ゲームは一日一時間!
家に帰ってからパソコンにダウンロードするまでの間、彼女からスカイプのIDとかを教えてもらい軽いキャラメイクの説明を受けた。
『基本は、男性は男キャラ使う人が多いですけど女性キャラも可愛くて良いですよ?』
『いいよ、流石に男の自分が女キャラを使うのは気が引けるし、それは倫理的にどうかと思う。』
『そんな事言って、まぁキャラの中身なんてリアル友達じゃないと大体知らないと思いますけどね・・・。』
そう言うと、彼女は自分にスカイプ越しに絵を送ってきた。
その絵には、たぶん今からやるであろうゲームのプレイヤーキャラクターの可愛い絵が描かれていた。
《キュウ》
不意に心臓が何か、締め付けられるような思いと気持ちの良い切なさが襲った。
何だろうか?この気持ちは?
この絵を見ると気持ちが高ぶりながらも、気持ちの良い高揚感に襲われる。
『この前、友達が絵描きサイトで送ったプレイヤーの絵なんですけど凄く可愛いですよ?』
『なぁ、このキャラクターは何なんだ?』
『えっ~と、高ランクプレイヤーの装備を着たキャラクター何ですが?』
『・・・そうか。』
『?』
そんな会話をしている間に、ダウンロードが完了し壮大なオープニングが流れてきた。
たぶん、このゲームの世界なんだろうが色々な人々が暮らす中世に近い風景の中、突如としてモンスターが人々を脅かす。
ある者は火に焼かれ、ある者は水底に引きづられ、ある者は天空から落とされる。
しかし、人類もただ殺されるだけではなく、様々な武器や防具で身を固め、モンスター達に対して人間側は戦線を張り一定区域まで追い出す。
そのモンスターを追い出し、モンスターを糧に生きる戦士たちを《戦線兵士団》と人々は畏怖を込めて呼んだと流れた。
そして、始まったキャラクタークリエイト。
『なぁ、このキャラ作成って適当で良いのか?』
『う~ん、キャラ自体は後で変更聞きますけど、お金が掛かりますよ?』
『そうか・・・。』
内心、非常に迷っていた。
さっき、見た可愛いキャラが頭から離れない。
しかし、可愛いキャラを使うのに何処か抵抗がある。
だが、送られてきた絵を見るたびに使いたいと何かがこみ上げてくる。
『じゃあ、私は男キャラ使っているので、女キャラを使って貰ってもいいですか?』
『えっ?』
『今、イベントで男キャラと女キャラが一緒にクエスト行くと結構良い特典武器が手に入るんですよ。
なんで、特に希望が無ければ女キャラでも良いですか?』
『・・・分かった。』
自分では最大限冷静に返答したが、内心は喜びで満ちていた。
可愛いキャラが使えるという喜びに。
『出来ました?』
あれから数分足っただろうか?
しばらく、二人そろって無言でゲームをしていたが、暇を持て余したのだろうか、彼女から催促の言葉が来た。
『ああっ、あと少しだ。』
後は、キャラクターの声を選ぶくらいだった。
何度も声の視聴を行い、たぶん作ったキャラに一番良いと思う声を宛がった。
そして、完成と同時に決定を押すとたぶんデカイ広場に飛ばされていた。
『何なんだ?この広場は?』
『出来たんですね?じゃ、今から行きますのでそこから動かずに待機してください。』
『分かった。』
しばらくすると、いかにも凶悪そうな装備で固めた男キャラが来た。
『翔平さんのキャラ名【ヘマタイト】で良いですか?』
『ああっ、そうだよ。』
たまたま、今日書店で働いていた際に明日から始まる予定の鉱石フェアーのコーナーを作っていた際に、目に付いて気に入った石だった。
銀色で鉄に近い色をしているが、持ってみると鉄のような冷たさは無く、むしろ少し温かみを感じた。
『ロングの銀髪で青い瞳!可愛い!!!』
『うぉ、おおん。』
彼女のテンションがかなりハイになっていた。
『じゃ、行きましょう!今すぐクエストに行きましょう!』
『その前に、色々教えてくれよ・・・。』
『ああっ、そうでした!』
そして、しばらく色々教えて貰いクエストに行ったり、ランク上げを手伝って貰った。
『これで、一通りは教えました。』
『ありがとう、今度のバイトの時に何かお礼するよ。』
『そうですか?じゃあまた今度。』
そう言って、彼女はログオフした。
しかし、自分は攻略サイトを見ながらソロながらもランク上げや武器や装備上げをその後、大学の講習が有るまで、10時間はずっとやっていた。
そう、彼はこのゲームに嵌っていた。