絶叫!キャスト決め
「やぁだぁ〜〜!!!!」
古風ある廊下に、一人の女の子の絶叫が聞こえる。
それは、聞く人によれば悲鳴とも嘆きとも聞こえる声だった。
その声の持ち主は、もうすぐ卒業を迎える六年生の神木奈緒
そして、ソレをなだめるのが保健の先生の井沢美保
「なぁんで私が、そんな役なの!?」
「先生も、止めたんだけど・・・」
奈緒は、保健委員だった。今度行われる全校保健集会で、保健委員は演劇をすることになっていた。奈緒は、前から演劇に興味があったから、キャスト希望だった。
そのキャスト決めで、もめているのだ。
「でも先生!この、五年生の田出って人と交換すれば・・」
「なんだか、こっちの方が面白いからって・・・」
「誰が!!!」
奈緒の迫力に、押され気味の井沢先生は、言いにくそうに口を開いた。
「・・西田君。」
「つ〜よ〜し〜!?」
西田剛。保健委員の委員長で、奈緒とは喧嘩ばっかりしていた。
委員長として、演劇の全てを剛が決めていた。
「でも・・おかしいでしょ!!」
「いや・・それが面白いみたい・・・で・・・」
「田出君は納得してるんですか!?」
「あぁ。うん。」
「そんなぁ・・・・」
「キャストやるなら、あの役だし・・・イヤなら、キャストは無理だけど・・・」
「・・・・・・・。」
キャストは、どうしてもやりたかった。
私は、絶対高校生になったら演劇部に入ると決めているから!!
演技をするのが好きだった。どうして好きかは、わからないけど、違う人になると言う事が、楽しくて仕方なかったんだ。
「・・・わかった。やる。」
「本当!?じゃあ・・・練習は明日からね!!!」