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キケンな熱
あー、なんでこんな時に。
こいつが。
しかも頭痛いし。
なんか熱いし。
お前のせいなのに。お前のせいで。
いらいらする。
「お前ウザイ、すっこんでろ」
海斗と小林が驚いた顔をする。
いつも黙ってやられてると思うな。
くそばやしっ
「今大事な話をしてる。お前には関係のない話!つーか金輪際近寄んな!!」
最後の方はほとんど叫んでた。
海斗が俺の腕を掴む。
とたんに世界がグラグラしだす。いや、してたのを自覚する。
あれ、俺、どうしたんだろ。
熱のせい?なんか変…
小林と海斗がなにか言い争ってる。
てか、海斗腕はなして、またホモ言われちゃうよ。
ぼやけはじめた視界でいつの間にか青になっていた横断歩道の信号が点滅しだす。
とりあえず渡らなくちゃ…、こんなところで迷惑だよ…
…ん?あれ、向こうにいるのあの女の人じゃない?
「二…コッチ…はヤ…ク」
なに?聞こえないよ、ちょっと待って。
いま行くから…
「「ルー!!」」
なんだよ、小林がルー呼びとか初めて聞いた。
そんなことを考えながら、世界が暗転した。