異世界との邂逅は、良いものじゃない確立が高い。
取りあえず、現状はパンツしか服が無い状況だが、別に無くてもこの気温ならば寧ろ無い方が良かった。
しかし、更にポーチを調べていると、ゲーム上で食えた食料や薬は有ったが水は無かった。
なので、取りあえず水源確保並びに人探しで出歩くことにした。
だが、人や水源に出会えず3日程彷徨う羽目になった。
『もう限界・・・。』
空腹は携帯食料でどうにかなったが、喉の渇きだけは癒すことが出来ずにいた。
途中で拾った木の枝を杖代わりにひたすら水源確保の為、道なき道を歩き、時にはポーチから片手剣を呼び出して道を作っていった。
『水、水、水』
脳内で、ひたすら自分の声が水を連呼する。
手に力はあまり入らず、体を支える杖すら捨てたい気分になってくる。
そんな時だった、昔に両親行ったと渓流で聞いた音が聞こえた。
『幻聴か?いや、もう自分はこれにかけるしかないんだ!』
正直、これまで何度も幻聴で水の音が聞こえ全力で向かっていたが良いが、聞き間違いであった事でしかなかった。
自分でも、この彷徨う過程の中で、見たこと無い生物だったけど小型の野生動物や中型の草食獣を見かけたので、水源は近いと思っていた。
しかし、どれだけその後に彷徨っても水源にたどり着くことは無かった。
そして、たぶんこの日で既に数えるのも馬鹿らしい位の回数で聞いた音だった。
『もし、川に着いたら先ずは限界まで飲んでやる。』
この考えも既に何回しただろうか?
チートな武器を手に入れているからといって、体までチート使用じゃないのはこの3日間で嫌と言う程、理解できた。
『後は体を洗って・・・。』
そう考えながらも、何度も味わった絶望で既に半分は諦めていた。
たぶん、また幻聴。
しかし、自分が近づくと次第に音はハッキリとしてきた。
胸が高鳴って来る。
そして、目の前には清らかで透き通る川が現れた。
「しゃぁぁぁぁぁ!」
喉が枯れそうだが、限界まで叫んで喜んだ。
そして、直ぐに川に駆け寄り顔をつけて水を心ゆくまで堪能した。
川底はたぶん一メートル位で、入るにはちょうど良く、喉の渇きを潤したらそのまま入り今度は全身で堪能した。
しばらく、水を堪能しているとだんだん考えも冷静になり、更に有る事を思い出して喜びに満ち溢れた。
昔見たテレビで、ジャングルや山で遭難した際に先ずは見つけると生き残れるものとして『川』は重要だった。
先ずは水源の確保並びに、川の下流に沿って歩いていけば高確率で人に会う確立が高いと言っていたからだ!
再度、喜びで雄たけびを上げようとした瞬間、更に巨大な雄たけびで身がすくんだ。
『なんなんだ!今の音は!』
そう思い、少し離れた下流の川を見ると地面に向かって強力な突風が起こった。
すぐさま彼は、川から上がり急いで上流のほうに向かい走ると、現実世界には絶対にいない、
巨大なドラゴンと茨をを合体させたような、30メートルはあるであろう、棘だらけのドラゴンが雄たけびを上げながら周りの木々をなぎ倒しつつ降りてきた。
『糞っ!これじゃ、下流に行くに行けない!』
そう考えていると、ドラゴンは周りを警戒するように見渡すと川の水に口をつけて飲み始めた。
水を飲む際に見える口は、縦横四方に裂けてその中には牙という牙がびっしりと生えており、たぶんアレに噛まれたが最後、絶対に離しそうには無かった。
『やべっ!あれは絶対にやばい!』
たぶん、30分程だろうか動くに動けずにいると、ドラゴンは川の水を飲むのを止めて翼を畳み首を体の中に入れるようにすると寝てしまった。
そして、彼は動けるようになったが下流に行くのは封じられてしまった。
『おいおい、寝るなよ!寝るんだったら巣に帰れよ!』
悪態を思いながらゆっくりとその場所から離れていると、軽くだが側面部分に軽く赤い模様が彫られたコップが上流から流れて来るのが見えた。
『・・・上流に行くか。』
たぶん上流の方人が住んでいるとそう考え、彼は上流に向かって歩き出した。