銃はいざとなれば鈍器として使えます。
目の前の女性は、金髪の横から昔見たアニメとかで見た日本的なエルフ耳をしており、肌色も色白ながら作り物ではないことを示していた。
更に服装に関して言えば、独特な文様の入った布が胸に一枚で金太郎のような服、腰に関して言えば短すぎるスカートとしか言えなかった。
彼女は此方が何故か驚愕しているのに疑問を持ったのか、青い瞳で自分に聞いてきた。
「何を驚いているのかしら?」
「いえっ、あの・・・。」
「?」
しばらく彼女は考え込むように目線を泳がせると、答えに行き着いたのか言った。
「もしかして?状況が飲むこめていない?」
「ええっ、まぁ・・・。」
そう言うと彼女は手を合わせ、喜びながら言った。
「やっぱり!貴方、危ない所だったのよ?」
下手な女性が手を合わせて当たった喜びを出すと白々しいとか、あざといとか言われるが、彼女がやるとそんなことは全然ない。
寧ろ、あざとさすらも可愛く見える程、綺麗で朗らかな感じがした。
「確か、自分が覚えている限りだと誰かが助けてくれた事までは覚えています。」
「そうよ?妹が助けなければ貴方危ないところだったんだから?」
確かに自分は危ないところを目の前の女性ではなく、黒髪で蒼い瞳の女性に救われた。
そして、よくよく考えると肩と横腹を切り裂かれた筈だった。
しかし、実際には肩と横腹に痛みは無く、布団の下から見える素肌には、
包帯を巻かれているのは判るがその中で酷い傷かあるとは信じられなかった。
「あれ?肩と腕が?」
「凄いでしょ?家の村の特効薬。」
凄いなんてものじゃない、確かに自分は重症の傷を負ったがそれを・・・。
「あの、つかぬ事を伺いますが自分は何日ほど寝ていたんですか?」
「2日程は熟睡だったわよ?まぁ、傷よりも疲れとかの方が大きかったんでしょうけど?」
たしかに、3日程は安眠できない状態で彷徨い、更に熊型の獣とかと戦ったからか疲れていたと思うけど。
そう思った瞬間、彼は武器を持ちながら戦えずに一方的にやられた記憶を思い出した。
今更ながら恐怖がこみ上げてきた、初めて獣との戦い、そして、一方的にやられた。
もしも、武器で防がれなければ今彼は、あの獣のお腹の中で溶かされていただろう。
・・・武器?
「すいません、自分の近くに武器は転がってなかったでしょうか?」
「武器?もしかしてあの銀色の塊のこと?」
「そうです!たぶんそれなんですが?」
「それだったら、ベットの近くにおいてあるわよ。」
自分は見渡すとちょうどベットから死角になる頭の位置に、バハールがあれだけの攻撃を受けたにも係わらずに無傷で鎮座してあった。
「よかった。」
「それは何なの?鈍器なの?」
「これは銃です。」
「じゅう?そういう名前の鈍器なのね。」
彼女は知らない言語だったのか、いくらか首をかしげていたが結局これは叩くための道具だと思ったようだ。
薄々と感じていたが、たぶんこの異世界の文明レベルはかなり古いのだろう。
服装や文明にしても見てる限りだと、とても古いものに感じる。
さっき見渡した際にあった、竈や狩猟道具はとてもディスプレイで飾っているようには見えなく、何処と無く生活臭に溢れてた。
「そろそろ、妹も帰ってくるから挨拶してあげてね。」
「はい。」
そういえば助けてくれたのはこの女性の妹さんが助けてくれたと言っていたなぁ、たぶん黒髪の蒼い瞳のあの子だろうが少し緊張してきた。
そう考えてからしばらく経ち、先ほど名前を聞いた目の前の女性と色々と話をしそろそろ少し飽きた頃だった。
「・・・・っ!」
視界端のドアが開いたと思ったら、黒髪の少女が此方を一瞥すると即効でまた外に出ようとした。
「サウヤ!貴女が助けた人が起きたから、ちゃんと挨拶しなさい!」
シスさんは少し怒った感じを含めた口調で、たぶん助けてくれた少女に言った。
すると、言われたサウヤは閉めかけたドアをゆっくりと開き、恐る恐ると家の中に入り、此方に軽く会釈をすると直ぐに自分の部屋らしきドアに飛び込んだ。
「もう!サウヤたら!」
「いえ起きにせず・・・。」
彼女は夕食の時間になっても部屋から出ずに、結局その日は一旦寝るまで何も話せなかった。