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才色兼備のナナ姫は、恋の作法がわからない!  作者: 日々一陽
第8章 謎のデザートパーラー
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第8章 第4話

 翌日は日曜日。

 朝からナナはバイト。

 月子は僕の部屋を通り抜けオリエと一緒にアニメを見ている。

 仕方がないので僕も並んで画面を見つめる。


「親の再婚で12人もお兄ちゃんができるって、どんな都合のいい展開なんだ!」

「いいじゃん、みんなイケメンでスポーツ万能で頭いいし」

「いや、だから、そんなの現実にあるわけないだろ!」

「いいじゃんアニメだし!」


 月子はこの逆ハーレムアニメがお気にらしい。


「宇宙ではよくあるのよ。逆ハーな人種の星。女王が子を産む度に次々と王を変えていき生涯で20人程度の王を入れ替える星とか」

「凄いな」

「激しい王位競争に勝ち抜いた超エリートの王も1年でお役御免。あとは自分の子育てに専念するの」

「女系って言うんだよね。女が偉いんだよね! 月子もその星が良かったな!」


 チョコ菓子を手に月子が話しに絡んでくる。


「あらそうかしら? よく考えて月子ちゃん。ひとりの女王にいい男が集中したら、他の女の子がどうなるか」

「あっ」

「女王だって毎年毎年産んで産んで産んで産んで産んで……」

「月子、やっぱ地球に生まれて良かったよ!」


 宇宙には、地球では考えられないような制度の星があるんだな。

 しかしオリエは月子に向かって首を傾げながら。


「そうかしら? 地球だって人気がある女の子に男の子が群がってるじゃない?」


 その言葉に考え込んだ月子。

 月子にも好きな男の子とかいるのだろうか……

 と、スマホの着信音が聞こえ、オリエがテーブルの宇宙スマホを取る。


「あら、ナナからメールだわ…… えっと、パフェ奢るからシャングリラへいらっしゃい、ですって」

「どうしたんだろ」

「タダですし、行ってみましょうか」

「うんそうだね。月子も付いていくねっ!」


 と、こうして3人は駅前ショッピングモールにあるフルーツパーラー・シャングリラへと向かった。


 朝、お客もまばらな店内。

 中に入ると奥の席にナナと店長が座っていた。


「あっ、いらっしゃいませっ!」


 僕らに気が付いたナナは立ち上がると小走りに寄ってくる。


「どうしたんだ? 店長と真面目な顔をして話し込んじゃって」

「ええ、実は、ですね……」


 僕らを奥に案内すると店長が立ち上がり会釈をする。


「いらっしゃいませ」

「店長、この人たちはわたしが呼んだんです。さっきお話したように……」

「まあまあ、ともかくこちらへどうぞ」


 僕らに席を勧めると店長は調理フロアへと歩いて行った。


「あ、ともかく座ってください。いまお冷やをお持ちしますね」


 やがて、僕らの前にグラスを置いたナナは自らも席に座る。


「実は、ですね。昨日店長も品川までひとっ飛びして、デザートパーラー・ケンタウルスに行ったらしいんですよ。で、そこで使われているバナナは帝国コンツェルンの物だとすぐに分かったらしく……」

「そりゃそうでしょうね。あの店長は元々そのバナナプラントの仕事をしてたんでしょ!」


 オリエを見てコクリと頷いたナナはしかし困ったように眉を寄せて。


「そうです。それで天川店長が言うには……」

「天川店長が言うには?」


 彼はケンタウルスの新規店舗がこの近くに出来るのは、帝国コンツェルンがこの店の存在に気が付いたからじゃないか? 即ち、帝国コンツェルンを抜けて指名手配の身である天川店長の存在に気が付いたからじゃないか? と言うのだそうだ。


「わたしもその可能性は高いと思うんです。だって日本3店目がこんな郊外の駅前なんてヘンですよね……」

「そうかもね……」


 みんなが唸っていると人の気配がした。

 天川店長だ。

 トレイに載せたバナナパフェを僕らの前に置くと。


「昨日、品川のケンタウルスに行ってすぐに気が付いたんです。ここのバナナはぼくが作ったプラントで栽培された物だって、帝国コンツェルンが地球に進出しようとしてるんだって。そしてぼくに気が付いてこの店を潰しに来たんじゃないのかなって……」


 水色の髪の天川店長の表情は、その髪の色よりも青ざめていた。

 ナナはそんな店長の言葉を継いで。


「地球は宇宙警察の管轄外。警察は手が出せないはずです。しかし帝国コンツェルンだって天川店長にケガをさせるようなことをしたら真っ先に疑われますから、そんなことはしないはず。だけど」

「この店を潰して店長を地球からあぶり出そうって魂胆ね」


 オリエの一言に店長もナナも肯いた。

 と、その時。


「あっ、いらっしゃいませ~っ!」


 突然ナナが笑顔を作ると席を立つ。

 早足で向かうその先には大柄でがっしりした中年男性。

 はてどこかで見たことがあるような、それもつい最近……


「お兄ちゃん、あの人ケンタウルスの店長じゃん!」

「えっ!」



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