表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
才色兼備のナナ姫は、恋の作法がわからない!  作者: 日々一陽
第8章 謎のデザートパーラー
51/74

第8章 第7話

 黒江嬢はナナと一緒に厨房ちゅうぼうへ戻っていった。


「友達と遊んでくるねっ」


 月子はクラスメイトたちに合流し去っていった。

 元々月子フレンズは店に入るつもりはなく、遊ぶついでに見物に来ただけらしい。

 けれどそこに姉の姿を見つけた黒江嬢の弟・俊希くんは、月子と何やら話しをするや、みんなを連れだってどこかへと消えていった。


 席に残ったのはオリエと僕。


「ここのプリンは絶品ね」


 パフェのお代わりを満足そうに頬張る彼女。


「おい、いつまで喰ってるんだ? 普通デザートはそんなにお代わりしないぞ」

「あら、ケンタウルスは食べ放題じゃない。それがあんなに流行るのよ。女にとって甘い物は主食なのよ」


 そんな暴言もスタイル抜群の彼女が言うと突っ込みようがない。


「ともかく、そのケンタウルスへ視察に行かないか? 月子も心配だし」

「そうね。じゃあこのパフェ食べ終わったらね」


 彼女がその大盛りパフェを平らげるのに5分は不要だった。

 オリエのおごりで支払いを済ませるとモールを出て駅前にあるガラス張りのビルへ向かう。その1階にケンタウルスはオープンしていた。


「皆さ~ん、世界一フルーツが美味しいシャングリラはここじゃありませんよ! ショッピングモールの一階ですよお~っ!」


 元気に大声を張り上げているのは俊希くん。さっきの小学生の一団がビルの前でシュプレヒコールを上げていた。


「宇宙一美味しいのはここじゃなくってシャングリラだよっ!」


 彼の横で月子も負けじと声を上げる。


「おいっ月子、何してるんだ」


 思わず駆け寄る。


「あっ、お兄ちゃん。何してるって見ての通りだよ、ナナねえのお店の応援だよ。黒江くんのお姉さんの応援だよ」

「いや、ここでそんな目立つことしたら……」

「大丈夫だよ、いざとなったら走って逃げるよ。月子って逃げ足は速いんだから」

「そんな問題じゃないだろ」

「じゃあどんな問題? 月子がバンバン解いちゃうよ」


 口だけは達者な月子。


「じゃあ100万円持って28万5689円のお買い物をしました。お釣りはいくら?」

「……カード払いだから釣り銭不要だよ」

「ふふ、さては計算できないんだな」

「ぐぬぬぬ…… お兄ちゃんずるいよ!」

「71万4311円」

「えっ?」


 横から声がした。


「さすが黒江くん! あのね、黒江くんテストいつも100点なんだよ」


 頭に手をやり照れ笑う黒江弟。

 姉と違って表情が豊かな子だ。


「姉ちゃんのお店の方が美味しいに決まってるよな。だって姉ちゃんのコロッケカレーは最高だし」

「そうだね、よし、もっと頑張って声を出そう!」


 ガキどものシュプレヒコールは大空へ飛び立つロケットのように加速するばかり。


「困るんですよね!」


 と。

 ビルの自動ドアが開いて、がっしりした体育会系の大男が現れた。

 店長の名札を付けた丸田・ザ・ジャイアントは僕とオリエ、そうして月子を順にギロリ見て。


「おやっ? 天川の店でも、品川の店でも会ったような顔だな」

「あ、ええ、ご馳走になりました」

「ふん、そう言うことか。敵情視察って訳か」

「……」

「さては天川の一味だな! ふざけたマネしやがって」


 丸田の巨漢が目の前に迫る。


「やめろっ!」

「そうだっ!」


 と声がするや。

 勇敢というか怖い物知らずというか、黒江弟が丸田の足に体当たりをすると、友達たちもそれにならう。しかし大横綱のように丸田の体はビクリともしない。


「うるさいガキどもめ。営業妨害で警察に突き出してやる!」

「そっちこそ、バナナの密輸で宇宙警察に言いつけるよっ!」

「なにっ?」


 月子の言葉に丸田の表情が変わった。


「このガキいったい……」

「ガキじゃないもん。月子だもん」


 月子を睨みつけた丸田は右手を高く上げて指を鳴らす。


 ぱしっ!


 とたんに、輝く太陽が姿を消したかと思うと周囲が赤く暗く変化した。


「あれっ?」

「なにこれ~?」


 周りを見回す小学生たち。


「亜次元空間……」


 思わず呟いた僕に丸田が問う。


「お前、どこの星のスパイだ?」

「スパイなんかじゃない。僕は地球人だ」

「ウソをつくな、地球人が亜次元空間を知る由もない」


「ひええ~っ」

「なんだか怖いわっ!」


 僕が丸田とやり合っている間にも月子の友達たちの怯えた声が聞こえる。

 って、この状況まずい。

 早く手を打たないと……


「貴様らまとめて宇宙に連れ出し……」


 彼の言葉はここで止まった。

 と言うか、止めた。

 次の言葉を発する前に時間を止めたのだ。


「お兄ちゃん!」


 僕を見上げる月子。

 黒江弟もクラスの友達たちも不安げな表情のまま静止している。


「また時間止めちまった。月子、この状況をどうにかしなきゃ」

「ごめんなさい。月子が喋っちゃいけない事を言っちゃったからだね」

「そうだな。普通の人の前で宇宙の話をしちゃいけなかったな」

「月子、反省してます。もうしません……」

「分かったらいいんだ」


 しかし、今回のミッションは難しい。

 まず、巨漢の丸田・ザ・ジャイアントを片付ける。これはさほど難しくないんだが、問題は月子のクラスメイトたちにこの状況をどうやって納得して貰うかだ。できれば無かったことにしてしまいたい。一体どうすれば……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご意見、つっこみ、励ましのお言葉など、何でもお気軽に!
【小説家になろう勝手にランキング】←投票ボタン
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ