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才色兼備のナナ姫は、恋の作法がわからない!  作者: 日々一陽
第7章 ナナ、バイトに精を出す
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第7章 第2話

 昼休みになると屋上に向かった。

 ナナ、オリエ、そして高鍋も一緒だ。


「はいこれ、陽太さんの分」


 シートを敷いて弁当箱を広げるのはナナ。


「今日は私も持って来たわよ、焼きそばパンとコロッケパンとクリームパンとあんぱんとメロンパン」


 昨日スーパーで買ったらしい。


「俺、お邪魔じゃないのか?」

「いいから一緒に喰おう!」


 何故高鍋も一緒なのかって?

 ナナは昼のチャイムが鳴るや机を並べ、人目はばからず弁当箱を広げようとした。

 クラス中の痛い視線を感じた僕は、いたたまれず高鍋を道連れにここに来たのだ。

 高鍋は自分の弁当箱を広げて。


「大葉さんって日向と仲がいいよね」

「はい勿論ですっ。ふたりは夫婦ですし! ぽっ!」

「ぽっ、じゃねえだろっ!」

「そうね、陽太のフィアンセはこの私ですからね」

「凄いな日向。いつからお前そんなモテるようになったんだ?」


 高鍋は半ば呆れつつ箸を持つ。

 僕も苦笑いを浮かべてナナが作った弁当箱を広げる。

 中には卵焼き、肉巻き、一口ハンバーグ、そしてフルーツサラダに海苔巻きのおにぎり。

 見た目はとっても綺麗で、母さんの弁当より断然美味しそうに見える。


「これ、大葉さんが作ったの? 凄いな。羨ましいぞ日向」

「じゃ、交換するか?」

「そんなこと出来るかよ。ってか、大葉さん泣いたじゃねえか」


 高鍋はナナの弁当の恐ろしさを知らない……

 僕は箸を握り恐る恐る卵焼きに箸を伸ばす。

 ふっくらとして口に入れた瞬間に出汁の味がじわっと広がる卵焼きは絶品で……


「んぐんぐ…… なあナナ、この卵焼きの真ん中に入ってるのは?」

「はい、バナナです。案外合うでしょ?」


 遂に僕の味覚も壊れてきたのだろうか、案外合う。

 卵焼きの横には牛肉巻き。何を巻いているのか考えるだけでも怖いのだが、ともかく箸を伸ばす……


「特製ダレで味付けしたバナナの牛肉巻きです。案外合うでしょ?」


 遂に僕の脳細胞も壊れてきたのだろうか、案外合う……

 肉巻きの横には一口ハンバーグ。どうせアレが中に入っているのだろうが……


「ハンバーグの中からとろっと出てくるのはバナナなんです。案外合うでしょ?」


 遂に僕の自我も壊れてきたのだろうか、案外合う!

 そうして、おにぎりに手を伸ばしてがぶっと……


「おにぎりの中には特上のバナナを!」

「これは合わねえっ!」


 有り得ない組み合わせだった。

 それまでのナナの善戦が見事にぶっ飛ぶ。


「やっぱりダメですか? お米は日本人の主食。だから何とかご飯に合わせようって頑張ったんですが……」

「大葉さんのバナナ愛って凄いんだね」


 不思議な顔をする高鍋。


「はい、わたしの主食はバナナですから!」


 あははと笑いながら弁当を頬張る高鍋は、ふと思い出したように。


「ところで昨日3人で駅前を歩いてたよね」

「あっ、はい。みんなでフルーツパーラーに行ったんですよ。今度高鍋さんもどうですか?」

「ああ、モールの一階のシャングリラだったっけ。ウェイトレスが可愛いって評判の」

「そうそう」

「美味しいのか? 男だけじゃ入りにくい店だけど」

「ま、味は良かったな」

「だろうな。日向知ってるか? あの店ってバイトの時給は高いけどすっごいブラックで大変らしい」


「「えっ!」」


 僕とナナの声が重なる。オリエは平然と焼きそばパンにかぶりついたままだ。


「そんなに驚くなよ。いや、聞いた話だけどさ……」


 思わずナナと顔を見合わせる。


「誰だったか忘れたけどさ、あそこでバイトしようとしてた女子が黒江さんに止められたんだって。あそこだけは止めた方がいいって。みんな知ってる話だぞ」

「ふうん。ってことは黒江嬢はあそこでバイトしたことあるのかな?」

「まさか。あのお高い黒江さんがバイトなんて」

「だよな。黒江嬢が頭下げて「いらっしゃいませ」なんて想像も出来ないよな」

「ありえねえ!」


「「はははは……」」


 高鍋と顔を見合わせ笑いながら、ふとナナの不安げな顔に気が付いて。


「どうするナナ、止めるか?」

「いいえ、あのお店は美味しかったですから。わたし、やってみます」




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