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第4話 試験



 そんな地獄のような2年もあっという間に過ぎ、いよいよ修了試験だ。

ここでの結果如何で追放か否かが決まる。でも自分を信じて修行の成果を見せるだけだった。


 最初に試験を受けたのは瑠衣だった。相手は昨年に上の忍学校へ上がった先輩くノ一だった。


 瑠衣は得意の火遁と持ち味のすばしっこい近接戦闘を繰り広げ、なんなく勝利を上げた。俺もホッとした。これで瑠衣も上に上がれるだろう。自分もやるだけだ。そう気合いを入れ直した。


 どんどんと同僚たちも修行の成果を見せつけ、勝ったり負けたりしていたが、みんな凄くいい戦い方をしていた。及第点は確実に取れているだろうから、全員まず間違いなく忍学校へ進めるだろう。あとは俺だけだ。

俺の全てをみせつけてやる。


 対戦相手は【竜蘭先生】だった。そう。忍術の師匠でもある女の先生だ。


「殺す気でこい!」


と先生は言う。俺も先生なら大丈夫だろうと、最大限に高めた極大級の火遁を放った。


全身を燃え盛る炎の矢が先生を貫いたかに見えたが、肌が少し黒くなった程度にしか効果がなかった。


「ちっ!」


と舌打ちをして煙玉を使い、後方へ猛スピードで走り、山の頂上まで駆け登った。


 ここで最大限の土遁を水遁との合わせ技で放つ。それは土石流のような土の雪崩を起こし、山肌を猛スピードで駆け降りていく。


元いた場所に土遁が届くにもそんなに時間はかからなかった筈だ。泥だらけになっているそれを山頂から見下ろし、これで完全に生き埋めになってるんじゃなかろうか。と目を細める。


「やり過ぎたかな?」


と1人呟く


「そうね派手なわりに効果が無かったわね。標的を確実に足止めしないといくら早く技を出しても逃げられてしまうモノね」


と、いつの間にか真横に並んでいる先生に【ギョッ】として思わず持っているクナイを片っ端から狙い投げた。

それを先生は小刀でカンカンカンと軽く受け流す。


 クナイが尽き、脇に差している刀に手をやり、どうやって近接戦闘をするかを考える。ただ闇雲に突っ掛かってもデコピン1つでノックアウトされるからだ。


「本当の火遁を見せてあげるわね・・・」


といいながら、先生は素早く印を結ぶ。


 背中に冷たい汗が一筋流れるのが解った。何故なら俺達が込める忍気の何十倍もの気がその印に練り上げられているのが解ったからだ。


「火遁、双龍炎乱舞」


と放たれた忍術。赤い魔方陣がキラキラと描かれ、そこから2つの炎の龍が表れ、俺の左右を通り背後に回る。


長い龍の身体の全てが魔方陣から飛び出し、上空をクルクルと回転したかと思うと、尻尾が俺の真正面、背後には龍の頭が迫る。


 急いで土遁の印を結び忍気を練り上げ、一気に真下の土の中に逃げ込んだ。勿論変わり身の術を使う事も忘れずに。


 頭上からゴオーっという凄まじい音が轟いていた。


「あのばばあ殺す気かよ・・・」


と悪態をつきながら1キロほど土の中を土遁で掘り進んだ


ぼふっと地上に顔を出し辺りを見回す。よし、居ないなと安心し土から這い上がろうとした時


「誰がばばあなのかな?隼人くん?」


頭の上から澄んだ綺麗な声が憎たらしく聴こえた。

ギョッとして真上を見上げると、真っ白な龍が長い身体をくるくるとうねりながら(とぐろ)を巻き浮かんでいる。澄んだ蒼い目をしたその姿に全てを見透かされる。そんな恐怖を感じた。


「せ、竜蘭せんせ?」


「そうよ?綺麗な()()()()でしょ?」


と、ゆっくり地上に降りてくる。

そしてふわりと着地すると同時に元の竜蘭先生の姿に戻る。


「なんの考えもなく極大な魔法。いえ、忍術を使うのは良くないな。威力さえあれば。大きさがあれば。速さがあれば。そんな事だけに意識しすぎてる。それは有効的な使い方とは言えないわ。もっと効果的に忍術を使う方法を。それを次のステップへ上がる課題にしなさい」


 ポカーンとした顔をして俺は竜蘭先生を見上げていた。確かに戦い方が雑だったかな?と思った。


「そう。雑だったわね」


と竜蘭先生は、ふふふっと笑い俺の顔の前にしゃがんだ。


「先生、心の中が読めるんですか?」


「ええ。私の蒼眼はいかなる人の心も読むことが出来るわ。勿論、貴方の好きな女の子の事とかもね」


思わず顔が赤くなった。


「いつまでもその感情を忘れないでね」


と聴こえるか聴こえないかほどの小さな声で呟きながら、俺の額にデコピンをくらわせた。


パコンという音と共に俺の意識は失われていき、俺の試験はそこで終了した。



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