばばぁ



 俺は転移ルームという場所で待て。と忍事務員の姉さんに言われ、1人待っていた。

そこに表れたのは白い忍装束に身を包んだ竜蘭先生だった。


「なんだ、誰が来るのかと思ったら、ば、竜蘭先生か」


「今、ば、って余計な言葉が入っていたのは気のせいかしら?」


「・・・・・・」


「まあいいわ。それと私の名前、竜蘭と呼ぶのはもういいわ。あれは対外的に使う俗名。というか、偽りの名前なのだから。これからは本当の名前を、、、【白亜】と呼びなさい」


と腕を組ながら得意気に言った。


 俺が聞いたことのある名前。【白亜】とは、伝説の忍と呼ばれる人物であり、実力は忍頭領をも上回ると言われていた。まさかこのクソばばぁが伝説の忍だったとは。


それと、と言いながら俺の肩に手を伸ばして、首に巻き付けながら顔を寄せてくる


「前にも話したと思うけども、私は心を読むことが出来るって事。忘れてないわよね?あまり失礼な事を思っていると、私傷付いて何をしちゃうか分からないから。注意しましょうね」


と言いながらグイグイと力が入ってきた。

は、はい。気をつけていきたいと思います。


「で、白亜先生。今日はこれからどうするんだ?」


なんとか解放されて、俺は気になっていた事を聞いた。


「先生はいらないわ。白亜で構わない。今日はこれから現実世界(ここ)とは違う世界に行くわ」


と言いながら、転移ルームの中へ入って行った。

俺もその後に続き部屋へと入った。


 転移ルームの中は6畳ほどの広さで、部屋の中は真っ白だった。そして、部屋の中央には虹色に輝く魔方陣が描かれていた。


「転移する前に1つだけ言っておくわね。これから行く世界はここの重力と異なる重力になっているから。びっくりしちゃダメよ」


 重力の違い。昔何回か忍術学校の時に行った事があった。それはこの世界の重力の3分の1ほどの重力しかなく、もの凄く身体が軽くて楽しかった。瑠衣と二人で跳んだり跳ねたりいっぱい走って。


「前にも行ったトコか?やけに身体が軽かったぞ?」


「いえ、そこの世界とはまた別の場所よ。今回のは逆。過重されている世界。まあ行けば解るわ」


と言い、白亜は指先から虹色の忍気を放ち魔方陣を起動させ、その上にそっと乗った。俺も白亜の横に立った。


 ふっと目の前が暗くなり転移した事を実感し、その後に閉じた瞼を通して光が感じられた。転移が終わったようだ。


「どうチハヤくん。ここの世界は」


と軽々しく話す白亜を俺は見上げていた。

俺は自分の身体を支えきれていなかったのだ。

しゃがみ込んだまま、立ち上がろうとすれど何も出来ない。それどころか、しゃがみ込んでいる体勢でも苦しい。


「く、くそばばぁ!なんなんだよここ!俺立ち上がる事も出来ないじゃねぇーかっ」


白亜はふふんと鼻で笑い俺の頭を踏みつけた


「チハヤくんは()()の技能はどれくらい持ってるの?」


とグリグリしながら聞いてきた。

あ、あの~、超痛いんですけど!


「に、忍術の技能って何よ?」


「例えば、分身とか幻術なんていう、遁術ではないモノの術ね。前にチハヤくんが【赤心(せきしん)】に掛けられた瞳術もそれに当たるわね」


「赤心っていうのか、あのおっさん。めちゃくちゃ強かったんだけど」


「私から見たらまだまだお子様ね。チハヤくんなんてお子様にも満たないわ」


得意気にグリグリすんの止めてくんない?


「俺は分身、隠遁、それと瞬身ぐらいかな。って、そろそろ足退けてくんない?」


「あら、忘れてたわごめんね」


わざとらしくそう言って足を退けた。

ぜってぇー嘘だ!


「じゃー、重力を操る術は知らないわよね」


「知らねぇよ」


「そう。なら1度だけ見せてあ・げ・る・っ」


と、かわいらしく(本人のみの主観。)言いながら重力操作【弛張術(ちちょうじゅつ)】の印を作った。そして金色の忍気を俺に向け放った。


俺の身体が元に戻ったように軽くなった。


「これが弛張術・・・」


「そうよやってみて」


と言い再度術を掛けられて俺はまた()()だんごむしに戻った。


「しゃがみ込んだまま印切るのムズいんだけど・・・」


と言いながら印を結び忍気を練り上げ開放する。なんとか立てる程度には身が持ち直した。


「初めてでここまでこの術を使いこなすなんて流石だわ」


「でも完全にモノに出来てる訳じゃないから、まだ身体が重いよ」


「それでいいのよ。じゃなきゃ試練の意味がないもの。身体が馴れてきたらその術も使わないで貰うわよ。」


と言いながら白亜はスーっと宙に浮かび上がった。そして俺を見下ろしながら含んだような笑みを浮かべ、白龍の姿へと変わっていった。


おれはそれを呆然と見上げていた。


「ふふっ、()()()()()()()に見とれちゃった?」


なんて軽はずみな発言をしていたが、俺は白亜の蒼く輝く瞳に心の奥を摘ままれているように、身動きが取れないでいた。


 白亜は巨大な忍気を練り続けている。

いや、これは忍気じゃないんじゃないか?と俺は忌避感を抱きながら思った。


「そうね。これは忍気ではない。これは【邪気】だ」


と低く、くぐもった声で答えてきた。その時、白亜の白い巨体は漆黒の巨体へと変貌していった。そして大きな口を開き、体内から巨大な黒い球【瘴気】を吐き出した。

その瘴気が瞬く間に大きく膨れあがり、光を帯びて破裂し四方八方へ飛散した。


いつの間にか人?の姿に戻っていた白亜が横に立っていた。


「今のはいったい・・・」


「あれは物の怪(もののけ)と言ったら分かりやすいかしら?まあ、チハヤくんを害する敵と言っていいかしら」


俺は白目をむいてしまいそうだ。

このばばぁは一体何を考えているのだろうか?いや、何も考えない馬鹿なのだきっと。。。

今の物量からして軽くみても数万体はいそうだぞ?化けモンの数!


「また失礼な事言ったわね!」


「言ってねぇよ!思っただけだよっ!」


「それは私にとっては言ったと同じ事だわ。ふん、もういいわ。これからチハヤに君付けなんてしないから。それと、一緒にこの世界で()()()()()()()と思ってたけど、私は帰るから」


「ちょ、ちょっと待って。いや、待ってください白亜様。俺をこの場で1人にするつもりか!ですか?」


「もう遅い。これからは1人であそこに見える山の洞窟に向かいなさい。期間は2年もあれば十分かしらね」


「に、2年も!?」


「そうよ。でも日が経つにつれ、重力も増えていくからあまりのんびり遊んでても辛くなるだけだと思うから、なるべく早く帰ってくる事ね」


白亜はそう言って魔方陣の上に移動した。


「意味わかんねぇよ!帰るって帰り方もわかんねぇよ!」


「洞窟に行けば解るわ。じゃあね。死なないようにね♪」


と言い残し、虹色の残像を撒き散らしながら白亜は転移していった。


俺は白亜の指差した方角を目を細めて見た


「山って何処にも見えねえよ?」

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