てん、せい。
ザザー…ザ…
テレビの音かなあ。
誰だーつけっぱなしで寝たのはあ。
翔太か?あいつはもー。
昨日もアメリカに隕石だーなんだってテレビなかじりついてたけど、ピーマン食べたくなくて必死に話逸らしてたのバレバレだから。
おっきくなれないぞ!
いや俺が言っても説得力ないけどさ。
そしてさむい。寒すぎる。
エアコンまでつけっぱなしか。
くそー起きて消すか。うるさいしな。
俺はのそっと起き上がった。
すると背中をつ、と液体が滴り落ちるのを感じる。
ん?え、俺濡れてる!?
びっくりして起き上がる。
立ち上がる際手元がヌルっとする。なんか周りもヘン、青白く光ってる。
なになに?!軽くパニックになりながら明かり、リモコンを探す。
そこでようやく俺の部屋じゃないと気付く。
俺、落ち着け。
まず現状確認。
とりあえず俺の体はずぶ濡れ。
でもって最悪今不明なことに…裸。素足。
背中になんか気持ち悪いわかめっぽいのが貼り付いてる。
足元ゴツゴツ、ちょっとニュルン(最悪)
えーもう何よ、何なのよ?
とりあえず青白く光るナニカ、苔?のおかげでここが洞窟っぽいことが分かる。
こんなとこ来た?
記憶を掘り起こす。
いや、横断歩道を渡りかけて…視界の隅にトラックが見えた、かもしんない。
う、あ。
嘘っしょ。
腹の底に冷たいものがヒュッと堕ちたかのような感覚。
俺、死んだ?ここ、死後の世界とかそうゆう系?!
ガキーずどものこと、学校のこと、海斗のこといろいろぐるぐるしだして、俺はいつの間にか走り出していた。
ーーーーーー
「光だ!」
どれだけ走ったか分からない、てゆーか洞窟の中ふつーに怖いし状況が分からないという恐怖からもう泣きながら洞窟の外に出た。
いや、だって誰だってこれは泣くっしょ、男もね。泣くったら泣くんだ!
とたん眩しいほどの深い緑が目に飛び込んできた。
全方位、緑、緑。ハイ、森です。
もしかして裏の山?トラックに飛ばされてここに?いやいや洞窟の奥でしたやーん。
未だ混乱してるし何も分からないけど、暗さと家の近くかも知れないという希望から少し安心した。
とりあえずちょっとあのへんまで歩こう。
イテっ そーいや素足だったと足元をみる。
「げぇっ足の裏切りまくって…る…?」
俺はまたしても泣きそうなほどの、いや人生最大の恐怖に囚われた。
「ち●こ無くなってるうううううう!」
俺の頭上の木々にいたであろう鳥達がいっせいに羽ばたく音が森に響いていた…